ナタリー PowerPush - ザ・ビートモーターズ
正統派R&Rから等身大のサウンドへ 待望フルアルバムを秋葉正志が語る
2枚のミニアルバムを経て初のフルアルバム「The First Cut is The Sweetest」をリリースしたザ・ビートモーターズ。60~70年代のロックを彷彿とさせるシンプルで力強いR&Rを響かせる4ピースバンドだが、この1stアルバムではR&Rを過去の音楽としてではなく、今の自分たちの視点で捉え、新鮮な輝きを放つ作品に仕上げた。勢いだけではないバンドであることが本作で実感できるのだが、曲を手掛ける秋葉正志(Vo, G)も豪快なだけではない人のようで。これから意外な面もどんどん見せてくれそうなバンドだ。
取材・文/遠藤妙子 インタビュー撮影/中西求
今のライブはチャレンジしている時期
──先日ライブを初めて観せていただきまして。豪快で勢いがあって、でもちょっと外した感じが良かった。秋葉さんのパフォーマンスも、ストレートにガーッといって最後はカッコよくキメるのかと思ったら、ドラムのスティックを股に挟んだりして(笑)。
あの日のライブはちょっとだけパフォーマンスを変えてたので。いつもと違ったとこもあったんです。
──それは、ライブの場所や対バンによっても変えるってことですか?
いや、そうではなくて。新しい作品ができて、次のツアーでは新作から曲をやっていくつもりなので、それに向けての準備って面も最近のライブにはあって。今はチャレンジしてる時期なんですよ。いつも同じっていう良さもあるけど、やっぱり新しい感じのことをやってみようかって。
──私が観たライブは対バンにはオルタナ系のバンドもいて。ザ・ビートモーターズってR&R系との対バンが多いのかと思ってたけど、オルタナ系とやったライブもすごくインパクトがあって似合ってましたよ。
僕が中高生のころにオルタナとかが出てきて。個人的にはそのへんをそんなに深く聴いてたわけではないんですけど、そういう世代的なものはあるんでしょうね。だからジャンルが違っても世代が近いバンドって、どこか合う感じはして。その日対バンしたオワリカラも同世代ですし。なんか、僕ら自身は区切りなく、そういうバンドとでもやれるなって思ってるんです。静かなバンドとやっても違和感ないと思ってますし。
ブリティッシュビートカルチャーに憧れた
──60~70年代のロックが軸だと思いますが、もともと好きで聴いていたのもそのへんですか?
そうですね。そういう昔のロックを聴きだしたのは高校のころからで。最初のきっかけはTHE ROLLING STONESとかですね。同じクラスで一緒にバンドやってた友達が、モッズやブリティッシュビートカルチャーが好きな人で、そういうのを教わったりして。高校の頃はストーンズとかTHEMとか、ブリティッシュビートのバンドをコピーしてました。
──そういう60~70年代のロックは高校生の秋葉さんにはどういうふうに響いたんでしょう。渋いって思ったんでしょうか? それとも、ガーンとした衝撃があったんでしょうか?
そうですね……ブリティッシュビートに関しては渋いってイメージで聴いてましたね。ただ、それにまつわるカルチャーのムードがカッコイイなって思って。
──あぁ、音楽だけじゃなく、空気感みたいなものに惹かれてたんだ。
あ、でも音楽も聴いてるうちにちゃんと好きになりましたよ(笑)。で、そういうロックと同時にフォークとかも熱心に聴いてて。日本のURCってレーベルの。
──どっちにしろ渋いですね(笑)。お兄さんがいたとかじゃなく、自分から好きになって?
お兄さんがいる友達がいて、その友達に教わることが多かったんです。
ザ・ビートモーターズ
明治大学の音楽サークルのメンバーだった秋葉正志(Vo, G)、木村哲朗(G)、ジョニー柳川(B)が結成したロックバンド。2004年に鹿野隆広(Dr)が加入し、現在の編成となる。東京都内でのライブを中心とした活動を繰り広げ、オーディションを経て2009年4月にSMALLER RECORDINGと契約。同年7月に初の音源となるミニアルバム「気楽にやろうぜ」をライブ会場限定で発売。11月からは全国流通もスタートし、大きな話題を集める。その後「SUMMER SONIC」「COUNTDOWN JAPAN」「RADIO CRAZY」といった大型フェスやイベントにも続々と出演。2010年4月には2ndミニアルバム「素晴らしいね」をリリースし、6月に初のワンマンライブを下北沢SHELTERで開催。チケットはソールドアウトし、彼らに対する注目の高さをうかがわせた。2011年3月に初のオリジナルフルアルバム「The First Cut is The Sweetest」を発売する。