音楽ナタリー Power Push - Hysteric Lolita×人時

大ベテランと組んだ“感情的少女”の成長

ファッション誌「KERA」のガールズバンドオーディションで選ばれた5人で結成されたHysteric Lolita。2014年5月にはシングル「絶望のスパイラル」でCDデビューを果たし、海外を含めたさまざまなイベントに出演するなど、精力的な活動を行ってきた。そんな彼女たちが2016年2月3日に1stフルアルバム「≠ Not equal」をリリースする。

バンドとしての個性を鮮烈に表現した本作のリード曲となっているのは、人時(黒夢)がプロデュースを手がけた「Voice For Voice」だ。バンドとしての地力を高めるべく、曲作りからレコーディング方法まで徹底的にこだわったこの楽曲を通して、Hysteric Lolitaは大きな成長を実感するに至ったという。その制作の過程を紐解くべく、音楽ナタリーではプロデューサーである人時と、Rani(Vo)、Basil(B)による対談を実施した。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 宮腰まみこ

ずっとガールズバンドへの憧れがあった

──まずはHysteric Lolitaの成り立ちから聞かせていただければなと。

人時 ああ、いいですね。僕も興味あるんで。

Rani(Vo)

Rani(Vo) 2年前の夏くらいに、ファッション誌「KERA」のガールズバンドオーディションがあって。そこで選ばれたメンバー5人で結成されました。

──どんな思いでオーディションを受けたんですか?

Basil(B) 私は音楽をやっていきたいっていう気持ちがずっとあったので、いろんなオーディションに応募しまくってたんです。その中に「KERA」さんのオーディションもあって、たまたまそこに引っかかることができて。ラッキーでしたね。

Rani 私は中学生の頃からずっと「KERA」を読んでるんですけど、あるときたまたま誌面でオーディションのことを見つけて。で、その日の夜中の12時が応募の締切だったんで、これはいっちょ応募だけはしとくか、みたいな。今までバンドを組んだ経験はないんですけど、やりたい気持ちは漠然と持っていたので。

Basil 私は高校からバンドをやってました。ただ、けっこう年上の方と組むことが多かったし、男女混合だったので、ずっとガールズバンドへの憧れがあったんですよね。

──オーディションを経て集まった5人でのバンド活動は最初から順調でした?

Basil 最初はやっぱりみんな緊張してましたね。「あ、それ取ってもらっていいですか? すいません」みたいな。

Rani うん。とにかく「すいません、すいません」っていう(笑)。みんな常に敬語でしたからね。でも、スタジオ練習やライブをたくさん重ねていく中で徐々に打ち解けていった感じで。今はすごく楽しいし、いい関係になってます。

Basil 音楽が5人をつなげてくれました! ……ちょっといいこと言ってみた(笑)。

コンセプトはネオゴシックロック

──バンドの音楽性としては、“ネオゴシックロック”というコンセプトを掲げていますよね。

Rani そのコンセプトは最初から決まっていたんですよ。だからうちらも最初は「なんなんだそれ!?」って感じで葛藤するところはあったんですけど(笑)。

人時 素直だなあ(笑)。

Basil でも、そこからネオゴシックロックの元になっているゴシックロックというものを調べるようになって。

Rani いろんな音楽を聴いたりしてね。そうしていく中で徐々に世界観を理解することができ、ライブの見せ方も固まってきたんですね。そうなったのはけっこう最近ですけど。

──Hysteric Lolitaの持ち味ってどんなところにあると思いますか?

Rani 歌詞に関して言うと、嫌な大人になりたくないっていう気持ちやうまくいかない毎日に対しての葛藤を歌っているものがけっこう多くて。それはメンバー自身すごく共感できるので、同世代のリスナーにもきっと響くものだと思います。で、そういったメッセージをアップテンポな激しめのロックサウンドに乗せるのも私たちらしいところかなって。決してドロドロした感じで伝えるわけではないっていう。

Basil サウンドで言うと、メンバーにキーボード担当がいて、パイプオルガンの音をけっこうよく使うんですよ。やっぱりゴシックっていうと教会のイメージが強いので、そういう部分でネオゴシックロックっていうコンセプトをしっかり表現できている気がしますね。

左からBasil(B)、Rani(Vo)。

Rani あとは「KERA」から出たバンドなんで、ファッションなんかもこだわってます。ドラム(misaT)はロリータっぽい衣装、ギター(Noa)は王子風でクールなイメージ、みたいな感じでメンバーそれぞれにテーマがあるというか。統一感はありつつも、それぞれがかぶらない個性を持っていて。

──衣装にはメンバーの意見も反映されているんですか?

Basil 衣装に関してはスタッフさんにお任せしている感じですね。「これ着てください」「はい」みたいな。

人時 そこも素直だなあ(笑)。

Rani ただ、曲に関してはかなりわがまま言わせてもらってるんですよ。

Basil うん。曲のデモをもらった段階で、いろいろアイデアを出させてもらって。コード進行まで変えちゃったりすることもありますからね。

Rani 構成を変えたりとかね。

Basil そうそう。だからすごく自由に、自分たちがやりたいことをしっかりやらせていただけている感じです。ありがとうございます!(笑)

Rani 曲に深く関われるようになったのも最近だけどね。メンバー同士の敬語が取れたことで、バンドとしてどんどん進化できているんじゃないかなって思います。

人時 なるほどね。改めてバンドのことがわかりました。

Hysteric Lolita 1stアルバム「≠ Not equal」/ 2016年2月3日発売 / [CD+DVD] 2800円 / ユニオンミュージックジャパン / UMZT-0187
1stアルバム「≠ Not equal」
CD収録曲
  • the Creation = 序
  • REAL
  • Voice For Voice
  • Hysteric (album ver.)
  • DISTRESS (album mix)
  • snowy road
  • 革命
  • ALIVE
  • 月の夜~ take me to your side~
  • Dual Anima (album ver.)
  • Reversi (album ver.)
  • Ready! It's all right!
  • 絶望のスパイラル (album ver.)
  • BLOOM

※ 順不同

DVD収録内容
  • Music Video
  • Making Movie
ライブイベント出演情報
御侠2015 in 大阪~ホントはたこパがしたいねん~
2015年12月17日(木)
大阪府 FootRock&BEERS
<出演者>
Hysteric Lolita / dolls / THE SPUNKY / ガールズロックバンド革命 / and more
ザ・ヒーナキャットのぷぷぷぷあーっぷ サンダースネイク13回目のお誕生日おめでとう!
2015年12月18日(金)
神奈川県 Thunder Snake ATSUGI
<出演者>
ザ・ヒーナキャット / Caramel / Hysteric Lolita / WELBECK / 成宮雛
Hysteric Lolita(ヒステリックロリータ)

Hysteric Lolita

Rani(Vo)、Noa(G)、Basil(B)、Layra(Key)、misaT(Dr)からなる5人組ガールズバンド。原宿系ファッション雑誌「KERA」の読者であった5人が「KERA」ガールズバンドプロジェクトの全国オーディションに参加し、約520名の中から最終選考に残りCDデビューを勝ち取る。最新の原宿系ファッションとメイクを取り入れたビジュアル、“ネオゴシックロック”を表現したバンドサウンドが特徴。Raniは「KERA」のモデルとしても活躍している。2014年5月にシングル「絶望のスパイラル」でデビュー。2016年2月には、人時プロデュースのリード曲「Voice For Voice」を含む1stアルバム「≠ Not equal」をリリースする。

人時(ヒトキ)

人時

1972年岐阜県生まれのベーシスト、プロデューサー、アレンジャー。1994年、ロックバンド・黒夢のベーシストとしてメジャーデビュー。1999年の活動停止後Spicy Sound Scratch、ROBOTSなどのバンドに加入。現在は再始動した黒夢の活動をはじめ、スタジオレコーディング、ライブサポート、プロデュース、アコースティックソロワークなど多岐にわたり音楽活動を展開中。これまでにベーシストとしてライブサポートやレコーディングに参加したアーティストはaki、CREATURE CREATURE、大塚愛、嵐、泉谷しげる、HIDEKI、鈴木紗理奈、Hysteric Blue、IZAM、YU-Aなど多数。