ナタリー PowerPush - 清竜人

どうしちゃったの!? 異色作「MUSIC」に迫る 堀江由衣との対談&単独インタビュー

清竜人の4thアルバム「MUSIC」が完成した。これまでのアコースティックな肌触りとは大きく異なる打ち込み主体のサウンド、いびつなミュージカルのような世界観、堀江由衣や多部未華子ら声優&女優のゲスト参加、「りゅうじんのエッチ♡~ぼくのばちあたりな妄想劇~」「Fall♡In♡Loveに恋してるっ♪」などの過剰な楽曲タイトル……さまざまな意味で大きな変化を感じさせる異色作だ。

ナタリーではこのアルバムの核心に迫るべく、インタビューを敢行。オープニングナンバー「CAN YOU SPEAK JAPANESE?」に参加した堀江由衣との対談と、清竜人単独インタビューの2本立てでお届けする。

取材・文 / 臼杵成晃 インタビュー撮影 / 中西求

清竜人×堀江由衣 対談

しっかり自分で「音楽できたなあ」と思えるアルバムになった

──2月に堀江さんのアルバムが発売された際のナタリーの特集では、収録曲「CHILDISH♡LOVE♡WORLD」を提供した清さんをゲストにお招きしましたが、今回は逆のパターンということで。堀江さんはもう清さんのニューアルバムをお聴きになりましたか?

インタビュー写真

堀江由衣 聴かせていただきました! もう密度が濃すぎて。長い時間をかけて制作されているというお話は伺っていたのですが、そりゃあ時間かかるだろうっていうぐらい世界観も密度も濃い、作り込まれた曲が多いなと思いました。

──これまでの清さんの作風を知っている人には、ちょっと衝撃的でもありますよね。

堀江 きっと驚かれる方が多いと思うんですけど、私は清さんが提供してくださった2曲で、なんというか……先に免疫があったので(笑)。やっぱりすごいなーとひたすら感動しました。

──と、おっしゃってますが?

清竜人 ……そうですね、とりあえず良かったなと。

堀江 アハハハハ(笑)。なんかもう、全曲違う世界観だし、ホントに清さんの頭の中はどうなっているんだろうっていう。

 今回でアルバムは4枚目になるんですけれど、すごく時間をかけたこともあるし、しっかり自分で「音楽できたなあ」と思えるアルバムになったので、タイトルもそのまま「MUSIC」にしたんです。

「それはなぜ堀江じゃダメなんですか?」

──堀江さんがゲスト参加している「CAN YOU SPEAK JAPANESE?」は、語学教室に通うさまざまな国籍の生徒たちが全員先生に恋をしているというとんでもない設定で。この教師役を堀江さんがよく引き受けたなと。

堀江 自分の曲でお世話になっているし、私で役に立てるんだったらぜひぜひって。でも、曲が完成形に近付くにつれ、だんだん出番が増えてきて(笑)。セリフが増え、歌う箇所も増え、最終的に自分の曲でもめったにないぐらい歌い上げたりして。うれしい半面、逆にちょっと大丈夫かなと、申し訳ない気持ちのほうが強くなってきたりはしましたが。どんどんどんどんたたみかけられるような勢いのある楽曲で、聴き終わった後にやっぱりすごい!って。

 良いコメントをありがとうございます(笑)。

──ご自身がファンである堀江さんに憧れの女教師役をオファーするというのは、結構大胆だなとも思いましたが(笑)、この配役は初めから堀江さんをイメージしていたんですか?

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 いやいや、全然そういうわけじゃなくて。むしろ参加していただけるとも思ってなかったから。元々は若い役者さんやシンガーさんにお願いしようと思ってたんですけれど、2曲続けて楽曲提供させていただいた流れで、スタッフから出たアイデアなんですよ。今思うと、すごく調子に乗ってしまったなと……。

堀江 そんなことないですよ(笑)。清さんのディレクターさんが、今回はセリフが多いアルバムになりそうだということで、誰か声優さんをご紹介していただければみたいな話になったときに、私のほうのディレクターさんが「それはなぜ堀江じゃダメなんですか?」って(笑)。だから逆に私のほうが調子に乗っちゃったなと思って。

──なるほどなるほど。作業を進めるうちにパートが増えてきたというのは、堀江さんが実際に声を当てたことで、清さんの中で曲のイメージがふくらんできたということなのでしょうか。

 堀江さんの声もそうですけど、ご本人のイメージも考えて、少し歌詞を推敲し直した部分はありました。

堀江 デモでは、清さんが全部セリフも歌も入れてらっしゃるんですよ。清さんは女の人の役もセリフがお上手で、私は清さんが演じたキャラクターの役に近付けるように意識しました。

ほっちゃんグッジョブ

──根本的な質問ですけど、今回ここまで作風を大きく変化させたのはなぜなんですか?

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 本当はこういうアルバムを3枚目のタイミングでリリースするつもりで、2年半ぐらい前にはこの中の7、8曲がもうプリプロ段階まで揃ってるような状態だったんですよ。もちろん今までやってきたアコースティックなサウンドも好きなんですが、その一方で打ち込み系のサウンドだったり、アイドルポップスの音使いにも学生時代からすごく興味があって。いつかどっかのタイミングでやろうとは常々思っていて、それを3枚目でやるはずが、流れで今回になったというだけで。

──急な変化ではなく、元々考えていたアイデアのひとつだったと。

 ええ。すごくいいタイミングで堀江さんに書いた「インモラリスト」(2011年2月2日発売のシングル曲)のコンペの話があったりして。ちょうど自分の中でそういうモードのときにお話をいただいたので、あの曲はすごくスムーズにできましたし。

──今作にはその「インモラリスト」のセルフカバーも収められていますが、堀江さんはご自身で何度も歌ってる曲を、清さんのバージョンで聴いてみていかがでしたか?

堀江 女性ボーカルも入っていて「あれ? 私かな?」とびっくりしました(笑)。私のほうの「インモラリスト」では、清さんのデモからさらに生っぽい音に落ち着いたんです。清さんのバージョンのほうが、清さんが元々考えていた音に近いそうなんですよね? 私は清さんが歌っているデモを何度も聴いて練習してからレコーディングしたんですが、デモの歌が本当に素晴らしくて「これ、私だけが聴いてちゃいけないなー」って思ってたんですよ(笑)。世の中のみんなにもこれを聴いていただかなきゃいけないと思って、清さんにも「ご自身では歌われないんですか?」って言ってたんです。そうしたらこうやって、実際に清さんファンのみなさんにも届くことがすごくうれしいです。

 でも、そもそも堀江さんが歌うことを想定して作った曲だったから、その一声をいただかなかったら歌ってなかったと思います。

──いい仕事しましたね。

堀江 私、これはホントにグッジョブだと思ってます(笑)。

ニューアルバム「MUSIC」2012年5月9日発売 EMI Music Japan

  • 「MUSIC」初回限定盤 / Amazon.co.jpへ
  • 「MUSIC」通常盤 / Amazon.co.jpへ
  • 初回限定盤[CD+DVD] 3800円(税込)TOCT-28078
  • 通常盤[CD] 2800円(税込)TOCT-28079
  • レコチョクにて着うた®、 着うたフル® 配信中!
  • EMI Music Japan SHOP
  • iTunesからダウンロード
CD収録曲
  1. CAN YOU SPEAK JAPANESE?[編曲:高橋諭一]
  2. インモラリスト[編曲:a.k.a.dRESS(ave;new)]
  3. Fall♡In♡Loveに恋してるっ♪[編曲:MOSAIC.WAV]
  4. おどれどつきまわしたろか[編曲:たかはしごう]
  5. [編曲:ANANT-GARDE EYES]
  6. GENERATION GAPなんて言わせない![編曲:川田瑠夏]
  7. りゅうじんのエッチ♡~ぼくのばちあたりな妄想劇~[編曲:新井健史]
  8. ゾウの恋[編曲:宮川弾]
  9. バカ♡バカ♡バカ♡[編曲:橋本由香利]
  10. ぼくはシンデレラ・コンプレックス[編曲:清竜人]
DVD収録内容
「EMI ROCKS 2012」のパフォーマンスを完全収録
  1. CAN YOU SPEAK JAPANESE?
  2. おどれどつきまわしたろか
  3. りゅうじんのエッチ♡
    ~ぼくのばちあたりな妄想劇~
ライブ情報

清竜人 MUSIC SHOW

2012年7月24日(火)
東京都 SHIBUYA-AX
OPEN 18:30 / START 19:30
料金:1F立見 6000円(ドリンク代別)

清竜人(きよしりゅうじん)

1989年生まれ、大阪府出身の男性シンガーソングライター。15歳でギターを手にし、作曲を始める。16歳のときには早くも自主制作盤を発表。そのクオリティの高さが音楽関係者の間で話題となる。2006年には「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2006」でグランプリを受賞し、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2006」に出演を果たす。映画「僕の彼女はサイボーグ」への挿入歌提供を経て、2009年3月にシングル「Morning Sun」でメジャーデビュー。同曲はau Smart SportsのCMソングに起用され、スモーキーな歌声とみずみずしいメロディがメディアやお茶の間の注目を集めた。同月発表の1stアルバム「PHILOSOPHY」では、自身の持つ音楽性の幅広さを証明した。その後もシングル、アルバムを精力的に発表し、ライブツアーも定期的に開催。情感豊かなサウンドが幅広く支持されている。

堀江由衣(ほりえゆい)

東京都出身の声優アーティスト。1997年に声優としてのキャリアをスタートさせた後、1998年に歌手デビュー。「ほっちゃん」の愛称で親しまれ、永遠の少女然とした自身のキャラクターと重なるオリジナル音楽作品をコンスタントに発表している。アニメやゲームのキャラクターソングも数多く手がけ、2005~2007年には声優ユニット「Aice5」としても活躍。2009年9月には声優として歴代4人目となる日本武道館公演を2日間にわたって行い、大成功に収めた。2012年1月18日には通算14枚目のオリジナルシングル「Coloring」をリリースし、2月22日には8thアルバム「秘密」を発表。なお、7月よりスタートするテレビアニメ「DOG DAYS'」ではエンディングテーマを担当することが決定している。