音楽ナタリー Power Push - T-SQUARE

41枚目の新作完成、大ベテランが語るインストの魅力

T-SQUAREという名前は知らずとも、彼らのヒット曲であり、フジテレビ「F1グランプリ」のテーマ曲「TRUTH」は、誰もが耳にしたことがあるのではないだろうか。1970年代に日本のフュージョンバンドとして誕生したT-SQUAREは、誰もが口ずさめるようなメロディックなインストゥルメンタルミュージックを指標し、THE SQUARE時代から数えて39年にわたって活動を続けている。

そんな彼らが安藤正容(G)、伊東たけし(Sax, EWI, Flute)、河野啓三(Key)、坂東慧(Dr)という布陣で、41作目となるアルバム「PARADISE」をリリースした。今回はインストに魅了され続けてきた彼らに、そのバンドの成り立ちから、インストの魅力、そして「PARADISE」について語ってもらった。

取材・文 / 伊藤大輔 撮影 / 上山陽介

 
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楽器で対話をするような音楽が好きだった

──T-SQUAREは1976年の結成(当時はTHE SQUARE名義)以来、ポップなインストバンドとして活動を続けていますが、そもそもインストに惹かれた理由はなんでしたか?

伊東たけし(Sax, EWI, Flute) 僕は中学、高校と吹奏楽をやっていて。選んだ楽器がフルートとサックスで、これらの楽器の音色に惹かれたのがインストゥルメンタルミュージックへの入り口になったと思います。それと家では父親がジャズをはじめ、いろんな音楽を聴いていたこともあって。もちろんその中にはボーカルの入ったレコードもあったんですが、それよりも僕は“楽器で対話をする”ような音楽が好きでした。吹奏楽でもジャズでもそうですが、ドラムがいてハーモニーを奏でる楽器がいて演奏を通して対話していく……例えば1つのメロディがアドリブを通して膨らみ、起承転結して次へとつながるような演奏がまず魅力ですね。それに加えて、それぞれの楽器の奏者が生み出す、訴えかけるような音色とメロディ。もちろんこれは、管楽器奏者である僕の視点で見たインスト音楽の魅力で、ギタリストの安藤はまた違う意見を持っていると思います。

安藤正容(G)

安藤正容(G) 僕はもともとThe Beatlesが好きでしたが、大学の頃にジャズを知ってから、プレイするジャンルはインストに移行していきました。1970年代にジャズの中でもクロスオーバーというジャンルが出てきて、それ以前のジャズよりも聴きやすいスタイルの音楽が好きになり、自分でもやってみたいと思って始めたのが、今の前身となるバンドTHE SQUAREでした。

──バンドを結成した当時に、影響を受けたアーティストは誰でしたか?

安藤 今言ったクロスオーバー系のアーティストですね。結成当初はリー・リトナーやジョージ・ベンソン、ラリー・カールトンなどの楽曲の作り方を参考にしていました。とは言え、初代バンドメンバーだった仙波清彦(Per)の影響で、当時は少し変わった音楽性でしたが(笑)、その後1980年代前半に和泉宏隆(Key)が加入してから、今のスタイルが確立されていきました。ポップな歌モノのようなメロディがあるインストで、ところどころに各演奏者としての表現があるというのが、僕たちの音楽の特長だと思っています。

“SQUARE流”インストはアドリブでもメロディありき

──徹底してメロディに重点を置いているのがT-SQUAREの個性でもあると思います。

伊東 安藤がメインの作曲家なので、彼の思想性による部分が大きいですね。僕らの場合、例えば1つのフレーズがあったとしたら、それをどう展開していくかは各ソリストにある程度委ねられますが、その中でもメロディを大切にしながら、曲のアレンジの一環としてアドリブをしていこうという意識を持っています。自由な演奏といっても、メロディありきというのが僕らの演奏のやり方で、次々にソロを回していくセッションとはまるで違うというのが“SQUARE流”とでも言えるでしょう。その根源にあるのは安藤のメロディですね。

──その“SQUARE流”の演奏をする上で、何か具体的な決め事はあるんですか?

伊東たけし(Sax, EWI, Flute)

伊東 決め事と言えるかどうかはわからないですが、ある程度アレンジされたものをレコーディング時に演奏しているので、ライブではもっと自由に演奏することがあります。たださっき言ったSQUARE流とはルールを作るのではなく、メンバー全員の中で“これがいい”という意識を共有する、ということなんです。だから演奏すれば自然とT-SQUAREの音楽に収まってくれるというか。

──そのブレない共通意識があるからこそ、T-SQUAREの楽曲には耳心地のいいメロディが常に存在しているのですね。

伊東 そうですね。あとは透明感や疾走感を感じたい、聴いたときにがんばるぞっていう気持ちになったりする……そういったサウンドが“SQUAREらしさ”であり、それがリスナーにポップな印象を与えているのだと思います。

ニューアルバム「PARADISE」2015年7月8日発売 [CD+DVD] 3700円 / T-SQUARE Music Entertainment / OLCH-10001 / Amazon.co.jp
「PARADISE」
CD収録曲
  1. Mystic Island
  2. Vivid
  3. Paradise
  4. Through The Thunderhead
  5. 彼女と麦わら帽子
  6. Eternal Glory
  7. Knock Me Out
  8. Night Cruise
  9. 夏の終わり
DVD収録内容

「一夜限りのFANTASTIC SQUARE@豊洲PIT」より

  1. First Impression
  2. Surfin' On The Sky

※Special Digest

ライブBlu-ray / DVD「一夜限りのFANTASTIC SQUARE LIVE」2015年8月26日発売 / T-SQUARE Music Entertainment
「一夜限りのFANTASTIC SQUARE LIVE」
[Blu-ray Disc] 9000円 / OLXL-70001 / Amazon.co.jp
[DVD2枚組] 8000円 / OLBL-70001~2 / Amazon.co.jp

2015年5月26日に開催された「一夜限りのFANTASTIC SQUARE@豊洲PIT」の模様を完全収録。

BSフジ「THE SQUARE×T-SQUARE スペシャルライブ ~一夜限りのFANTASTIC SQUARE 特別編~」放送決定!
  • 放送日時:2015年7月18日(土)25:00~
T-SQUARE(ティースクエア)

T-SQUARE1976年に安藤正容(G)を中心に結成されたインストゥルメンタルバンド。現在のメンバーは安藤、伊東たけし(Sax, EWI, Flute)、河野啓三(Key)、坂東慧(Dr)の4人。THE SQUARE名義で1978年に1stアルバム「LUCKY SUMMER LADY」でデビューし、翌1979年にT-SQUAREに改名した。1987年発表のアルバム「TRUTH」の表題曲はフジテレビ「F1グランプリ」のテーマ曲として有名。日本のみならず海外でも精力的に活動しており、アメリカや韓国など国外でも人気を得ている。2008年5月には旧メンバーも参加したスペシャルバンド・T-SQUARE SUPER BAND名義でデビュー30周年記念アルバム「Wonderful Days」をリリース。同年9月、東京・日比谷野外大音楽堂で「T-SQUARE 30th Anniversary Concert 2008 “野音であそぶ”T-SQUARE SUPER BAND THE SQUARE×T-SQUARE~since1978」を開催し、歴代メンバーが一堂に会してライブを行った。2013年4月にデビュー35周年記念アルバム「Smile」、翌2014年6月には通算40枚目のオリジナルアルバム「NEXT」を発表。2015年5月、東京・豊洲PITにてT-SQUAREとTHE SQUAREが登場する一夜限りの企画ライブ「T-SQUARE×THE SQUARE」を実施し、7月に41枚目の新作アルバム「PARADISE」をリリースした。同月に新作を携えてのライブハウスツアー、8月にはホールツアーを開催する。