ここ数年のバナナマンの変化

──お2人のコントで、結成当初から一番変わってきた部分はどこになりますか？

設楽　ここ数年は、日村さんに対して「お芝居のことを言うようになってるな」って自分で感じてます。俺も勉強したことないし、わかんないけど「ここでこの間で」とかそういうことじゃなくて、もっと根本的な精神論を日村さんに言ってる気がする（笑）。「こういう感情の人は、ここでこういうことは言わないじゃん」とか。

日村　いやぁ……でもねえ、そういうのは一貫して言ってましたよ、最初っから。

設楽　ああ、そう。

日村　最近、特に言うんですよ（笑）。俺らが変わったところは、今までは「俺らがやるんだからいいじゃん。面白いんだからいいじゃん」って言って、全部ぶち込んでお客さんを満腹にさせてきたんですけど、今はいい意味でネタを切って、なんかスッキリさせてます。「やっぱり全体のショーだから、“ちょうどいい尺”も大事でしょ」っていう部分で大人になったんだろうと思いますけど。

設楽　あと、エグい感じのネタはやっぱ少なくなったよね。

日村　エグいのはほんとに減ったね。

設楽　ブラック的な。

日村　「死ぬ」とかそういうコントは減りましたね。

設楽　もしかしたら、無意識のうちに「よりメジャーなところを目指すためには」っていう意識でやってるのかもしんないね（笑）。全体的に明るくなったし、今はポップな感じがあるかもしれない。どうなんですかね、「暗い世の中だから逆に明るいネタを」みたいなところがあるのかな。「赤えんぴつ」の特典ディスク見ればわかりますよね。「クソと血にまみれて生まれてきて、原爆を作っても愛してくれますか？」みたいなところから始まって、それが今じゃもうポップなラブソングを歌ってるわけですから（笑）。「赤えんぴつ」の歴史にそういう流れが象徴されてるのかもしれないですね。

構成作家オークラの変化

──“3人目のバナナマン”と呼ばれる構成作家オークラさんは、今回の4部作ではどのような役割を果たしましたか？

設楽　オークラはね……4年前からかどうかはわかんないですけど、昔よりちゃんとした気がしますね。昔は、ほんと稽古場で寝ちゃってたし（笑）。俺らって、やっぱ本人がやらなきゃいけないから、ラストの一線っていうのがあるんですよ。“そんなものは見せられない”というボーダーラインがあるんですけど、オークラは客前に出ないから、“ここまでにこれをやる”っていうのが延び延びになることがあるんですよね。だけど、それがある時期から、俺らと同じ締め切りでやる感じになったというか。それあるよね？

日村　この4部作の前に、確かに設楽さんがオークラに「俺ら覚える時間がいるから」って言ってた気がするな。「お前のペースだと本番直前に台本が書き上がるペースだ」っていうのは言ってた（笑）。

設楽　でも、この4部作が始まる頃には、オークラや周りのスタッフもある程度固まってたし、みんなで分担できて、チームとしてまとまりのいい4年だったっていう感じがしますね。

2010年の目標

──最後に、2010年の目標などがあったら聞かせてください。

設楽　いつもこれ聞かれると困っちゃうんですよね、どうしようかな。今回の4部作で1回区切りみたいになっちゃうから、今度また違うシリーズを始めるのかってなると、それに縛られちゃうのもまた嫌なんですよね（笑）。今年の春にもう1回傑作選で「Chop」っていうのやるんですけど、「Punch」「Kick」「Chop」で傑作選3部作にするつもりなんですよ。別にこれでライブ辞めるわけじゃないんですけど、面白いネタばっかり集めたものを残す3部作だったりするから、これからどうなるんですかね。でも、単独ライブは楽しいから今年も間違いなくやりますよ。

──日村さんはいかがですか？

日村　そうですねー、面白かったらもうなんでもいいんですけどね、正直。自分たちが楽しくできて、お客さんも面白がってくれたらベストですよね。ここ何年か、2週間とかそれくらいの中で練習とかやってるんで、この時点では目標みたいなものってないんですよ。もしかしたら目標って1回も持ったことがないかも。なんか持ったほうがいいですよね。そうですねー、また一輪車でも練習してみようかな（笑）。