欲望と幸福の「鬼ヶ島 イン ワンダーランド」

7月25日、26日、東京・東京キネマ倶楽部にて、鬼ヶ島の単独ライブ「鬼ヶ島 イン ワンダーランド」が開催された。

同ライブでは、ゴージャスな内装にピッタリの2階に観客数限定のプレミアムVIPシートを用意。開演時間まで若手芸人たちがVIPをおもてなしした。巨匠・本田は熱々のたこ焼きを焼き、ザンゼンジ三福＆あっぱれ！川井はさまざまな芸人たちのオマージュショートコントを披露。「第3回松竹芸能杯 心のブスNo.1決定戦」で大活躍を見せたザンゼンジ武田＆巨匠・岡野も、この日は心のブスぶりを一切見せることなく、観客が希望するグッズを1階まで買いに行くなどこまめな対応をしていた。また、26日には観覧に来ていたラブレターズが三福に懇願され、VIP客の前で「西岡中学校」を大声で披露するスペシャルな一幕も。

いよいよライブがスタートすると、中2階に設けられた椅子にピエロの恰好をした野田が登場。ニヤリと笑いながら「人間のみなさん、ようこそワンダーランドへ！」と挨拶し、「人間は欲深い生き物だ」と意味深な発言をした。しかし階段を下りながらその説明をしようとするもスポットライトが付いてこなかったり、カラスがうるさかったりしたため、すぐにいつもの野田に。「素敵なコントができると思われたかった」とのことだったが諦め、「変な顔、出オチ、大声、それを伸ばしていきたいと思います」と宣言。改めて「1人の人間に欲を与え、壊れていくさまをみんなと一緒に観ていきましょう」とライブへと誘った。

今回鬼ヶ島が披露したコントの設定は、歯科医院、父と2人の息子、ゾンビになりたかった男、倒産を覚悟した父、人類の未来を託された悲しき少女。これまでの学園ものとはと違い、場面は家庭、居酒屋、会社など、登場人物たちは成長しているが、彼らの持ち味はそのままに。大人になっても“アホな少年の心”を持った男たちが、欲を抑えきれずに“普通”から“変”に飛び出していくさまを、観客たちは爆笑しながら鑑賞していた。

幕間のVTRでは、3人の歴史紹介のほか、和田演出のハードボイルドかつサイコホラーなグッズ紹介、おおかわらプロデュースのアイドルオーディションが。このオーディションの結果、結成されたアイドルグループ・スイカ☆ドロボーは生出演し初ライブを決行。メンバーは王崎まりな、謎の男性社長のほか、鬼ヶ島新ネタライブ「あの日見た鬼の名前を僕達はまだ知らない。」でおなじみハゲダンサーズの野田、5GAP秋本、マキシマムパーパーサム長澤となっており、ハゲを卑下される歌詞でも大喜びで踊っていた。

最後は野田プロデュースのとある隠し撮り映像を公開。それはあるバーで、野田が彼女にサプライズでプロポーズをするというもので、プロポーズは成功し、バーの客に扮していたおおかわら、和田や人力舎の芸人たちが大いに祝福していた。エンディングで3人が舞台に登場すると、ライブの成功とプロポーズの成功を祝して観客たちが大きな拍手で出迎え。今年2014年に1年の結婚生活が終了した和田が結婚について「いいことないよ」とアドバイスすると、相手の両親への挨拶がこれからという野田は「プロポーズのときのスーツが和田に借りたもの」と明かし不安を募らせていた。

終演後、鬼ヶ島の3人はVIP客のもとに向かい、感謝の挨拶。その証として1人1人の名前入り感謝状を贈呈した。また会場では、スイカ☆ドロボーが会場限定のシングルを販売。最後までワンダーランドの雰囲気たっぷりの鬼ヶ島らしいライブとなった。