くだらないブームはもう断固として拒否したい

宮田　でもそうは言ってもあんま深くは考えてないですよ。守るべきイメージみたいなのも特にないんですよね。

澤　人のやらんことをやりたいっていう、そういう単純なことかもしれないです。

──じゃあファンの期待に応えるためにやってるわけでもないと。

澤　ファンの人でも、もしかしたら音源とライブだけで全然いいのにっていう人もおるかもしれないし、このDVD観て「アホや」と思う人もいるかもしれないし。だからまあ、結局自分らがイメージ作りみたいなことをしても、結局そんなもんはすぐ崩れるんやと。今の時代、情報がこんなに行き交ってるし。意味はないんですよ。「こいつら楽しそうやな」って思ってもらえればいいんです。

渡辺　ある意味、意味がないことに意味があるような「なんも考えんでいいよ」って言ってる作品ですから。

岡本　だから名前も「猫Pack」ということで。

──なるほど。タイトルからして肩の力が抜けてますもんね。だからもう黒猫チェルシーは自分たちのイメージに沿って、写真撮られるときは常にこの角度で、みたいなことをやるバンドではないと。この作品でバンドのスタンスがすごくはっきりわかった気がします。

澤　面白いと思わへん人はそれでいいと思うし、そういうことも含めて、俺らこっち側やで、そんなキメキメじゃないんやで、っていう意思表示。それはありますね。

岡本　最初からそれを提示してたはずやのに、なんでかシリアスに捉えられて。

澤　今回はだからそのへんを過剰に見せた感じです。僕らのユーモアを過剰なくらいに映像として入れてみた。だからもしこれを観て「ロックバンドってそんなもんと違うやん」って思うやつらがいても別にいいし。

宮田　同じことはしたくないんですよね。ちゃうねんと。流れに呑み込まれたくない。周りのダサいバンドが比較対象にできないレベルまで行きたいですね。

澤　俺らと同じ世代のロックンロールバンドなんていくらでも、うんざりするぐらいいるし、そういうもんの中で勢いづいてるなんて言われる風潮がまた嫌いなんで、どこがやねんっていう話で。たまたまたくさんいるからただ今そこに目が行っとるだけ。だからそういうくだらないブームみたいなものに当てはめられることはもう断固として拒否したい。ひねくれてるんですよ。

──黒猫チェルシーがひねくれたバンドなのは知ってます（笑）。

澤　でもひねくれててもまっすぐですよ。絶対真剣ですもん。チャラチャラと音楽しとらんぞ、真剣に考えとるぞ、ということを言いたいですね。今回はシングルでもアルバムでもない「黒猫アイテム」って感じですけど、次のやつで必ず最高のものを作るんで。

──期待してます。

澤　うん、今チョロQで言ったらカリカリってバックしてるとこなんで！ ここからシャーって走っていきますよ！