音楽ナタリー Power Push - 堀江由衣×angela
「K」が導くファンタジー
堀江由衣の通算19枚目となるニューシングル「アシンメトリー」が11月4日にリリースされた。表題曲は現在放送中のテレビアニメ「K RETURN OF KINGS」のオープニングテーマで、サウンドプロデュースは「K」シリーズの楽曲を多く手がけるangelaによるもの。堀江が劇中で声を演じるキャラクター・櫛名アンナの心情とリンクした、勇ましくも切ない楽曲に仕上がっている。音楽ナタリーでは今回、旧知の間柄でレーベルメイトでもある堀江とangelaの対談をセッティング。楽曲制作の裏側などをたっぷりと語り合ってもらった。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 草刈雅之
エビ事件
──堀江さんとangelaのお2人はスターチャイルドに所属するレーベルメイト、言わば同僚のような間柄で。
atsuko(Vo) そんなそんな。大先輩ですよ。
KATSU(G) 上司ですよ、上司。
堀江由衣 いやいやいやいやいや。
atsuko 17歳の大先輩(笑)。
堀江 あはははは(笑)。いやー、同僚なんですね。なんか新鮮です。
atsuko 同僚だけど頭にネクタイ巻いて飲むような経験はまだないです。
堀江 でも一緒に海鮮食べに行ったじゃないですか、海鮮。
KATSU あ、エビ事件?
──エビ事件? シングルとはまったく関係ないですけど、それ詳しく聞かせてもらえますか?
堀江 angelaさんと私と、プロデューサーの中西(豪。angela担当)さんと、私の元ディレクターの林Zさんの5人で海鮮盛りを食べたんです。海鮮はエビとかホタテとかいろいろある中で、私の中ではエビがトップなんですよ。
atsuko トップ・オブ・海鮮。
堀江 でもエビは人数分なかったから、まずはangelaさん、次に中西さん……その次が私かなあと思って、みんながエビを食べるのを待ってたんです。そしたら一番年下の林さんがいきなりエビを食べ始めて。どうしようかなと思っていたら2尾目を食べようとしたから「ちょっと待って!」って。
──堀江さんにとってエビが海鮮の上位概念であると、林さんをはじめそこにいた皆さんが事前に把握していたわけじゃないんですよね?
堀江 はい。林さんの中ではホタテだったみたいで。
atsuko 私もホタテかなあ。
堀江 いやあ、エビですよ!!
atsuko そのときに堀江さんがけっこうな勢いで「一番年下のあなたがエビを2尾も取ろうとするなんて!」と林さんに詰め寄ってたんですけど、私のお皿にはエビの尻尾が1つ乗ってたから……。
堀江 あはははははは(笑)。あれからエビが出るたびに「堀江さんエビ食べていいですか?」って聞かれるようになっちゃって(笑)。いや、小さいエビはいいんです。大きいエビ。
「K」の世界観と童話のイメージ
──堀江さんの新曲「アシンメトリー」はテレビアニメ「K」シリーズの第2期「K RETURN OF KINGS」のオープニングテーマで、テレビアニメ1期のオープニングと劇場版「K MISSING KINGS」で続けてテーマソングを担当していたangelaが楽曲制作を担当しています。堀江さんが歌う「K」の歌をangelaのお2人はどのようにして作っていったんですか?
atsuko 最初に堀江さんを交えて話し合いをする会があって、まずはお互いのイメージを出し合いました。堀江さんの楽曲としてリリースする曲ではありますけど、堀江さんはキャラクターの櫛名アンナを演じる“中の人”でもあるので「やっぱりアンナ感は出したいよね」というのがみんなの共通の意見で。あとはもちろん「K」なのでバトルシーンにも合うような雰囲気がいいねとか。そんな話をしていたら、堀江さんから「グリム童話のようなイメージを入れるのはどうですか」という提案があって。
──童話感。
atsuko 歌詞を書くときに私がイメージしたのは「白雪姫」で。白雪姫自体はちょっとポワンとしてるんですよ。そんな白雪姫が7人の小人たちに守られているイメージ。でも「白雪姫」は読み返してみると「なんでこんなにだまされるんだ!」とかツッコミどころがあるんですよ(笑)。「白雪姫」の物語そのもののイメージというより、毒リンゴとか「鏡よ鏡」みたいな言葉のイメージを歌詞に盛り込んでみました。
──グリム童話が持つ独特のムードを音楽に落とし込むような。
atsuko そうですね。MVでは堀江さんが赤ずきんちゃんのような衣装をお召しになっていますけど、グリム童話感のあるムードでシンクロしていると思います。
──なぜ童話のイメージだったんですか?
堀江 「『K』の音楽はangelaさんに任せておけば大丈夫」という安心感があったから、最初は「『K』っぽくて、アンナちゃんっぽくて、私っぽい」みたいなフワッとした発注しかしてなかったんですね。それがなんか申し訳ないなと思って(笑)、どうやったら「K」の戦う世界観をアンナちゃんっぽく表現できるかなと考えたときに、アンナちゃんが着ている服のゴスロリっぽいイメージに、現代ではない童話の時代感が合うかもなーと思ったんです。
atsuko 今まで私たちが歌ってきた「K」の曲は男臭いんですよ(笑)。ギターはギャイーン! ドラムはドコドコドコドコドコ!みたいな。それをどう堀江さんの世界観と融合するといいんだろうって、たぶんKATSUさんも悩んだと思うんですよ。
KATSU 融合はあまり考えていなかったかな。僕は今初めてジャケット写真を見ましたけど、まさにこんなイメージで。森の中と大人のファンタジー感みたいな。
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- 堀江由衣 ニューシングル「アシンメトリー」 / 2015年11月4日発売 / STARCHILD
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / KICM-91639
- アニメ盤 [CD] 1296円 / KICM-91640
- 通常盤 [CD] 1296円 / KICM-1639
収録曲
- アシンメトリー
- 星空に願いを
- アシンメトリー(off vocal ver.)
- 星空に願いを(off vocal ver.)
初回限定盤DVD収録内容
- 「アシンメトリー」MUSIC CLIP
- angela ニューシングル「DEAD OR ALIVE」 / 2015年11月11日発売 / STARCHILD
- 限定生産盤 [CD+Blu-ray] 1944円 / KICM-93304
- アニメ盤 [CD] 1296円 / KICM-3304
CD収録曲
- DEAD OR ALIVE
- ホライズン
- DEAD OR ALIVE(off vocal version)
- ホライズン(off vocal version)
限定生産盤Blu-ray収録内容
- 「DEAD OR ALIVE」Music Clip
堀江由衣(ホリエユイ)
東京都出身の声優アーティスト。1997年に声優としてのキャリアをスタートさせた後、1998年に歌手デビュー。「ほっちゃん」の愛称で親しまれ、永遠の少女然とした自身のキャラクターと重なるオリジナル音楽作品をコンスタントに発表している。アニメやゲームのキャラクターソングも数多く手がけ、2005~2007年には声優ユニット「Aice5」としても活躍。2009年9月には声優として歴代4人目となる日本武道館公演を2日間にわたって行い、いずれも成功を収めた。2015年1月には通算9枚目となるオリジナルアルバム「ワールドエンドの庭」、同年11月に通算19枚目のシングル「アシンメトリー」をリリース。
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- 堀江由衣の記事まとめ
angela(アンジェラ)
岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京したのち結成し、2003年にテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のオープニング主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示す。以来「蒼穹のファフナー」シリーズ、「アスラクライン」、「K」シリーズなど、多くの人気アニメの関連楽曲を担当。また「Animelo Summer Live」やアメリカの「SAKURA-CON」、カナダの「CANADIAN NATIONAL EXPO」、フランスの「Japan Expo」など、国内外の大型アニメ系イベントにも多数出演する。2014年には5月にアニメ「シドニアの騎士」のオープニングテーマ「シドニア」を発表。この曲は同年、アニメファンが選ぶ「アニメーション神戸賞」で主題歌賞を受賞した。2015年11月には通算25枚目のシングル「DEAD OR ALIVE」をリリース。