音楽ナタリー Power Push -「Ki/oon Music presents / SLASH /」特集 #2 KANA-BOON×BLUE ENCOUNT座談会

キューンの次世代を担う2組が語る「バンドにとってライブとは?」

キューンミュージック主催によるイベント「Ki/oon Music presents / SLASH /」が11月15日に東京・新木場STUDIO COASTで開催される。当日はKANA-BOON、BLUE ENCOUNT、シナリオアート、DJみそしるとMCごはんなど、キューンミュージック所属の個性的なアーティストが集結するほか、オーディション企画によって優秀者に選出されたアーティストがライブを披露する。

以前、音楽ナタリーの特集ではこの「/ SLASH /」オーディションについてKANA-BOONの谷口鮪(Vo, G)、シナリオアートのハヤシコウスケ(Vo, G)に語り合ってもらったが、今回は新たにKANA-BOONから谷口と飯田祐馬(B)、そしてBLUE ENCOUNTの田邊駿一(Vo, G)と江口雄也(G)が参加しての対談企画を実施。対バンライブを通じて交流を深めた2組が感じるお互いの魅力、それぞれのバンドにとって“ライブ”が持つ意味、さらに「/ SLASH /」当日に向けた意気込みなどをたっぷり話してもらった。

取材・文 / 三宅正一 撮影 / 佐藤類

KANA-BOONは観るたびにパワーが強くなってる

左からKANA-BOONの飯田祐馬(B)、谷口鮪(Vo, G)、BLUE ENCOUNTの田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)。

──2バンドの出会いはいつ頃ですか?

田邊駿一 最初は2年前ですね。

飯田祐馬 長野で、THE NAMPA BOYSの企画ライブで一緒になって。

谷口鮪 悪魔のような打ち上げの思い出があります。

田邊 もう、飲んだ、飲んだ。吐きに吐いた夜でしたね。

飯田 ゲロで川ができたという。

──ヒドいですね(笑)。

谷口 でもめっちゃ楽しかった。

田邊 そこからはフェスやイベントで一緒になることもけっこうあって。

飯田 「HighApps」(HIP LAND MUSIC主催のイベントシリーズ)とかね。

──初めて対バンしたときのお互いの印象は?

田邊 ……(飯田に向かって)なんでウインクしてんの?(笑)

飯田 よく言ってほしいなと思って(笑)。

田邊 そもそも俺はKANA-BOONがインディーズでリリースしたアルバム(「僕がCDを出したら」)がすげえ好きで。俺も江口もガッツリ聴いてたので、「KANA-BOONに会える!」というテンションだったんですよ。初対面からメンバーみんな気さくないいやつらで。何回会ってもその印象は変わらないですね。

──ライブはどうでしたか?

田邊 KANA-BOONのライブは観るたびにバンドのパワーが強くなってる。だから、こっちも観ると熱くなるんですよ。自分たちとライブのアプローチは違うけど、その熱量に惹かれますね。

江口雄也(BLUE ENCOUNT / G)

江口雄也 僕が思ったのは、曲のイメージとMCのギャップがすごいなと。曲は説得力があるのにMCになると……。

谷口 説得力がない?(笑)

江口 いや、こんなに笑いに走るんだっていう(笑)。

谷口 関西人の悪い癖ですね。

江口 でも、曲に入るとグッと引き締まるから。その抑揚の付け方にお客さんもグッとくるんだろうなといつも思いますね。

ブルエンはお客さんに突き刺すようなライブをしていた

──KANA-BOONから見たBLUE ENCOUNTの印象はどうですか?

飯田 最初は怖かったですね。ブルエンの名前も曲も知ってたんですけど、YouTubeでMVを観ると1人だけめっちゃ背高い人がおるし(笑)。

谷口 あんまりこういうタイプの年上のバンドと対バンする機会もなかったし、「甘いことしてんじゃねえぞ!」とか言われるんじゃないかってビビッてたんですけど、ええ人やった。

飯田 そう、「めっちゃええ人やんか、よかったあ」って(笑)。ライブもカッコよかった。江口さんは背高いし。

BLUE ENCOUNTの田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)。

田邊 またそこ?(笑)

一同 (笑)。

飯田 でも、最初に対バンしたときめっちゃ悔しい思いをしたんですよ。

谷口 ヘコんだから打ち上げで飲みまくったっていう(笑)。

飯田 そのとき納得のいくライブができなかったというのもあるんですけど、ブルエンもTHE NAMPA BOYSもめっちゃいいライブをしていて。ブルエンはお客さんに突き刺すようなライブをしていたのに、俺らのライブは全然お客さんに刺さってなかったから。

田邊 そんなふうに思ってもらえたのは知らなかったな。逆に俺はKANA-BOONのライブを観たときに、大阪で鍛えたライブ力をすごく感じたんです。このバンドはギターロックであり歌モノのおいしいところをすべて持ってるなって。グッドメロディでしっかりお客さんをノらせていて、楽曲のクオリティがホントに高いなと。まぐぽよの歌は……。

──“まぐぽよ”って?(笑)

田邊 僕、彼(谷口)のことをまぐぽよって呼んでるんですよ。

谷口 なぜか(笑)。

田邊 まぐぽよの歌からは目の前にいる人に自分の歌を刺すという気持ちを強く感じる。そういう意志は僕も持ってるからすごく共感できるなと。だから、最初に対バンしたときKANA-BOONの物販でトートバッグを買いましたもん(笑)。めっちゃ使ってました。

──KANA-BOONは、当時はライブで敗北感を覚えることが多かったんですか?

谷口 いまだに多いです。「うわっ、負けた!」って思うことがめっちゃあります。

飯田 ブルエンにもいつかリベンジしたいとずっと思ってたんですけど、レーベルメイトになるって知ったときはうれしかった。

谷口 ブルエンがキューンでデビューしてからさらに距離が縮まって、イベントやフェスで一緒になる機会も増えましたけど、そのたびに勝てへんなと思う部分もあるんですよ。毎回この人たちにどういうところで勝てるかを考える。でも、演奏とMCのギャップで言ったら、ブルエンもけっこうありますよね。(田邊に)「どんだけしゃべんねん!」って思うし(笑)。あんだけしゃべれるなら演説とかできると思う。

田邊 前に誰かに「いい政治家になれる」って言われたことがある(笑)。でも、まさか自分たちがキューンでデビューできるとは思ってなかったから。KANA-BOONがキューンでデビューしたときすげえなと思ったし。俺らはホントに高校の頃から好きなレーベルがキューンだったんです。ASIAN KUNG-FU GENERATIONやチャットモンチーをめっちゃ聴いてたから。

Contents Index
#1 KANA-BOON×シナリオアート対談
#2 KANA-BOON×BLUE ENCOUNT座談会
Ki/oon Music presents / SLASH /
2015年11月15日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 14:00 / START 15:00 / END 21:00(予定)
<出演者>
KANA-BOON / BLUE ENCOUNT / シナリオアート / DJみそしるとMCごはん / and more
チケット料金:前売 4000円(ドリンク代別途必要)
※高校生以下はキャッシュバックあり(500円)
一般発売:2015年10月18日(日)10:00~
KANA-BOON(カナブーン)

KANA-BOON

谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を始める。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たした。2014年はテレビ東京系アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングテーマ「シルエット」を含め精力的に新作を発表する。2015年1月には2nd Album「TIME」をリリース。3月には大阪・大阪城ホールおよび東京・日本武道館にて初のアリーナワンマンライブを行い成功を収めた。11月11日にはフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送のアニメ「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」の、KANA-BOONがオープニング・テーマ、シナリオアートがエンディング・テーマに起用されたスプリットシングル「talking / ナナヒツジ」をリリースする。

BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)

BLUE ENCOUNT

田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年に3人の進学先である東京の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年に1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリースし、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演でチケットをソールドアウトさせている。2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」を発売した。同年9月にキューンミュージックより4曲入りCD「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。2015年5月にはテレビ東京系アニメ「銀魂°」オープニングテーマ「DAY×DAY」をシングルリリースした。7月22日、メジャー1stフルアルバム「≒」を発表。