4人でいられるだけで幸せだったけど

──完成したアルバムを聴いてみて、どんな印象を持ちました？

柴田　後悔や恋愛の切なさとはまた違う、時間が過ぎていく現実や卒業前の思い出とか……いろんなものが積み重なって、切ないなって思いました。

──出来栄えには満足ですか？

柴田　もうちょっとがんばれます！

田口　このときの私たちにとってはこれがベストですけど、もっとやれたこともあるかな……。

柴田　今のほうがもっと大人っぽく作れますね。

──誰も聴いてくれなくても続けようと思ってたバンド活動だったのに、プロとしてデビューすることになって、音楽に対する気持ちは変わりましたか？　

柴田　最初は曲を作っても、誰にどう言われたっていいと思ってました。人の意見は関係ないって。でも、曲が世間に出て評価されるとなったら、1人でも多くの人に理解されたいって思うようになりました。演奏や歌が下手って言われるのは気にならないんですけど、曲についてどうこう言われたらちょっと……。悔しいですね、やっぱり。

田口　私は、音楽って怖いなと思うようになりました。自分たちの曲は大好きなんですけど、でもほかにも素晴らしいアーティストがたくさんいるじゃないですか。そういうことを聞くたびに、自分たちなんか全然だめでなんにもできない……って落ち込みます。曲を作って演奏して楽しい、だけではなくなってきましたね。

──これから音楽で叶えたい夢はありますか？

柴田　最初はこの4人で一緒にいるだけでよかったんですけど、今は音楽で多くの人に受け入れられたいって思います。その意味では有名にもなりたいし……売れたいです。

田口　自己表現できるだけでよかったのが、今は性別とか年齢関係なく、いろんな人の心に響く音楽を作りたいです。

──具体的な目標は？

田口　チャットモンチーさんみたいになりたいです。バンドって、最初は初期衝動を出すだけでみんな受け入れてくれるけど、長くやってるとまた違う何かが必要で。チャットモンチーさんは常に新しいことをやっていてカッコいいので、sympathyもそんなバンドになりたいです。

──チャットモンチーのどんなところが好きですか？

田口　人間臭さも感じさせるところ。ただ音で楽しませるだけじゃなくて、何かを訴えかけてくるような。私たちも、人に影響を与えられたらいいなって思うんです。

──柴田さんはどんなアーティストに憧れますか？

柴田　椎名林檎さんです。聴きに来てくれたお客さんを魅了できるアーティストになりたい。

──バンドとしての自分たちの強みはどんなところだと思いますか？

田口　私たちの曲はメッセージ性が強いわけではなく、無機質なんだけど、ちゃんと伝わるというか……。

柴田　「好き」「会いたい」とか、ありふれた言葉は入れないんです。「女子高生やめたい」は辞めたいってことを詞にしてるんですけど、もっと深いところの、切ない気持ちを表せたと思ってます。現実味のない詞だけど、ちゃんとリアルを歌ってるというか。「私は切なくて悲しいんです」っていう意味の言葉だけじゃなくて、音の響きやかわいさも感じてもらえたらうれしいですね。