危険なロケでは攻めと守りの境界線を探る

──今や学校の教材として「出川イングリッシュ」が使われているとか。

BOX-RED「ご意見番出川のはじめてのおつかい in ニューヨーク」より。

素晴らしいと思います。英会話は文法じゃない！ 学校の勉強としてはもちろん文法も必要なんですけど、「話しかける勇気が大事」ということで僕のロケのことが取り上げられるなら、すごくうれしいです。僕も「誠意を持って話せばなんとなく通じるんだ」ってわかってから話しかけられるようになったので、子供たちにも伝わるといいですね。

──出川さんは命の危険を感じるくらい緊迫した状況に追い込まれるロケも体験されています。毎回どういう心持ちでロケに臨んでいますか？

「諦めてる」っていうと語弊があるかもしれませんが、例えば動物だったら噛まれちゃったらしょうがないじゃないですか。番組に迷惑がかかるような事故にはもちろん気をつけていますが、あまり守りに入りすぎてもつまらない。その境界線に悩みます。各ディレクターによって違いますが、僕のディレクターは（制作会社）日企の武井と言って、朝から晩まで回す人なので自由時間なんて本当にない（笑）。だから「イッテQ」のときは「よし、がんばろう」っていう気持ちで臨んでますね。

──「イッテQ！」の中で一番印象に残っているご自身の企画はどれですか？

BOX-RED「ペットボトルロケットで人は飛べるのか？ in タイ」より。

ペットボトルロケット（「BOX-RED」に収録される「ペットボトルロケットで人は飛べるのか？ in タイ」）です。あれは怖かった！

──頭から地面に激突していましたもんね……。観ている側としては大笑いしてしまいました。ほかにはありますか？

感動のほうだと、「カレンダープロジェクト」の金環日食（「BOX-RED」に収録される「2013年5月編～太陽と月と人類の共演！金環日食のサンセットを追え～」）。あれは素晴らしかったなあ。YouTubeにアップして世界中に配信したいってずっと言っていたんですが、今回のDVDに入るのでぜひ観ていただきたいです。

──ちなみに、出川さんの旅にお供する“出川ガール”でお気に入りはいらっしゃいますか？

お嬢（＝河北麻友子）以外だったら誰でもいいですね！（笑） いや正直、出川ガールはみんながんばってくれているから全員お気に入りです。ただ僕の企画で、もしデヴィ夫人が出川ガールとして同行してくれることになったら、ちょっとお断りします（笑）。

スタッフも演者も命懸けてる

──今回の特集を組むにあたり、ほかの出演者の方々にもアンケートに回答していただいています。そのうちの1つで、「これはやりたくない！」と企画があれば教えていただけますか？

「鳥人祭り」ですよ！ 絶対にやりたくない！ そもそも僕は、怖いものが苦手だからリアクション芸人にさせられたんです。最初はウッチャンナンチャンと後楽園ゆうえんちに遊びに行ったとき。ジェットコースターに乗って、ガッガッガッ……って上がっていく際に、怖すぎて「すみません、1人降ります！」とかわめいたんです。そしたらウンナンの2人が「降りられるわけないじゃないか！」ってゲラゲラ笑っていて。これはプライベートだから、僕はガチで言っているんですよ？ それからバラエティ番組の罰ゲームでジェットコースターに乗らされたのが僕のリアクション芸のスタート。それから怖いものばっかりに挑戦していますが、得意でもなんでもないですから！

──では苦手なものがずーっと続いて今に至るんですね。

そうです。だから「鳥人祭り」なんて絶対やらない。手越くんの「世界一怖いバンジージャンプ」も無理です。あと、イモトの「ウイングウォーキング」！ このVTRはもっと評価されないとウソですよ！ 未だにイモトってコモドドラゴンとかチーターとの競争が代表作だと思われているけど、いやいやいや、これだから！

──長いお付き合いである内村さんが50歳を超えてバック転や大車輪に挑戦しているのはどうご覧になっていますか？

チェン（＝内村）がすごいなって特に思ったのが、大車輪と水上スキー。最後の最後で決めるってなかなかできないですよ。やっぱりスターなんだなと感心しちゃいました。見た目にスター性は1ミリもないですけどね（笑）。普通に歩いてるときはチェンだって気づかれないくらいオーラ消してるけど、この2つに関してはすごかったなあ。

──間もなく「イッテQ！」は10周年を迎えます。番組が長く愛されている理由はなんだとお考えですか？

それはやっぱり、スタッフも演者も「イッテQ！」のVTRに命懸けてるからです。総合演出の古立さんがまず天才だし、各ディレクターも優秀。そんな人たちがこれだけ手間暇かけて作っている番組って、今の時代めったにないと思います。熱量と時間をかけて、タレントも命を懸けている番組が視聴率を取って人気を集めているって、本当にうれしいことですよね。正当な評価を受けているなと思います。もちろん視聴率がすべてではないですが、これだけ一生懸命、労力をかけている番組が低視聴率だったら報われないですもん。