ナタリー PowerPush - 山嵐

ミクスチャーを牽引し続けた15年間と今

1996年の結成以来、ツインボーカルのミクスチャーサウンドでシーンのトップを走り続け、主催イベント「湘南音祭」を1万人動員の大型ロックフェスに育て上げた山嵐。彼らが結成15周年を記念して制作したミニアルバム「YAMABIKO」は、HAN-KUN(湘南乃風)、JESSE(RIZE)、Kj(Dragon Ash)などの盟友がゲスト参加した、アニバーサリー盤ならではの豪華な内容となっている。

今回ナタリーでは、山嵐のフロントマンであるKOJIMA(Vo)とSATOSHI(Vo)にインタビューを敢行。バンドの長い道のりを振り返ってもらいながら、作品が完成するまでのエピソードを訊いた。

取材・文 / 高橋美穂

ミクスチャーに分類されるのが嫌だと思った時期もあった

──まず、結成15周年を迎えた今の心境から教えてください。

ライブ写真

SATOSHI もう15年かっていう。だいぶあっという間な感覚が強いですね。

KOJIMA いろいろあったけど、あっという間みたいな。

──そうなんですね。山嵐は、ミクスチャーロックっていう言葉が生まれた時期から活躍している印象なんですけど、そもそも当時は、どんな考えで音楽性を決めていったのかが、改めて気になって。

KOJIMA ずーっとロックとかメタルとか好きで育ってきて、ヒップホップが好きになった時期に、ちょうどアメリカでもKORNとかLIMP BIZKITが出てきて、そういった音楽を日本語でやろうっていうのが最初だったんです。その頃から、メンバー各自の好きな音楽性をぶつけ合う姿勢は変わっていないですね。

SATOSHI ただ、僕たち自身はミクスチャーロックっていうつもりで始めたわけではないので。周りが言ってくれているので、そういう位置付けになったっていう。

KOJIMA 一時期はそうやってカテゴライズされることが嫌だと思っていたこともありましたね。

SATOSHI 今は、自分たちは気にしないっていうふうに思ってますけど。聴いた人が決めてくれればいいっていう感覚なんで。

──じゃあ、シーンを切り開いてきた自負というものは?

SATOSHI あるっちゃあるんですけど……意固地になっていたりはしていないですね。あと、15周年ってうたうこと自体も、そんなに僕たちは好きじゃなかったんですが、そういう話をしている間に、節目って大事なんだなあって思って。要するに僕たち、何かにこだわり続けたりとかしてこなかったんですよ。だから、逆に長くできているのかなって思ったりします。

リスナーから求められることに100%応えることはできない

──もちろん積み重ねも反映されているでしょうけど、その瞬間の音楽を作り続けているということなのかもしれないですね。

SATOSHI 音作りに関しても本当にスリリングなんです。何来るの次!? みたいな。

──長年同じメンバーでやってきて、嗜好や手癖を理解していても?

SATOSHI はい、年を追うごとにですね。

KOJIMA 予想どおりのものを作ると、充実度が6割くらいしか持てないんですよね、メンバーの性格的に。うお、こんなのきた!っていう、1個越えた部分がないと、作品として出してはいけないって思っているっていうか。当たり前過ぎるとボツったり、うちらがやる必要ないよねってなるんです。

SATOSHI 僕の場合、メンバーがGO出せばそれでOKって思ってますよ。そこが一番ハードル高いんで(笑)。ほんっと、天才ばっかで困るんですよね(笑)。

KOJIMA (笑)。まあ確かに、メンバーが唸ってくれたときは、それで完成しますね。

──唸らせるには時間が掛かりますか?

SATOSHI それは時と場合によりますね。全員が第一印象で同じことを思えば早いんですよ。でも、1人ないし2人が迷ったりすると、いろんな監査が入るよね(笑)。多分、全員が飽きっぽいんですよ。だから、山嵐はこういうことをやってればいいんだよって根強く思っている人たちのニーズには、100%応えることができないんです。やろうとはするんですよ? 求められてる感覚もあるので。でも、やってみると自分たちは全然燃えなかったりして。

KOJIMA 最初から、表現したかったものが変わっていくのは当たり前のことで、同じことは繰り返せないんですよね。だから、離れちゃう人がいるのもしょうがない。そこらへんは自分の中で決着つけないと、音楽やっていくことが楽しくなくなっちゃうし。ただ、自分の中でやりたいものだったら、変化したものであっても、6人で鳴らせば山嵐になるし。そういうところに考えが切り替わったんですよね。

ミニアルバム「YAMABIKO」 / 2011年8月31日発売 / 2100円(税込) / 徳間ジャパン / TKCA-73677

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CD収録曲
  1. Future is now
  2. OVERDRIVE
  3. LINK UP feat. HAN-KUN (湘南乃風) & KAI-SHINE
  4. BE STRONG
  5. ROCK流刑地
  6. 心眼
  7. fellowship feat. JESSE (RIZE) & Kj (Dragon Ash)
  8. BOXER'S ROAD (SONPUB remix)
山嵐(やまあらし)

KOJIMAとSATOSHIのツインボーカルを擁する湘南出身のロックバンド。1996年の結成以来、日本におけるミクスチャーロックの草分けとしてシーンを先導し続けている。2000年10月に麻波25のYUYA OGAWA(G)が加入し、現在の6人編成となる。2005年よりライブイベント「湘南音祭」を主催し、少しずつ規模を拡大して今や恒例の人気野外フェスへと成長している。