T. Rexトリビュートアルバム特集|アキマツネオ×ROY対談 2人が語る、ロックンロールとマーク・ボラン愛

T. Rexのトリビュートアルバム「T. Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba」が9月13日にリリースされる。

1970年代前半のイギリスで巻き起こったグラムロックムーブメントの中心的なバンドT. Rex。本作はバンドのリーダーであったマーク・ボラン(Vo, G)の生誕70年を記念して、アキマツネオ(Rama Amoeba、マルコシアス・バンプ)プロデュースにより制作された。アルバムにはROY(THE BAWDIES)、オカモトショウ(OKAMOTO'S)、廣瀬“HEESEY”洋一(THE YELLOW MONKEY)、菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)、シシド・カフカ、村越“HARRY”弘明、志磨遼平(ドレスコーズ)、越川和磨(THE STARBEMS)、加藤ひさし(THE COLLECTORS)、橋本愛奈(チャオ ベッラ チンクエッティ)、日高央(THE STARBEMS)、吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)といった豪華なアーティストたちが参加しており、「Get It On」「20th Century Boy」などの代表曲のほか、ボランとデヴィッド・ボウイによる幻のコラボ曲「Sitting Next To You」のカバーも収録される。またアキマが監修したT. Rexのベストアルバム「BEST OF T.REXXXXXXX」も9月13日に同時発売される。

このトリビュートアルバムの発売を記念して、音楽ナタリーではアキマとROYの対談を企画。ROYがボーカルを担当した「Get It On」の制作のエピソードや、T. Rexの魅力について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 草場雄介

アキマさんの前で歌うのは、マーク・ボランの前で歌うのとほとんど同じ

──「T. Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba」でROYさんは「Get It On」のボーカルを担当しています。T. Rexのもっとも有名な楽曲ですが、この曲を歌うことになったときはどう思いました?

左からアキマツネオ(Rama Amoeba、マルコシアス・バンプ)、ROY(THE BAWDIES)。

ROY(THE BAWDIES) めちゃくちゃプレッシャーでしたね(笑)。アキマさんがプロデュースするT. Rexのトリビュートに参加するだけでもすごいことなのに、しかも「Get It On」ですから。「え、俺ですか?」っていう。

アキマツネオ(Rama Amoeba、マルコシアス・バンプ) 「Get It On」は誰もやりたがらないから、歳下のROYに頼みました(笑)。あと独特のスタイルを持っていて、振り切れてるボーカリストに歌ってほしかったんだよね。「ROYが『Get It On』を歌えばカッコいいんじゃないか?」と思って。実際すごくよかったしね。

──まさにROYさんらしいボーカルですよね。ソウルミュージック直系のスタイルで。

アキマ そうそう。それが「Get It On」に似合っていて。マーク・ボランはブラックミュージックが好きだったし、「Get It On」を黒人のラッパーがカバーしたバージョンもありますからね。

ROY ソウル的な解釈ですよね。原曲に寄せることも考えたんだけど、「俺に話が来たということは、いつも通りにやってほしいということかな」と思って。

アキマ そうだよ。ボランに寄せてくれなんて、まったく考えてない。

左からアキマツネオ(Rama Amoeba、マルコシアス・バンプ)、ROY(THE BAWDIES)。

ROY 僕は不器用なので、寄せようと思っても寄せられないんですけどね(笑)。なのでいつも通り、自分のスタイルでバーン!と歌いました。レコーディングは緊張しましたけどね、最初。アキマさんの前で歌うということは、マーク・ボランの前で歌うのとほとんど同じと言うか……。

アキマ (笑)。

ROY 「これでいいのかな?」と思ってたんだけど、ウオーミングアップで歌ってる段階からアキマさんがノッてくれてたから「あ、大丈夫なんだな」と。

Rama Amoebaの演奏、原曲そのままだ

──アキマさんがアレンジしたサウンドも素晴らしいですよね。特にギターの音がすごくて。

ROY そうなんですよ。このテイクをTHE BAWDIESのメンバーと一緒に聴いたときも、曲が始まった瞬間にいい意味で笑っちゃったんです。「すげえ、原曲そのままだ」「この音、出せるんだね」って。

アキマツネオ(Rama Amoeba、マルコシアス・バンプ)

アキマ バックトラックは俺がやってるRama Amoebaが担当したんだけど、「Get It On」をカバーするのはプレッシャーでしたね。シンプルな曲だからこそ、本家と同じグルーヴを出しづらいので。

──なるほど。

アキマ バックトラックと違って、ボーカルレコーディングはすごくスムーズでしたね。ROYもそうだし、今回参加してくれたボーカリストはみんな自分らしく歌ってくれて。今回ね、どのボーカリストもほんのわずかな時間で録り終えたんですよ。

ROY しっかり準備してきたんでしょうね。素晴らしいボーカリストばかりですけど、アキマさんに誘われてT. Rexのトリビュートに参加するって、すごいことですから。

アキマ 確かに準備はしてくれてたみたいだね。それぞれが「自分がこの曲を歌う意味はなんだろう」と考えてくれたと言うか。それはすごくうれしかったです。

ROY 僕もほかの収録曲を聴いていてドキドキしました。皆さんがどんな感じで歌ってるかも気になったし。

アキマ そうだよね。

ROY しっかり自分のスタイルを持っていて、やっぱり素晴らしいシンガーばかりだなって。その中にちょっとボランの要素を入れている方もいて、それも楽しかったし。でも、一番強く感じたのはアキマさんのボランに対する愛情ですね。参加している方もボランに愛情を注いでいるんだけど、アキマさんの愛情は深さが全然違うなって。

アキマ まあねえ(笑)。今回のレコーディングは俺が一番楽しかったと思うよ。レコーディングで一番嫌なのは、ボーカルを入れるときなんですよ。ギターにこだわって、バックトラックがいい感じでできても、ボーカルの体調によって仕上がりが変わってくるし。ROYもそうだし、参加してくれたみんなががんばってくれてうれしかったです。

V.A.「T. Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba」
2017年9月13日発売 / Victor Entertainment
V.A.「T. Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba」<

[CD]
3000円 / VICL-64822

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収録曲 / 参加アーティスト
  1. Get It On / ROY(THE BAWDIES)
  2. Celebrate Summer / オカモトショウ(OKAMOTO'S)
  3. Light Of Love / アキマツネオ feat. 廣瀬“HEESEY”洋一(THE YELLOW MONKEY)
  4. 20th Century Boy / 菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)
  5. Metal Guru / シシド・カフカ
  6. The Slider / 村越 “HARRY” 弘明
  7. Dreamy Lady / 志磨遼平(ドレスコーズ) feat. 越川和磨(THE STARBEMS)
  8. Midsummer Night's Scene / 加藤ひさし(The Collectors)
  9. Life's A Gas / アキマツネオ&橋本愛奈(Ciao Bella Cinquetti)
  10. The Soul Of My Suit / 日高央(THE STARBEMS)
  11. The Prettiest Star / 吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)
  12. Sitting Next To You / アキマツネオ&吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)
「CROSSBEAT presents『CHILDREN OF THE REVOLUTION~ロックが僕達にもたらしたもの~』」
2017年9月13日発売 / シンコーミュージック・エンタテイメント
V.A.「T. Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba」

[書籍] 1620円

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T. Rexのトリビュートアルバム「T. Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba」をプロデュースしたアキマツネオと、本作に参加したアーティストによる“ロック対談集”。

登場アーティスト

吉井和哉(THE YELLOW MONKEY) /廣瀬“HEESEY”洋一(THE YELLOW MONKEY) /加藤ひさし(THE COLLECTORS) / シシド・カフカ / ROY(THE BAWDIES) /日高央(THE STARBEMS) /菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet) / オカモトショウ(OKAMOTO'S) / 越川和磨(THE STARBEMS)

T. Rex「BEST OF T. REXXXXXXX」
2017年9月13日発売 / Victor Entertainment
V.A.「T. Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba」

[CD]
2916円/ VICP-65470

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収録曲
  1. Solid Gold Easy Action
  2. Metal Guru
  3. Telegram Sam
  4. The Slider
  5. Chariot Choogle
  6. Cadilac
  7. Children Of The Revolution
  8. Mad Donna
  9. Left Hand Luke And The Beggar Boys
  10. 20th Century Boy
  11. The Groover
  12. Truck On(Tyke)
  13. Venus Loon
  14. Teenage Dream
  15. Light Of Love
  16. Zip Gun Boogie
  17. Jupiter Liar
  18. Dawn Storm
  19. London Boys
  20. Universe
  21. Dandy In The Underworld
  22. Celebrate Summer
「~マーク・ボラン追悼~ GLAM ROCK EASTER Vol.31」
2017年9月16日(土)東京都 東京キネマ倶楽部
出演者 Rama Amoeba(featuring Mitsuhiro Ishida) / 廣瀬“HEESEY”洋一(THE YELLOW MONKEY) / 日高央(THE STARBEMS) / 宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))
サポートメンバー:三国義貴 / 原田千栄 / 高仲尚子
※チケットソールドアウト
「T.Rex Tribute ~Sitting Next To You~」発売記念TOUR
  • 2017年9月30日(土)愛知県 ell.SIZE(ワンマンライブ)
    出演者 Rama Amoeba
  • 2017年10月1日(日)大阪府 knave(ワンマンライブ)
    出演者 Rama Amoeba
  • 2017年10月20日(金)福岡県 LIVE HOUSE CB
    出演者 Rama Amoeba / TEENAGE NEWS / KING BEE / The Rustic One Nights
  • 2017年10月21日(土)福岡県 LIVE HOUSE CB
    出演者 Rama Amoeba / 鶴川仁美's BLOW(ゲストギタリスト:西宗岳志) / DAZ Zeppelin
THE BAWDIES「EXPLOSION OF MUSIC MONSTERS」
  • 2017年11月15日(水)愛知県 DIAMOND HALL
    出演者 THE BAWDIES / SiM
  • 2017年11月17日(金)大阪府 なんばHatch
    出演者 THE BAWDIES / マキシマム ザ ホルモン
  • 2017年11月26日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
    出演者 THE BAWDIES / 9mm Parabellum Bullet / the dresscodes with B(ドレスコーズのバックバンドをTHE BAWDIESが務めるこの日限りのコラボレーションユニット)
Rama Amoeba(ラーマアメーバ)
2008年、マルコシアス・バンプのアキマツネオが“ワールドワイドに活動できる唯一無二のグラムロックバンド”をテーマに結成。メンバーチェンジを経て、現在はアキマ、大島治彦(Dr)、吉田ブギー(G)、清水"Matty"ケンヂ(B)の4人で活動を行う。2009年7月に初のオリジナルアルバム「Hello! End Of The World」とカバーアルバム「Golden Age Of Glam Rock」をリリースしメジャーデビューした。国内外でライブ活動を行い、これまでに3枚のオリジナルアルバムを発表。アキマがスタートさせ、現在ではバンドが主催するマーク・ボラン追悼イベント「GLAM ROCK EASTER」は2016年で30周年を迎えた。
THE BAWDIES(ボゥディーズ)
ROY(Vo, B)、TAXMAN(G, Vo)、JIM(G)、MARCY(Dr)によって2004年1月1日に結成。リズム&ブルースやロックンロールをルーツにした楽曲と熱いライブパフォーマンスが各地で噂を呼ぶ。2009年4月に発表したメジャー1stアルバム「THIS IS MY STORY」は「第2回CDショップ大賞」を受賞。2013年1月に4thアルバム「1-2-3」をリリースし、同年2月より横浜アリーナ、大阪城ホール公演を含む59公演の全都道府県ツアーを開催した。2014年1月に結成10周年を迎え、同年3月にカバーアルバム「GOING BACK HOME」を、12月には5thアルバム「Boys!」を発表し、2015年3月には2度目の日本武道館公演を成功に収めた。10月にペトロールズの長岡亮介をプロデューサーに迎えたシングル「SUNSHINE」を、2016年7月にはgo!go!vanillasとのスプリットシングル「Rockin' Zombies」をリリース。2017年2月には約2年ぶりのニューアルバム「NEW」を発売した。