プロデューサーとの作業で気付いた自分の新しい一面
──今作はアルバムとしては2年3カ月ぶりのリリースと、結構時間が開きましたね。
曲は前回のアルバムを出した直後から書き始めてたんです。ただ、いつもはアルバムのタイトルとかイメージがバンと先にあって、その終着点を想像しながらぶわっと作っていく感じだったんですけど、今回は自分の中の限界を飛び越えるというか、もうちょっといろんなところに行ってみたいなって自由な発想で1曲ずつ作ってました。そういう中で、川村カオリさんに歌詞を書いていただいた「遠い声」という曲をきっかけに、カオリさんとお仕事をされていたプロデューサーの方と出会って、シングル「STAY」を作ることになったんです。で、それがすごくいい感じだったので、アルバムでもご一緒させてもらうことにしたんですよ。プロデューサーと一緒に仕事をするのはここ何年間で初めてだったので、すごく勉強になりましたね。
──これまではずっとセルフプロデュースでやってきていたんですね。
そうですね。アレンジャーやエンジニアと一緒のラインでデスクトップに向かってアレンジしていくみたいな共同作業でずっと作ってきてました。でも今回はプロデューサーがいて、アレンジャーを紹介してもらって、私が作ったデモをお渡ししてっていうやり方で。デモの方向性のままできあがった曲もあるし、劇的に変わった曲もあるんですけど、もうね、餅は餅屋とはよく言ったもんで(笑)、できあがってきたものはどれも「これ!」って言える素晴らしい仕上がりだったので、すごくうれしかったし、ありがたかったです。
──素晴らしい出会いが生んだ有意義な体験ですね、それは。
ほんとに。今までは宅録に近くて、ひとりでコーラスを録ったりもしてたんですけど、今回は歌録りもシビアで厳しくて。完璧にディレクションしてくださるんですよ。だからレコーディングでは必死で歌いましたもん(笑)。丁寧に録ると丁寧な作品ができあがるんだなっていうことが明らかになりましたね。アハハハハ。
──キャリアがある分、他者からの言葉を柔軟に受け入れるのって難しくはありませんか?
今までの作品をしっかり作ってこれたからこそ人の気持ちに同調してみることの楽しさとか、頼れる人がいることの安心感とかも感じたんですよね。あとは単純に、新しい価値観に出会わせてもらったんです。わりと物事を熱くとらえるほうだから、男前なイメージを持たれることが多いんですよ。実際の性格もそうだし。でも同時に、女性のリスナーさんからは「LOVEちゃんの世界観の繊細なところが好き」って言ってもらえることもあって。
──うん、確かに歌詞の描き方なんかからは、繊細な部分がしっかり見えてますもんね。
で、プロデューサーが今回、リスナーにそうやって言ってもらえる部分を、変に誇張しないでナチュラルに表現できるようになるともっといいんじゃないかなって言ってくれたんですよ。それが一番安心感をもらった言葉で。逆に、負けず嫌いな一面もあるから、プロデューサーにハードルを上げられるほど「全部やってやる!」って思えたし(笑)。やっぱりアーティストは厳しい人と一緒にいたほうが成長できますね、うん。
ラジオのパーソナリティを始めたことはすごく大きな転機
──「Telepathic Love Songs」というアルバムタイトルはどのタイミングで決まったんですか?
「テレパス」っていうシングルを出したときに、アルバムはこのタイトルで行こうって考えがポンと浮かんだんです。だから「テレパス」は大事な曲ですね。
──“テレパシック”という言葉には精神感応というような意味がありますけど、LOVEさんの中ではこの単語に対してどんなイメージが膨らんだんでしょう?
なんだろな、呼応する感じですよね。今回のアルバムにはモデルがはっきりしている曲が多いんですよ。その曲をまず届けたい“最初の一人”がはっきりしてるというか。「WELCOME BACK」もそうだし、「LADY DAISY」なんかもそう。それぞれ、同年代の働いている女の子たちに向けて書いた曲なんですけど。
──どうしてそうなったんでしょうね。
それはたぶん、ラジオのパーソナリティを始めたことがすごく大きな転機になってると思います。ラジオ番組を始めたばかりの頃ってそんなにリアリティがわからなかったんですよ。でも、あるときタクシーに乗ったら「LOVEさんですよね? 声でわかりました」って運転手さんに言われて。あぁ、ちゃんと伝わってるんだなぁって気付いて、ものすごく感動したんですよね。そんな経験もあって、思いを発することとそれに呼応してつながることの大事さを改めて知ったというか。そういう意味を、今回のタイトルにこめたつもりです。
CD収録曲
- WELCOME BACK
- テレパス
- Let Your Love Sing!
- LADY DAISY
- 遠い声
- 君は僕のセンユウ
- Tonite Tonite
- STAY
- The First & The Final
- KISS ME IN THE RAIN
- ヒヒノハ
- VOYAGER
初回限定盤DVD収録内容
「君は僕のセンユウ」「STAY」「テレパス」ミュージックビデオ+オフショット映像
ライブ情報
LOVE VOYAGER TOUR開催中!
2011年4月16日(土)福岡県
タワーレコード福岡店内イベントスペース
START 16:00※入場フリー
2011年4月29日(金・祝)大阪府
タワーレコード梅田NU茶屋町店内イベントスペース
START 16:00※入場フリー
※今後のツアー日程は特設サイトにて発表
LOVE(らぶ)
大阪出身の女性シンガーソングライター。2006年からライブ活動を始め、2007年3月に配信限定シングル「過ちのサニー」でデビュー。同年「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND 2007」のバッキングボーカルオーディションで3000名の応募者の中から合格し、9都市12公演のツアーに参加して注目を集める。同世代から共感を集める叙情的な歌詞と伸びやかな歌声を武器に、積極的なライブ活動を展開。またTOKYO FMの昼間の帯番組「LOVE CONNECTION」や、FM OSAKA「LOVE RADIO」のパーソナリティとしても活躍中。また、毎週金曜にはUstreamにて"朝活"番組「朝LOVEやねん」を配信し、飾らないトークで人気を博している。2011年4月、3rdアルバム「Telepathic Love Songs」をリリース。