ナタリー PowerPush - 東京カランコロン×クリープハイプ

2013年ブレイク期待2大バンドの本音

楽しくやってたいからインディーにいるよりずっとやりがいがある

──お互い、自分の所属してるレーベルに対してはどんなふうに思っているんでしょう?

いちろー

いちろー 一昨年ぐらいからかな、メジャーの人がライブを観に来るようになって「いいのはわかるけど、どう売ったらいいかわかんない」みたいなことを言う人が多いんですよ。それには腹立ってたんですよね。それを考えるのがお前らの仕事じゃん!と俺は思ってて。そんな中で、エイベックスの人だけが「こんなバンドほかにいないからやろうと思った」っていう話をしてくれて。それが一番うれしかったかな。だからこそメジャーでやる意味があると思うし。そういう意味でエイベックスを今回選んだっていうのはよかったなっていう思いはあります。それに、スタッフの人もすげえいい人たちばっかりだよね?

せんせい みんなが思ってるエイベックスのイメージとはぜんぜん違うよね(笑)。

いちろー いやあ、やっぱでもいるんですよ? エイベックスの社内にいるとね、白いシュッとした靴履いて、「オイース!」みたいに電話してる人とエレベーターとかで一緒になる(笑)。でもやっぱり、みんな一生懸命でいい人たちばっかりだから。

尾崎 ビクターもそうですよ。ほんとに恵まれてます。もちろん、ちゃんと結果出してないと一緒にやれないってのはリアルなところであると思います。インディーズよりもそこが厳しい。契約が切れちゃったらもう一緒にできないし。そういう緊張感のある中でやれるっていうのは面白いですけどね。いや、面白くはないか。

いちろー あはは(笑)。

せんせい でも、楽しくやってたいから、インディーでやってるよりずっとやりがいがあるよね。

この2人は「考える班」の人

──実は、バンドの環境についての話を最初にしたのは、尾崎さんも、いちろーさんも、すごくしたたかだと思うからなんですよね。大前提として自分たちの曲や音楽に自信があるし、だからこそ何か言われてもそれを逆手に取ってユーモア込めて表現にするようなところがある。そういうところは共通点かもしれないと思って。

左から、いちろー、せんせい、尾崎

いちろー 尾崎くんも俺もすごい考えながらやってるのは一緒ですね。だから話が合うのかな。

尾崎 あと負けず嫌いっていうところがある。

いちろー それはすごいあるね。天才タイプの人って、いるじゃん。何も考えずに売れちゃうような人。それはすごいと思うんですけど、この2人は「考える班」の人というか。

尾崎 いちろーさん、すごい言うんですよ。さっきみたいな感じで「太った?」とか「今回の曲は地味だけどいいね」とか。一言多いタイプで。「一言多い班」の人なんですけど(笑)。そういうことを言う人が周りにいないから面白いですね。だから、作品を出すときには、とりあえずまずこの人を黙らせないとっていう気持ちはあります。

いちろー いや、逆に言うと、「ほんとに今回もよかったです!」とか「感動しました!」みたいなことしか言わない人って、ありがたいけど実はぜんぜん為にならないというか。

尾崎 ライブに関してもすごい言ってくれるんですよ。「今日はぜんぜんよくなかったね」とか。

──信頼がないとそういうこと言えないですからね。

いちろー 責任取れないしね、余計なこと言って。

尾崎 やっぱ人にそういうこと言うのって、しんどいじゃないですか。ありがたいなと思いますね。あとは、やってる音楽性もちょっと違うから、言いやすいっていうのもあるのかもしれない。まあ僕がカランコロンに「よくなかった」なんて言ったこと一度もないですけどね(笑)。

会社の社長みたいな感覚でバンドをやってる

──せっかくお互いなんでも言い合える関係性だということで、お互いの音楽をどう見ているのかを聞こうと思うんですが。まず、昔からお互い知ってるんですよね。

尾崎 そうですね。

いちろー 覚えてないでしょ? クリープハイプと初めて対バンしたの、ウチらが今のメンバーになる前だから。

──何年くらいですか?

いちろー 2009年の初めぐらいかな、たぶん。

──そのときのクリープハイプとカランコロンってどういう感じだったんですか?

尾崎 俺は、その頃「わかりづらいことをやってんな」と思ってましたね。アレンジとかも難しかったし。そこから話もしてなかったし。距離があって。でも、2011年に多く対バンした時期があって。たまたま1カ月のうちに5回か6回ぐらい一緒にやってたんですよ。で、最後の対バンのときにすごい寂しい感じになって。

いちろー ああ、なんか言ってたね。そんな話した気がする。

尾崎 あ、俺好きになってんのかなっていう。

いちろー で、その前からアドレス交換して話はしてたんですけど、お互いムカつくことが一緒だったんだよね? わりと考え方が一緒だなって思ったんですよ。俺は、最初に観たときからずっとカッコいいなと思った。そのときから「イノチミジカシコイセヨオトメ」やってて。

尾崎 やってました。

いちろー そう。その曲「いい曲だな」と思って覚えてたの。でも、すれ違っても挨拶もしないし、感じ悪い人だなと思って俺はしゃべりかけなかった。で、あとからそのイベントを主催した人に聞いたら、「尾崎くんは、普段からツンケンしてて酒飲まないとしゃべんないよ」って言われて。その後酒を飲んでしゃべってたら意気投合した記憶がある。

──尾崎さんといちろーさんは、どういうところが意気投合したんですか?

尾崎世界観

尾崎 会社の社長みたいな感覚でバンドをやってる人って、あんまりいなくて。いちろーさんとしゃべってるときって、いつもそういう感じでしゃべってますよね? おたくの社員たちはがんばってますかみたいな(笑)。

いちろー 2人ともプロデューサー志向というか、お互いにバンド全体をディレクションする視点で見てるところがあるんですよね。もちろんお互いにこういう曲を作ろうとか音楽のことも考えてるんだけど、それだけじゃなくて、こういう活動をしよう、こういうライブやイベントをやっていこうとか、そういうのを常に考えていて。だから情報交換ができるんですよね。

尾崎 基本的にはそういう話ばっかしてますよね。

東京カランコロン メジャー1stフルアルバム「We are 東京カランコロン」/ 2013年2月13日発売 / avex trax
初回限定盤[CD+DVD] 3500円 / AVCD-38664/B
通常盤[CD] 2800円 / AVCD-38665
CD収録曲
  1. いっせーの、せ!
  2. 少女ジャンプ
  3. ハートフルホット
  4. Darling,Hello_(SZK着メロMIX)
  5. ワンモアタイムをもう一度
  6. ポンコツ野郎の大逆襲
  7. サヨナラ バイバイ マルチーズ
  8. 渚のセレナーデ
  9. 泣き虫ファイター
  10. 青き日々よ(recorded at 音楽室)
  11. ×ゲーム
  12. ばいばい、また明日(ホーン演奏 byカンカンバルカン)
  13. おいたんのギターネタ帳(※ボーナストラック)
初回限定盤DVD収録内容
  • 渋谷CLUB QUATTROワンマンライブ「ワンマん2012」本編ノーカットライブ映像
東京カランコロン(とうきょうからんころん)

佐藤全部(B)、いちろー(Vo, G)、せんせい(Vo, Key)、おいたん(G, Cho)、かみむー氏(Dr)からなる5人組バンド。2009年5月より現メンバー編成にて活動開始。翌2010年6月に自主制作音源を発表し、インディーズチャートで1位を獲得。同年10月には初の全国流通盤となる「東京カランコロンe.t.」をリリースし、12月に初の自主企画ライブ「ワンマ ソ」を行う。その後2012年までインディーズシーンでミニアルバム、シングル2枚を発表し、8月にavex traxよりメジャーデビュー盤となるミニアルバム「ゆらめき☆ロマンティック」を発表。2013年2月には1stフルアルバム「We are 東京カランコロン」をリリースした。

クリープハイプ ニューシングル「社会の窓」/ 2013年3月6日発売 / Victor Entertainment
初回限定盤[CD+DVD] 1890円 / VIZL-522
通常盤[CD] 1260円 / VICL-36758
CD収録曲
  1. 社会の窓
  2. 週刊誌
  3. さっきの話
  4. ウワノソラ ~2012年11月24日@キネマ倶楽部「アンコールはどうする?」より(※初回限定盤のみ収録)
  5. 社会の窓(カラオケ)(※初回限定盤のみ収録)
初回限定盤DVD収録内容
  • ドキュメンタリー・ミュージック・ムービー「あたしの窓」
  • ミュージック・ビデオ「社会の窓」
クリープハイプ

尾崎世界観(Vo, G)、長谷川カオナシ(B)、小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)からなる4人組。2001年に結成。2009年に現メンバーで活動を開始。インディーズで2010年にアルバム、2011年にミニアルバムをリリースする。2012年4月にアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」をメジャーレーベルからリリースし、同年10月に発表した1stシングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」がオリコンCDシングル週間ランキングで初週7位にランクイン。2013年3月にはメジャー2ndシングル「社会の窓」をリリースする。