ナタリー PowerPush - Heavenstamp

混沌の時代に新進気鋭バンド現る 2011年最新型サウンド

デモ音源&Myspace制作が最優先

──バンドを結成してからは、ライブ活動が中心だったんですか?

Tomoya.S いや、2009年2月に1回目のライブをやったんですけど、その後はレコーディングしてデモ音源を用意して、Myspaceを作るって作業を最優先でやりました。だから最初の半年は主に土台作りみたいな期間で、ライブは3回しかやってないんです。

──そうなんですか。早くにMyspaceを開設するという時点で、バンドの名前を不特定多数に広めようという姿勢がうかがえますね。

Tomoya.S 知り合いのバンドはバンド仲間同士でフレンドを増やしたりしてたんですけど、それじゃあ結局閉鎖的な状況でしかないなと思ったので、僕らは自分たちが影響を受けた海外のバンドとかを中心に「こういうのが好き」って思いっきりわかるようなページを作ったんです。そしたら実際Myspaceがきっかけで好みの合うバンドやスタッフの方とつながることができて、今に至ったり。

──こういったアクションは計画的にやったんですか?

Tomoya.S そうです。イメージを持ってどんどん進めていこうということで。正直、地元でライブ活動だけやっていても何も起こらないっていうのは、今までの活動の中で十分わかってたので(笑)。

──それにしても始動してから2年でメジャーデビューなんてものすごいトントン拍子ですよね。ここまでイメージしていました?

Tomoya.S そう……ですね。あんまり「イメージどおり」って言うと感じ悪いから言いたくないですけど(笑)、そうじゃないとダメだっていう気持ちがありました。

代えの利かないバンドを目指して

──確かにHeavenstampがここまで急成長しているのは、そのプランニングが成功した証だと思います。けれどそれ以外の音楽的な面も高く評価されていますよね。バンドとしては、自分たちのどんなところが受け入れられていると感じますか?

Tomoya.S すごく簡単なことかもしれないけど、ほかのバンドでは代えが利かないバンドを目指して、それを実行していることですかね。

──代えが利かないっていうのは、他のバンドと似てないということ?

Sally#Cinnamon そうですね。シューゲイザーのバンド、ディスコパンクのバンドってそれぞれいますけど、私たちのようにいろんな要素を織り交ぜてやっているバンドはあまりいないと思うんですね。

──確かに、元々MY BLOODY VALENTINEのライブから始まったバンドだからって、音がマイブラっぽいわけでもないですし。

Tomoya.S 存在としてのMY BLOODY VALENTINEに憧れてるんですよね。理想は、ゆらゆら帝国のようなサイケな世界観を持っていて、RADIOHEADのような繊細さを兼ね備えていて、ショパンのような美しいメロディで、UNDERWORLDのように踊れる……。そういう部分的に憧れるアーティスト、音楽性はたくさんありますけど、それを模倣しちゃったら彼らのように偉大なバンドには絶対なれないと思うので、しません。ただやっぱり最初の頃は、完全にマイブラをなぞったような曲ができたりもしたんですよ。でもすぐに「これは新しくない!」って気付いて、ただのフォロワーバンドになってしまわないように踏みとどまりました(笑)。やっぱりこのバンドの音は、新しくてカッコいいこと、その時代にマッチしてることっていうのが絶対的なテーマだったんです。

ミニアルバム「Stand by you - E.P. + REMIXES」 / 2011年5月11日発売 / 1500円(税込) / Warner Music Japan / WPCL-10934

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CD収録曲
  1. Stand by you
  2. Pops
  3. Cambrian.
  4. Stamp your feet
  5. Stand by you - 80KIDZ remix
  6. Pops - Bloc Party vs CoPilots Drunk In Charge remix
  7. Stamp your feet - Pepe California remix
Heavenstamp(へぶんすたんぷ)

それぞれ別のバンドで活動していたSally#Cinnamon(Vo, G)、Tomoya.S(G)、Shikichin(B)、Mika(Dr)が集まり2009年に結成。ライブをベースに活動し、2010年12月に初のCD作品「Hype -E.P.+REMIXES」をインディーレーベルGoldtone Redordsからリリース。本作はBLOC PARTYのメンバーであるラッセル・リサックがリミックスで参加し、各方面から高い評価を受ける。2011年1月にはフレンチロックバンドJAMAICAと東阪でライブを行うなど、注目度が高まる中、ワーナーミュージック・ジャパンと契約。同年5月にミニアルバム「Stand by you - E.P.+REMIXES」でメジャーデビュー。ニューレイブ以降のギターロック、ディスコ、パンク、シューゲイザーサウンドを日本人的ポップ感覚で消化した、美しいアンサンブルを武器に活動している。