WATARU|ありのままの自分を示すために

4月26日に自身初のフルアルバム「太陽」をリリースするWATARU。彼は2016年7月にミニアルバム「おしえて神様」を発表後、全国各地でのライブを精力的に行い、同年10月にはフジテレビ「ど夜中フェス!!」でテレビ初出演も果たした。約9カ月ぶりの新作となるこのアルバムの完成を受けて、音楽ナタリーではWATARUにインタビューを実施。ありのままの自分を示したという内容、タイトル「太陽」に込めた思いなど、アルバムについてたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 高橋拓也

楽しくやらないと意味がない

──ミニアルバム「おしえて神様」リリース後は全国各地でライブを行っていましたが、いかがでしたか。

地方でも人が入るようになってきたし、だんだんいい感じになってきました。どの場所でも自分のテンションを高めて、気持ちよくパフォーマンスができたし、お客さんも楽しそうにしてくれたんです。以前は、ライブ直前に不安で吐きそうになるぐらい緊張してたんだけど、今はそこまでプレッシャーは感じていなくて。楽しくやらないと意味がないから、お祭りだと思ってステージに立ってます。

──10月にはテレビ番組「ど夜中フェス!!」にも出演されました。これがテレビ初出演ですよね。

WATARU

自分ではそこまで意識しませんでしたけどね。普通にライブする感じ。もちろん、経験としてはものすごく大きいものでしたけど。あの日、インフルエンザで39℃近く熱が出たんですよ。

──そんな状況だったんですね。私も番組を観たのですが、不調を感じさせないパフォーマンスでした。

MCで「今熱あるんですよ! 欲しい人もらってってください!」ってネタにしたぐらいだったし(笑)。熱が出てたからこそ、逆にリラックスできたのかも。

素のままの自分を表したアルバム

──今回初のフルアルバム発売となります。「おしえて神様」からおよそ9カ月ぶりのリリースですが、前作から意識的に変更した部分はありますか?

「おしえて神様」はいい曲だけでまとめた作品になっていて、アー写でスーツを着てみたり、飾っちゃった部分が多かったんです。だから今回は素のままの自分を出せるようにしました。あと、曲調とか歌詞によって、歌い方が自然と変わるようになってきたのは実感していて。それは自分自身の成長だと思う。歌詞も18歳ぐらいの頃に思い付いたリリックもあえて入れてみたりして、ものすごく思い入れのあるアルバムになりましたね。

──アルバムタイトル「太陽」の意味は?

これはもう、太陽になりたいなって。太陽の光は浴びると気分がいいし、つらいときでもハイな気分にさせてくれるから、自分もそういう存在になりたくて。アルバムに「太陽」って曲、入ってないけど(笑)。

事実から書かないとリアリティは生まれない

──アルバムの1曲目「本能」はアイランドミュージックの要素を盛り込んだサウンド、ポジティブなメッセージを反映した歌詞など前作「おしえて神様」の各楽曲で見られた特徴を残しつつ、ガムラン風の音色やスクラッチを入れたりと、新たな表現にも挑戦しています。

WATARU

歌詞については海の要素をあまり入れず、「都会の中で絶対に負けない」という思いを込めてます。音の混ぜ方については、6人編成でのライブの音を再現しました。そこが新しいと感じてもらえたのかも。

──「Hey Girl」と「愛してる」はどちらもラブソングですが、「Hey Girl」 では2人の生活、「愛してる」では個人の思いが歌われています。それぞれ異なる視線から歌詞が描かれていますよね。

同じラブソングでも詞を書いたときの感情が異なっていて、それに合わせて視線も変えてるんです。でも、どちらの曲も「事実」と「自分の中から湧き出てきた感情」をそのまま歌詞に落とし込んでます。この作詞方法はずっと変わんない。むしろ、この作り方じゃないとリアリティは生まれないので。誰がどこで何をしていたのか、そこで俺は何を考えたのかを反映してるわけだから。

──「海に」ではある人物に対しての思いと共に、“ウソのないもの”=海となぞらえて歌われています。こういった比喩表現も前作の楽曲にはなかったですね。

これは以前、ある女性のことを心配していて、彼女のお母さんに相談したことがあって。そしたら「この子が何しても、この子には変わりないでしょ」って言われたんです。でも俺としては「あなたの子供でしょ?」って感じで。お母さんの無責任な反応にすごいショックを受けたんです。それが「その人は何をしても~」以降の歌詞に盛り込まれてます。

──だから後半では、歌い方が強い口調に変わっていると。

これはもう、怒りのメッセージなので。彼女や彼女の親の姿を、ウソのない海と比較してみたのが「海に」。理解してもらえなかった怒りに触れつつ、海のように純粋になってほしいっていう思いが込められてるんです。

──歌詞に怒りの感情を込めた、というのはWATARUさんにとって珍しいことでは?

確かにそうかも。でも自分の思いに素直になれたから、素の自分を出せたというか、飾らない表現ができたとも言えるんです。

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WATARUとSoulのバイブス

WATARU「太陽」
2017年4月26日発売 / OCEAN'S RECORD
WATARU「太陽」

[CD]
2300円 / OCS-1002

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収録曲
  1. 本能
  2. Hey Girl
  3. 上を見よう
  4. 一番星
  5. 海に
  6. 愛してる
  7. My hometown
  8. I'm Alone
  9. かくれんぼ
WATARU ONEMAN LIVE "Sunrise"
  • 2017年6月24日(土)
    東京都 TSUTAYA O-nest
WATARU(ワタル)
1989年東京生まれ。幼少時から空手やサーフィンなどのスポーツに親しみ、高校時代に音楽活動を開始。ハワイアンレゲエやヒップホップ、R&B、カントリーの影響を受け、千葉・外房でサーファーとしての活動を行いつつ、自身の音楽スタイル“アイランドミュージック”を確立する。2016年より都内を中心にライブ活動を積極的に行い、7月に1stミニアルバム「おしえて神様」を発表した。2017年4月26日には自身初のフルアルバム「太陽」をリリース。6月24日には東京・TSUTAYA O-nestでワンマンライブ「Sunrise」の開催を控えている。