「THE EYEWALL NiGHT vol.1」MAH(SiM)×TAKUMA(10-FEET)×GEN(04 Limited Sazabys)|デカ箱で対バンライブを行う意味

リスペクトや感謝の気持ちを正直に言えるようになった

──フェスを主催する前とあとで変わったことはありますか?

MAH(SiM)

MAH 俺は、悔しさよりも正直に「すごいな」って思うことを大事にするようになって。俺だけなのかもしれないですけど、今までは誰かに対して「すげえな」って思うときに悔しさが勝っちゃって「俺もがんばればできるし」って思ってたんです。だけどフェスを主催して、いろんな人の力を借りるようになってからは、単純に「すげえな」って言えるようになった。相手に対してのリスペクトとか感謝の気持ちを正直に言えるようになったんですよね。1つのライブを作るためにどれだけの人が動いてるかとか、どれだけお金がかかってるかが見えて、いろんな人に対して感謝の気持ちが生まれるようになりました。逆にライブに呼んでもらえたときも「大変だろうなあ」って思えるようになったし。そういうのがわかるようになると、例えば朝、会場に入ったときの挨拶のボリュームだったり、帰るときの楽屋の片付け方だったり、そういうことも今まで以上にちゃんとできるようになりましたね。まあ俺はもとのレベルが低かったから、やっと普通の人ぐらいになったかなって感じですけど。

GEN MAHさんが言ってることすごくわかります。僕らは“感情マン”なので、気持ちが入ってるときっていいライブができるんですよ。「やっと出れた!」とか「あのバンドに呼ばれた!」とか。逆に思い入れのないと言うか、ゆかりのないイベントのときって不完全燃焼のライブをしてしまうことが多かったんです。でも自分で主催するようになってからは、開催に至るまでの苦労とかを想像できるようになって、どんなイベントにも思いを入れられるようになりましたね。

TAKUMA 2人が言ってたように、特に仲間が主催してるフェスでは、今までライブハウスで対決してきたヤツが用意してくれたリングに立つわけで。「このリング、アイツが3日3晩徹夜で作ったんだ。ロープもコーナーポストも全部アイツが作ったんだ」って思うとね……それで「全部引っくるめてお前をブッ倒してやる、手加減はしねえよ?」みたいなそういう気持ちになりますよね。で、そこからGENの話と似ていて、そのリングを用意してくれたのがバンド仲間じゃなくても気持ちを込められるようになって、その結果、ライブハウスっていう存在がよりありがたくなりましたね。「このリング、あいつが3日3晩徹夜で……」みたいなことも考えずに、ただブッ飛ばすことだけを考えさせてくれる場を、ライブハウスの人がいつも用意して待ってくれてるんだ、と。対決する場所、切磋琢磨して成長させてくれる場所が、設営せんでもあんねんなと。

GEN あとほかのフェスで導線とかそういうのをチェックするようになりました。装飾とか飲食店とか見て「あれ、いいなー」とか「ここ見事だな!」とか。

MAH わかる。そういうとこまで気になるようになっちゃうよね。

TAKUMA 「ここは、絶対隠したほうがいいでしょ」とかね(笑)。

「カッコいいね、売れるかもね」って言えるようなシーンに

──冒頭でGENさんが「SiMは自分たち以上に本気で音楽シーンをひっくり返そうとしてるんだなという気がする」と言っていましたが、MAHさんは実際に「大きい会場でライブをやることでシーンをひっくり返していきたい」という気持ちはあるんでしょうか?

MAH 俺、変なのかもしれないですけど、バンドを始めた当初から「自分たちがどうなりたい」ということよりも、「もっとカッコいいバンドがたくさん出てきてほしい」という気持ちが強いんです。だから「SiMがいたことによって、その後のロックシーンがなんか変わったね」ってのちのち言われるようなバンドになりたいと思って。ロック年表みたいなものがあったとして「あそこでSiMがこれをやったことによって、これが起こった」って書かれるような、そういう存在になりたいし、なれないんだったら意味がないと思ってるんです。だからロックバンド……中でもシャウトも入って、チューニングも低い、そういうバンドがホールを埋めるとか、テレビに出るとか、そういう今までの日本の音楽シーンの常識で考えたら「まあ無理だよね」って言われてたことを1つずつ壊していきたいなと。

TAKUMA(10-FEET)

TAKUMA なるほど。

MAH 俺らがライブハウスでライブを始めたぐらいのときに、「SiMはカッコいいけど売れないよね」「SiMカッコいいね。でも日本じゃ売れないよね。ははは」ってずっと言われてたんです。そのときの気持ちがずっと根っこにあって、今後そういう若手バンドが出てきたときに「カッコいいね、売れるかもね」って言えるようなシーンになってほしくて。だから漠然としてますけど、そういうロックバンドの見え方を変えていきたい。そのためにいちいち、みんなの意表を突くと言うか……いい意味で期待を裏切るような活動をしていきたいなって思ってます。

GEN 僕も自分がライブハウスに育ててもらったし、ライブハウスにお世話になったので「自分たちがライブハウスを出ちゃったら恩を返せないんじゃないか」って昔は思ってたんですよ。でも僕らがもっと大きいところで大きいことをやることで「バンドってすごいんだ」って思ってもらえたり、若手バンドが「俺らももっと上を見れるぞ」とやる気を出したりして、ライブハウスがもっと盛り上がるんだと思えるようになって。そういう間接的な恩の返し方をしたいなと思うようになりました。MAHさんが言ったロック年表に僕らも載りたいですし。

いろんな意味でぶっ飛ばす

──では最後に「THE EYEWALL NiGHT vol.1」への意気込みをお一人ずつ聞かせてもらえますか?

GEN(04 Limited Sazabys)

GEN 実は僕が初めてライブに行ったのが、愛知・日本ガイシホールなんです。中学3年生のときで、いろんなバンドが出てるラジオ局主催のイベントだったんですけど、僕はそこからいろんなバンドを掘り下げてライブハウスに行くようになったんですね。だから誰かの人生にとってそういうきっかけになるような、大事な日にしたいです。あとは僕らが一番若手なので、世代交代したいです。SiMにはずっと1歩先を行かれてる気がするので、そろそろなんとかしたいなと。

TAKUMA さっき言うた通り、「ホール面白いっすよ。やってみてください」って話から「僕やるんで一緒にやりましょうよ」って呼んでくれたんがうれしくて。そのうれしい気持ちをそのまま表現したライブにできたらいいなって思ってます。

MAH 俺は2組をいろんな意味でぶっ飛ばそうと思っています。

GEN 直接的な意味ではないですよね? どうしよう、シメられたら(笑)。

MAH ふふ(笑)。いろんな意味でぶっ飛ばそうと思ってるんで。この3バンドがフェス以外で対バンするの、今回が初めてなんですよ。今回は3組だけで、しかもホールで。今までと同じものが観れると思ったら大間違い。SiMだけ、フォーリミだけ、10-FEETだけでは見せられないものが見せられるかもしれない。ホールに悪いイメージがある人ほど観に来てほしいですね。みんなが持ってるいろんなイメージは壊れると思うので。

THE EYEWALL NiGHT vol.1
2017年9月17日(日)兵庫県 ワールド記念ホール

出演者
SiM / 10-FEET / 04 Limited Sazabys

SiM(シム)
SiM
MAH(Vo)、SHOW-HATE(G)、SIN(B)、GODRi(Dr)の4人からなる湘南で結成されたレゲエ・パンクバンド。2004年11月に結成され、数度のメンバーチェンジを経て2009年に現編成となる。パンク、ハードコア、スクリーモをベースとする轟音サウンドにスカやレゲエのエッセンスを取り込んだ“レゲエパンク”サウンドで頭角を現す。ライブハウスシーンを中心に活動し、2011年「KiLLiNG ME」のMUSIC VIDEOの視聴回数がインディーズバンドとしては異例の再生回数を記録(現在1600万回以上再生)。同曲を収録したアルバム「SEEDS OF HOPE」もスマッシュヒットを記録した。メジャー10社以上が獲得に乗り出す中、ユニバーサル・ミュージックをパートナーに選び、2013年4月に4thシングル「EViLS」、10月に3rdフルアルバム「PANDORA」を発売。その後も着実にリリースを重ね、2015年11月には日本武道館公演も完売させた。2016年4月には4thフルアルバム「THE BEAUTiFUL PEOPLE」を発売。同アルバムのリリースツアーでは全国26公演すべてがソールドアウトとなる。野外開催2年目となる自身主催イベント「DEAD POP FESTiVAL」を大成功に収め、10月にツアーのグランドファイナルとして行った神奈川・横浜アリーナでのワンマンライブも即日の完売となった。2017年3月から4月にかけて実施したワンマンツアー「THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR -season II- "ONEMAN SHOWS 2017"」では全国10カ所で28000人以上を動員した。7月に「DEAD POP FESTiVAL 2017」を主催。9月には兵庫・ワールド記念ホールで対バン企画「THE EYEWALL NiGHT vol.1」を実施する。
10-FEET(テンフィート)
10-FEET
TAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHI(Dr, Cho)の3名によるスリーピースバンド。メロディックパンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ、ボサノバなどのさまざまなジャンルを取り入れたサウンドで人気を集めている。また精力的にライブ活動を続け、その迫力満載のライブパフォーマンスや人間味あふれる深いメッセージが込められた楽曲、笑顔を誘い出すキャラクターでもファンを魅力。さらに日本はもとよりアメリカや韓国、台湾でもライブを行うなど、活動の幅を世界に広げている。また自身で主催するフェス「京都大作戦」も例年大成功におさめている。2017年に結成20周年を迎えた。
04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
04 Limited Sazabys
2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年2月に3rdミニアルバム「monolith」、同年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。同年10月にメジャー1stシングル「TOY」を、2016年3月に1st DVD「MOMENT」を発売。4月には初の主催フェス「YON FES 2016」を大成功に収めた。ニューシングル「AIM」を6月に発表し、9月に2ndフルアルバム「eureka」をリリース。2017年2月に初の東京・日本武道館公演を成功に収め、6月にその模様を収録したBD/DVD「LIVE AT NIPPON BUDOKAN」を発売した。8月にシングル「Squall」を発表。11月からはワンマンツアー「04 Limited Sazabys “Squall tour”」を開催する。