ナタリー PowerPush - ギターウルフ
セイジ改造手術ついに完了! 新作を携え宇宙戦艦が地球に帰還
地球っぽい惑星が見つかったって聞いただけでゾックゾクしたよ
──わはは(笑)。その頃、アニメ以外には何が好きだったんですか?
セイジ 「ウルトラセブン」とか「ウルトラQ」とか。俺のイメージする宇宙はあのへんだよ。あと「キャプテンウルトラ」とか。みんな知らないだろうけど。
トオル えっ? 「ウルトラQ」もリアルタイムで?
セイジ リアルタイムで。
トオル 白黒じゃないですか!(笑)
──トオルさんもかなり観てました?
トオル 「ウルトラセブン」は観てましたね。たぶんリアルタイムじゃなかったと思うけども。
セイジ かなり観てたどころか、あの頃の男の子で観てない奴はいないんじゃないかな。
──ギターウルフは昔から宇宙をテーマにした曲が多いので、ギターウルフを聴いてると当然のように「宇宙ってすげえロックだ!」って思えるんですけど、でもよく考えるとロックンローラーが歌うテーマとして「宇宙」って一般的ではないですよね。そういう人って他にあまり思い浮かばないし。
セイジ えっ? そんなことないでしょ……。あ、EARTH, WIND & FIREとか!
──それ全然ロックンロールじゃないですよ(笑)。で、どうしてギターウルフは宇宙を歌うようになったのかと思ってたんですが、今のお話を聞く限り、子供の頃に好きだったものが今に反映されてるということなんでしょうね。
セイジ もちろんそうでしょ。だって男はみんな好きだよね、宇宙。
──そうですよね。あ、「男の子たちの憧れ」という意味で括れば、宇宙もロックンロールとかバイクと一緒なのかー。
セイジ そうだね。まあ原体験だとか、そこまで言うと気恥ずかしいけどさ(笑)、自分のそういうものがすべて込められてるよ。
──ちなみに、実際に宇宙人の存在を信じてるから、というわけではないんですか?
セイジ 宇宙人、信じてるよ! もちろん!
──先日、生命が存在するかもしれない惑星が発見されたってニュースがありましたよね。
セイジ うんうん、言ってたね。聞いただけでゾックゾクしたよ。地球っぽい環境だって。だけどそれでも、宇宙人がいる確率はかなり低いんだってね……。
たとえバイトであってもカッコつけられる立場にならないとダメだね
──レコーディングで一番大変なのはどこですか?
セイジ まず最初に3人で「せーの」で演奏して、曲によってはその上にギター重ねたりするんだけど、最初のアレが一番大変だね。楽しいもんじゃないよ。しんどくなる。
──何テイクもやるんですか?
セイジ 何テイクもやりたくないから大変なんだよ(笑)。だから余計精神使う。
──気に入らなかったら途中で止めて、もう1回最初からやるんですか?
セイジ いや、それはない。間違えて弾いてても、聴いてみたらそっちのほうが良かったと思うこともよくあるから。だいたい4~5テイクくらいで終わらせたいところだけど、今回「ナミダバイオレンス」なんか10数回ぐらい録ったね。
トオル そんなにやりましたっけ?
──「ナミダバイオレンス」も今までと違う雰囲気のナンバーですよね。ちなみにこの曲を作っていたときのイメージは?
セイジ 涙がドバドバあふれて、視界がどんどんサイケになるっていうイメージ。作った瞬間は自分でも「変な曲」と思った(笑)。
──ああ、だからサイケだったんですか! では「ドーベルマンナイト」は? この曲は「池袋タイガー」に続く、ベースのU.Gさんのボーカル曲ですが。
セイジ 最初は自分で歌おうと思って作ってたんだけど、途中でU.Gに歌ってもらったほうがカッコいいなと思って「U.G頼むわ。俺じゃキマんねえ」って。俺はすごくU.Gの歌い方がカッコいいと思ってるからさ。
──自分で歌うよりもU.Gさんの声のほうが曲に合っていたと。
セイジ 声じゃない。イメージ。「ドーベルマンナイト」ってタイトルからイメージされるのがU.Gだったってこと。これも2年くらい前からタイトルは考えてたんだけど、なかなか曲にならなくてね。そういう曲は結構あるんだよ。最初の頃の「オールナイトでぶっとばせ!!」だって、あれも曲になるまでかなりかかったし。昔は同じタイトルで別バージョンの「オールナイトでぶっとばせ!!」もあった。
トオル ライブでもやったっスもんね。
セイジ やったっけ?(笑)。すぐ作れることもあるけど、でもほとんどねぇなあ。今回のだったら「コンクリートパンク」はすぐできた。
──「コンクリートパンク」は工事現場での作業を歌ってますね。これって実体験なんですか?
セイジ もちろん。後楽園のドーム球場あたりの現場にいた頃のことを歌ってるよ。
──しばらくそういう仕事をしてたんですか?
セイジ うん。20代の頭ぐらいからずっと、10年ぐらいやってた。ビルの内装だね。まだ骨組みだけのコンクリ打ちっぱなしのトコでさ……。
──軽量鉄骨を組み立てたり。
セイジ そうそうそう! 軽鉄を鉄砲でパカーンと撃ってさ。仕事しながらも道具の持ち方とかカッコつけるんですよ。鉄砲構えて「カチャ!」って。わはは!(笑)
──工事現場での仕事ぶりはどうだったんですか?
セイジ 俺は内装の職人を束ねる役割でさ。朝のラジオ体操でみんなの前に出て「今日も元気にいきましょう!!!」って叫んでるような人だったね。あくまでロックが本職で現場はバイトだけど、やっぱりどういう場面においても自分がカッコつけられる立場にいないとダメだね。
──ギターウルフは早い段階で海外遠征もしてましたし、バンド活動も忙しかったですよね。内装職人のように時間的にも体力的にもハードな仕事だと両立は大変だったのでは?
セイジ だから1カ月のツアーが決まったら、行く前にちゃんと仕事を終わらせて、俺がいなくなっても大丈夫な状況を作ってたんだよ。職人を手配して仕事を指示して、何の問題もないようにしてからね。もし会社が「行っちゃダメだ」って言ったら、その瞬間に辞めようと思ってた。もちろん気合入れて責任を持ってやるけど、それはあくまでバイトで、本職はロックだから。
──ロックに理解がある職場だったんですね。
セイジ いやいや、違うよ! 俺が仕事できただけだよ。
CD収録曲
- フーチークーチースペースマン
- ドーベルマンナイト
- 宇宙戦艦ラブ
- ファイヤーエイティーン
- ボルテージセパハン
- ナミダバイオレンス
- コンクリートパンク
- ブラックホールママ
- ドラキュラ メリカ
- ハカタ大作戦
初回盤DVD収録内容
- 狼惑星
- ジェット サティスファクション
- ミサイルミー
- エジプトロック
- デビルクチビル
- UFOロマンティクス
- 惑星ハート
ギターウルフ
1987年結成の3ピースロックバンド。革ジャン、革パン、サングラスがトレードマークで、3コードを基本としたシンプルなロックンロールを鳴らす。ヨーロッパやアメリカでの評価が非常に高く、早くから海外でのライブ活動を行っていた。2005年にベースのビリーが心不全により急逝。同年9月に楽器未経験者のU.Gがメンバーとして加入した。