音楽ナタリー Power Push - 柴田淳×中田裕二
ベスト盤「しばづくし」発売記念対談
デビュー15周年に突入した柴田淳が、ベストアルバム「All Time Request BEST~しばづくし~」をリリースした。
15周年にちなみ15日間限定でファンからのリクエストを募り決定した全29曲を、2枚のCDに収録した本作。DISC 1にはインディーズ時代の楽曲「ピンクの雲」「心がうたうとき」「パズル」、DISC 2にはCHEMISTRYに詞を提供した「月夜」と中島美嘉に詞曲を提供した「声」のセルフカバーという、本作ならではの貴重な音源も収録されている。
豪華なベスト盤のリリースを記念し、音楽ナタリーでは対談を企画した。お相手は柴田のファンであることを公言し、今夏にはジョイントライブの経験もある中田裕二。お互いのルーツや音楽性の共通点を探りつつ、柴田淳の持つ個性に迫った。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 福本和洋
エゴサーチきっかけに知った中田裕二の存在
中田 柴田さんと実際お会いしたのはけっこう最近なんですよ。昨年末、福岡の「チャートバスターズR!」という番組でご一緒したのが最初。もちろんそれ以前からファンでしたし、自分のライブでは柴田さんの「片想い」という曲をカバーさせてもらったりもしていて。
柴田 私が最初に中田さんを知ったのは、自分がどう思われているのかをTwitterで検索しているときで。
中田 エゴサーチですか(笑)。
柴田 そう(笑)。そのときにプロフィールに柴田淳と椿屋四重奏の名前が並んで出てくることがすごく多かったんですよ。で、いつか聴きたいなと思っていたんですけど、実はすでに聴いていたんです。いいなあと思って聴いていたけど誰が歌ってるか知らない曲がいくつかあって、それが椿屋四重奏だったの。
中田 へえ、そうなんですか。
柴田 で、昨年末に共演のお話をいただいたときに、「あ、椿屋の人だ!」と思ってすごくワクワクしたんですよね。
──お互いの音楽についてはどう感じていますか?
中田 柴田さんはすごくオリジナリティを持っていて、どんな曲も歌いこなせる普遍的な声がまず印象的ですよね。あと、自分がやっている世界とそう遠くない感じが昔からしていたところもあって。例えばマイナー調の曲が多いところとか。
柴田 うんうん。中田さんのファンの方にも、「2人はソウルメイト的な同じニオイがする」とかすごくうれしいことを言っていただいたことがあって。私としても何か通じるものはあるなって思ってました。ただ、中田さんの曲は私が作りたくても作れない、「そうそう、これなんだよな」って思えるものがすごく多くて。それがちょっと悔しいなと思いつつ、クルマの中でよくCDをかけて一緒に歌ってますね。
中田 僕の歌を僕よりうまく歌えちゃって(笑)。
柴田 いやいや!
美声とはこのことだなって
──今年の夏には、「音霊 OTODAMA SEA STUDIO」でツーマンライブもやられたんですよね。
中田 はい。僕の曲を一緒に歌ってくださったり、僕が柴田さんの曲を歌ったり。あと一緒にカバーもやりましたね。
柴田 私のテンポが全然遅すぎて、中田さんを一生懸命追っかける感じになってましたけどね(笑)。ダメだなあってすごく思いました。でもね、あの日は会場の地面が砂浜だったりとけっこう特殊な環境の中でのライブだったんですけど、ものすごく気持ちよく歌えたんですよ。声もすごく出たし。自分では中田さんのファンの方に聴いていただく歌としてはいいものになった気はしていて。
中田 いやほんとにすごかったですよ。福岡の番組は収録だったので、柴田さんの生の歌声を聴いたのはあのライブが実は初めてで。これはもう普通の人では出せない声だなと改めて思いましたね。美声とはこのことだなって。
柴田 褒め殺しなら負けませんよ(笑)。中田さんはその日も私の「片想い」を歌ってくれて。なんかね、モテる人はやることが違うなと思いました。こんなことされたら女子は絶対キュンキュンしちゃうでしょ!っていう。すごくうれしかったです。
中田 いやでも、あの曲はすごく難しいんですよ。これをいつも軽々歌ってらっしゃる柴田さんはやっぱりすごいなって思いつつ。
柴田 軽々歌ってないですけどね。あれ歌わないですもん。なるべくライブで避けます。
中田 え、そうなんですか!? 歌ってくださいよ!(笑)
柴田 キーがね、高すぎるんです。しかもサビが長すぎないですか?
中田 でも、そのことでどんどん切なさが増幅されてく感じがありますよね。
柴田 そうなんですけどねえ。歌いやすい曲から選んでいくと、どうしてもメニューに「片想い」は上がってこないっていう(笑)。
中田 ぜひ生で聴きたいけどなあ。でも、あの「OTODAMA」での経験はすごく勉強になりましたよ。柴田さんのような歌手然とされてる歌い手の方と共演するとすごく刺激を受けるので。光栄だなって。
柴田 私も勉強させていただきました。ああいった形でほかのアーティストの方と共演することがあんまりないので、すごく楽しかったですし。そのあとには、中田さんのワンマンも観せていただきました。皆さん知ってらっしゃると思いますけど、歌唱力があるので安心して聴けました。しかもボーカルだけでもすごいのに、ギターにも長けているっていう。それにも感動して。私なんてまだまだ努力が足りないなって思いましたよ。だから私もギター始めます!
中田 いやいや(笑)。やらなくていいと思いますよ! 柴田さんにはピアノがありますし、そもそも楽器すら必要としない歌声ですからね。歌うだけでそこに価値が生まれるから、ギターを始める必要なんてないんじゃないですか?
柴田 えー、ちなみに中田さんはいくつからギターやってるんですか?
中田 13歳くらいからですね。
柴田 そっか。じゃあ……20年くらいかあ。私が今からやったら還暦を迎えそうな感じですよね(笑)。でも次のステップに進むために、真剣に考えてみたいと思います。で、いつかサプライズで中田さんの曲をギターで弾けたらいいな。
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- 柴田淳 ベストアルバム「All Time Request BEST ~しばづくし~」2015年11月25日発売 / Victor Entertainment
- 「All Time Request BEST ~しばづくし~」
- 初回限定盤 [CD2枚組+グッズ] 4320円 / VIZL-909
- 通常盤[CD2枚組] 3564円 / VICL-64478~9
- Loppi・HMVアニバーサリー盤 [CD2枚組+グッズ] 4320円 / NZS-727
DISC 1収録曲
- ぼくの味方
- 隣の部屋
- 未成年
- それでも来た道
- 月光浴
- あなたとの日々
- 片想い
- 夢
- 後ろ姿
- ちいさなぼくへ
- 愛をする人
- ため息
- ピンクの雲
- 心がうたうとき
- パズル
DISC 2収録曲
- HIROMI
- Love Letter
- 花吹雪
- 救世主
- あなたの手
- 十数えて
- 雨
- マナー
- 哀れな女たち
- キャッチボール
- 道
- 今夜、君の声が聞きたい
- 月夜
- 声
初回限定盤特典
- カレンダー「しば歴(ごよみ)」
Loppi・HMVアニバーサリー盤特典
- ぽるちー手ぬぐい
- 中田裕二 ニューアルバム「LIBERTY」2015年10月28日発売 / Getting Better
- 初回限定盤[CD+DVD] 3780円 / TECI-1471
- 通常盤[CD] 3240円 / TECI-1472
CD収録曲
- WOMAN
- KILL YOUR SMILE
- en nui
- SO SO GOOD
- リボルバー
- とまどい
- MUSK
- ヴィーナス
- 朝焼けの彼方に
- 月の恋人たち
- STONEFLOWER
初回限定盤DVD収録内容
- STONEFLOWER(Music Video)
- 朝焼けの彼方に (Music Video)
- TERMINAL(yuji nakada presents “spring has come !” -Live at Billboard Live TOKYO, 17th April 2015-)
- リバースのカード(yuji nakada presents “spring has come !” -Live at Billboard Live TOKYO, 17th April 2015-)
- Steady(yuji nakada presents “spring has come !” -Live at Billboard Live TOKYO, 17th April 2015-)
- つかずはなれず(yuji nakada presents “spring has come !” -Live at Billboard Live TOKYO, 17th April 2015-)
- 話をしないか(yuji nakada presents “spring has come !” -Live at Billboard Live TOKYO, 17th April 2015-)
- MIDNIGHT FLYER(yuji nakada presents “spring has come !” -Live at Billboard Live TOKYO, 17th April)
柴田淳「Jun Shibata 15th Anniversary Special Moon night Miracle party」
- 2016年1月11日(月・祝)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
OPEN 16:00 / START 17:00
柴田淳インストアライブ(ミニライブ&握手会)
- 2015年11月29日(日)東京都 HMV&BOOKS TOKYO 7Fイベントスペース
START 17:00
柴田淳(シバタジュン)
1976年生まれ、東京都出身の女性シンガーソングライター。幼少期からピアノを習い、音楽に親しみながら育つ。2001年10月にシングル「ぼくの味方」でメジャーデビュー。2002年3月に1stアルバム「オールトの雲」を発表する。以降もコンスタントに作品を発表し続け、2008年9月には映画「おろち」のテーマソング「愛をする人」を書き下ろし、音楽ファン以外の注目も集めた。透明感のあるボーカルと、女性の情念を繊細に描いた詞世界が支持されている。CHEMISTRYや中島美嘉らへ楽曲提供を行うなど、作曲家としても活躍中。デビュー10周年を迎えた2012年10月に、初のカバーアルバム「COVER 70's」を発表し、ボーカリストとしても高い評価を得る。2013年3月に9枚目となるオリジナルアルバム「あなたと見た夢 君のいない朝」、2014年12月に10作目となるアルバム「バビルサの牙」を発表。2015年11月にデビュー15周年企画の一環でベストアルバム「All Time Request BEST ~しばづくし~」をリリースした。
- JUN SHIBATA 15th Anniversary Special Site
- JUN SHIBATA official website - 柴田淳オフィシャルウェブサイト
- 柴田 淳|ニュース|Victor Entertainment
- 柴田淳(@shibatajun) | Twitter
- 柴田淳の記事まとめ
中田裕二(ナカダユウジ)
1981年生まれ。熊本県出身。2000年に宮城県仙台にて椿屋四重奏を結成する。2003年にインディーズデビューを果たし、2007年にはメジャーシーンへ進出。歌謡曲をベースにした新たなロックサウンドで多くの音楽ファンを獲得したが、2011年1月に突然の解散を発表した。同年3月に新曲「ひかりのまち」を中田裕二名義で配信リリースし、本格的にソロ活動を開始する。11月に1stソロアルバム「école de romantisme」をリリース。精力的に作品を発表し、2014年6月にはカバーアルバム「SONG COMPOSITE」、2015年11月にオリジナルとしては5作目となるアルバム「LIBERTY」をリリース。2016年1月からは、キャリア初のホールツアーを含む3形態のツアーを同時開催する。