音楽ナタリー Power Push - kz(livetune)×種村有菜

音楽家×マンガ家が語る、リズムゲーム制作裏話

スマートフォン向けアイドル育成アプリ「アイドリッシュセブン」が8月下旬にリリースされる。音楽ナタリーではこのアプリの発表に先駆けて、ゲームのメインテーマ「MONSTER GENERATiON」を手がけたkz(livetune)と、キャラクターデザインの原案を担当したマンガ家・種村有菜の対談を企画。本稿ではそれぞれ音楽とキャラクターデザインを提供した2人による制作秘話や、すでに先行して収録される音楽などに触れている彼らが「アイドリッシュセブン」の魅力について語り合う様子をお届けする。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 笹森健一

 
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最初は記号だけ

──kzさんはゲームに収録される楽曲「MONSTER GENERATiON」の作曲を、種村さんはキャラクターのデザインを担当していますが、お2人が「アイドリッシュセブン」の企画を聞いたときの第一印象はどういうものでしたか?

左からkz(livetune)、種村有菜。

種村有菜 私はこの「アイドリッシュセブン」っていう企画の大きさに驚いたんですよ。マンガ家の仕事って作者1人の責任で動いてる部分が大きいから、今回みたいに大きな企画の歯車になって、いろんな人と作品を作り上げていくのは初めてだなって思いました。

kz これまでキャラデザなどで作品に携わったことはなかったんですか?

種村 はい、初めてだったんです。大事なところを人に託すっていうことに慣れてないから、正直イラストを担当するのは不安で……。でもやってみたら勉強になるかもしれないと思ってお受けしました。

kz 僕は最初にもらった資料に、ものすごく細かいキャラクター設定が書かれていたことにビックリして。「これはすごいプロジェクトになるぞ」というのが最初の印象でしたね。

──その資料に種村さんの絵は入ってたんですか?

kz いや、まだイラストはなかったんです。字だけでキャラクターの詳細な生い立ちとか、キャラ同士の関係性が細かく書かれていて。種村さんはあの資料を見てイラストを描かれたんですよね?

種村 多分同じ資料を見て描いていると思います(笑)。「♯くん」とか「♭くん」って書いてある……。

kz そうですそうです。最初はまだ名前も決まってなくて、代わりに音楽記号が付いていたんですよね。「♭♭(ダブルフラット)くんは♭くんの○○」みたいな説明書きで。あの資料から7人の絵ができたのはすごいなあ。

音楽を聴いて号泣

──YouTubeでは、ゲーム内のユニット「IDOLiSH7」がkzさん作曲の「MONSTER GENERATiON」をパフォーマンスする動画がすでに公開されていますが、種村さんはkzさんの曲を聴いてどういう印象を持ちましたか?

種村 私、初めてこの曲の完成バージョンを聴いたときに号泣したんです。すごくいい曲だし、声優さんの声が本当にキラキラしているのにも感動して。初めて聴いた人はみんな泣くんじゃないかな(笑)。

kz アイドルの曲を作ってるときに一番楽しいのって、レコーディングがすべて終わって、各パートを全部合わせて聴くときなんです。今回はボーカリストが声優さんで、キャラクターの性格みたいなものも歌声に込められているんですよね。7人の声がそろったときのパワーは本当にすごいと思いました。

種村 イラストを描いてからも「バンナム(バンダイナムコ)さんの期待に応えられなかったんじゃないか」とか、すっごい不安だったんです。でも「MONSTER GENERATiON」のフルバージョンを初めて聴いたとき、「この作品はもう大丈夫だ」って号泣しながら安心して。

kz(livetune)

kz ありがとうございます。実は種村さんがこの曲をどう思ってくれているのか心配だったんですよ。マンガ家の方ってキャラクターや作品の世界観に対してのこだわりが強いから、キャラの性格と歌のバランスがうまく取れているかとか気になっていて。今の話を聞いてすごくホッとしました。

──kzさんが作曲の際に意識したことはなんですか?

kz 僕、実は男性の曲ってそんなに書いたことないんです。男性アイドルといえば、やっぱりジャニーズの方々が思い浮かぶと思うんですけど、今回はそういう現実に存在している三次元のアイドルの曲とも、「アイドルマスター」みたいな二次元のアイドルの曲とも違うものを作らなきゃいけないなって考えて。二次元のアイドルってすごくキラキラしてる印象だけど、IDOLiSH7には引っ張ってく力というか、ワイルドさもあったほうがいいと思って作ったのが「MONSTER GENERATiON」だったんです。

アイドル育成アプリ「アイドリッシュセブン」

「アイドリッシュセブン」

8月20日に配信が開始されたスマートフォン向けアイドル育成アプリ。プレイヤーが7人のアイドルとともにアイドル界の頂点を目指す、フルボイスの本格リズムアクションゲームだ。製作はバンダイナムコオンラインが、楽曲制作はランティスが務める。スマートフォンゲームを起点とし、コミカライズ、音楽CD、アニメ映像など各種メディアでの展開が予定されている。

livetune(ライブチューン)
livetune

音楽プロデューサーのkzによるユニット。2007年9月、VOCALOID「初音ミク」を使用して制作したオリジナル楽曲「Packaged」を動画サイトに投稿し一躍注目を浴びる。2008年8月にアルバム「Re:package」でデビューした後、さまざまなアーティストの楽曲の作詞、作曲、リミックスなどを手がける人気クリエイターとして活動する。2011年12月に「Google Chrome “あなたのウェブを、はじめよう。”キャンペーン」のCMソングとしてlivetune名義の新曲「Tell Your World」を制作。YouTubeで公開されたCM映像は1週間で100万再生回数を超え、大きな話題を集めた。2013年3月には初音ミクのボーカロイド楽曲のベストアルバム「Re:Dial」を発表し、同年6月にはFukase(SEKAI NO OWARI)をボーカリストに起用したシングル「Take Your Way」をリリースした。2014年3月にはlivetune adding Yuuki Ozaki(from Galileo Galilei)名義によるニューシングル「FLAT」を発表。同年9月、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)や原田郁子(クラムボン)など、さまざまなボーカリストとのコラボ曲を収録したアルバム「と」をリリースした。

種村有菜(タネムラアリナ)
種村有菜

1996年、りぼんオリジナル6月号(集英社)に掲載された「2番目の恋のかたち」でデビュー。1997年にはりぼんにて「イ・オ・ン」を初連載し、その後「神風怪盗ジャンヌ」が大ヒットを記録する。同作や「満月をさがして」はTVアニメ化もされた。詩的かつ印象的なセリフまわしや、こだわりのある美しい絵は、日本のみならず海外でも人気が高い。2011年にりぼんとの専属契約を終了し、フリーに。2013年にはマーガレット(集英社)で「猫と私の金曜日」を、メロディ(白泉社)では「31☆アイドリーム」をスタートさせた。