ナタリー PowerPush - Hi-STANDARD

東北AIR JAM成功の軌跡とバンドの未来

長くやるっていうのは、すごいことだよ!

──さて、いよいよ東北AIR JAMでのハイスタのライブシーンを収めたDVD「Live at TOHOKU AIR JAM 2012」が発売されます。開催からリリースまで、1年かかったのには何か理由があったんですか?

横山 いやね、最初はDVDで発売しようと考えてなかったんですよ。

──あ、そうだったんですね。

横山 最初からDVDにすることありきで進めていたら、たぶん3カ月で出せますよ。でも当日にならないとどんなライブになるかわからなかったから、リリースについては考えないで一応記録用に映像を撮ろうと。で、僕たちそれぞれ違う動きをしてるから、「映像チェックした?」「作品にする? しない?」ってとこから話さなきゃいけないわけですよ。そんなこんなで1年かかってしまったという(笑)。

──今年はAIR JAMがないぶん、このDVDが震災を考えるきっかけになると思いますよ。僕は去年のAIR JAMには行けなかったんですけど、このDVDを観ていてお客さんがすごく楽しそうにしてる姿や、一緒に歌っている姿、それこそ小さい子供も一緒に歌ったり踊ったりしてる姿にグッときました。

左から難波章浩(Vo, B)、恒岡章(Dr)、横山健(G, Vo)。

横山 僕もグッときましたよ。ステージ上からはわからない風景がDVDには入ってるんですよね。東北でお父さんと娘が肩車で、なんて光景を観たらねえ。しかもHi-STANDARDの曲でちょっとこう体を揺すってるなんて最高じゃないですか。

恒岡 映像を編集してるとき、僕らのライブしてる姿よりもお客さんのそういうシーンにニンマリしちゃうというか、ほっこりしちゃって。なんか「AIR JAMやってよかったんだな」って思えましたね。

──活動こそ休止してましたが、長い間バンドが存在しているから、そういう小さい子供をライブに連れてくるお客さんも増えたわけですよね。

難波 そうだね。

横山 これでハイスタが2000年代に結成されたバンドだったら、「お父さんの趣味で娘を連れてきてんだろうな」って捉えてしまうかもしれないけど。まあなにぶん90年代からやってるわけで、当時僕たちの音楽を聴いてくれた人が今「お父さんがすげえ好きだった音楽を聴かせてやるよ」って言ってるのかなって(笑)。そこのドラマが見えてくるんですよね。だからね……長くやるっていうのは、すごいことだよ! 僕たちもここまでくたばらなくてよかったと思いますね。

ここを乗り越えれば必ずいいことが待ってますよ

──それこそ90年代に活動してるときに、正直自分たちのライブに子連れのお客さんが来るなんて思ってました?

横山健(G, Vo)

横山 いや、絶対に想像できなかったですよ(笑)。思ってなかっただけに、今こうなってみて「活動休止も結果的にはあってよかったのかな」とか「ああ、人生ってすごいな」とか、改めて思うわけですよ。全部間違ってなかったんだなって。活動休止も他人から見たらマイナスに映るのかもしれないけど、僕たち3人は全員プラスに考えてますから。そこがまた面白いところなんですけどね。

難波 ステージに上がって「イエーイ!」とかひょうひょうとやってるように見えるけど、実はみんなストイックで、ときには大変な思いを抱えながらやってるわけですよ。自分たちと被災地にいる方々を置き換えることはできないけど……ここを乗り越えれば必ずいいことが待ってますよって、そういうメッセージを伝えたくてがんばったのかな。そういう思いも「届け」という言葉には込められてるんですよ。

横山 2012年のAIR JAMのメッセージはそこだったかもしれないよね。2011年のときは、それこそさっきの話にちょっと戻っちゃいますけど、11年間ストップしたバンドに対してものすごいエネルギーを費やして、ものすごくデカイ壁を取っ払って再始動した。つまり、震災に遭った人たちに「できないことはないよ」ってメッセージを送ったつもりだったんです。なんかねえ、自分らで自分らのこと、どこまでデカイバンドだと思ってるかのような発言かもしれないですけど、「ハイスタが再始動しちゃうんだから、君らだってグチグチ言うなよ」みたいな、そういったメッセージを発したつもりだったんですよ。で、2012年のAIR JAMは今難ちゃんが言ったようなことだったのかもしれない。長く続けりゃ絶対乗り越えられるし、絶対ドラマチックなことが待ってるよ、っていうようなね。

──そうですよね。それこそ阪神大震災のときだって、長い時間をかけて今のように復興したわけですし、東北だってこれから何年かかるかわからないけど、絶対に同じようなところまで復興できるはずですよね。僕たち日本人にはそういう力が備わっているはずですし。

横山 そうなんです、日本人はすごいんですよ。だから絶対にまた……うん。

恒岡 そうですね、絶対に……。

横山 いい形で立ち上がれると思う。

恒岡 それを見届けたい。願ってます。

ライブDVD「Live at TOHOKU AIR JAM 2012」/ 2013年9月11日発売 / PIZZA OF DEATH RECORDS / PZBA-8
[DVD] 3915円 / PZBA-8
収録曲
DAY 1
  1. TURNING BACK
  2. STANDING STILL
  3. SUMMER OF LOVE
  4. DEAR MY FRIEND
  5. SUNNY DAY
  6. CALIFORNIA DREAMIN'
  7. CLOSE TO ME
  8. TEENAGERS ARE ALL ASSHOLES
  9. FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL
  10. ENDLESS TRIP
  11. SATURDAY NIGHT
  12. BRAND NEW SUNSET
  13. STAY GOLD
  14. MOSH UNDER THE RAINBOW
DAY 2
  1. GROWING UP
  2. STAY GOLD
  3. WHO'LL BE THE NEXT
  4. MY FIRST KISS
  5. STOP THE TIME
  6. MY HEART FEELS SO FREE
  7. NEW LIFE
  8. MAKING THE ROAD BLUES
  9. MAXIMUM OVERDRIVE
  10. THE SOUND OF SECRET MINDS
  11. STARRY NIGHT
  12. CAN'T HELP FALLING IN LOVE
  13. BRAND NEW SUNSET
  14. MOSH UNDER THE RAINBOW
Hi-STANDARD(はいすたんだーど)
Hi-STANDARD

難波章浩(Vo, B)、横山健(G, Vo)、恒岡章(Dr)からなるパンクロックバンド。1991年から活動を開始し、都内を中心にライブ活動を展開。1994年にミニアルバム「LAST OF SUNNY DAY」をリリースし、知名度を高める。1995年に「GROWING UP」、1997年には「ANGRY FIST」という2枚のフルアルバムをメジャーレーベルから発表。これらの作品は海外でもリリースされ、好セールスを記録した。また、この時期から海外でのライブ活動も開始。1997年には主催フェス「AIR JAM」をスタートさせ、日本のパンクロックシーンに大きな影響を与えた。1999年に自主レーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」がメジャーから独立し、第1弾作品としてアルバム「MAKING THE ROAD」をリリース。本作はインディーズとしては当時異例のミリオンヒットを達成した。その後も国内外で精力的なライブ活動を続けたが、2000年の「AIR JAM 2000」を最後に活動休止。メンバーはそれぞれソロやバンドで音楽活動を続けた。

約11年におよぶ空白の時間を経て、2011年4月に難波、横山、恒岡がTwitter上で3人同時に「9.18 ハイ・スタンダード AIR JAM。届け!!!」とツイート。そして翌5月には、9月18日に横浜スタジアムで東日本大震災の復興支援を目的とした「AIR JAM 2011」の開催と、Hi-STANDARDがライブを行うことが明らかになる。国内外15組のアーティストが出演したこのフェスで、ハイスタはヘッドライナーとして11年ぶりにライブを敢行した。2012年2月にはこの日のライブを収めたライブDVD「Live at AIR JAM 2011」を発売。同年9月には宮城・国営みちのく杜の湖畔公園みちのく公園北地区風の草原で「AIR JAM 2012」を2日間にわたり行った。そして2013年9月、「AIR JAM 2012」でのハイスタのライブを完全収録したライブDVD「Live at TOHOKU AIR JAM 2012」をリリース。