アカシックが2枚目のフルアルバム「エロティシズム」をリリースしたことを記念し、音楽ナタリーでは理姫（Vo）と、今年6月に解散した℃-uteの岡井千聖の対談を企画した。

理姫と岡井は2015年にテレビ番組での共演がきっかけで親密な仲に。5月に℃-uteがリリースしたラストアルバム「℃OMPLETE SINGLE COLLECTION」には、理姫が同じくアカシックのメンバーである奥脇達也（G）と共に制作した新曲「凜（RIN）」を提供している。今回の対談でも2人は女子会のような仲良しトークで大盛り上がり。岡井はアカシックの楽曲にシンパシーを感じる部分やバンドの魅力について語り、また理姫は岡井の今後のソロ活動についての考えを明かした。

取材・文 / 小野田衛　撮影 / 草場雄介

私の年代の女子は、ほぼ全員「ハロプロに入りたい」って考えてたはず

──なんでもお二人は、プライベートでも頻繁に飲みに行く間柄だそうで。

岡井千聖　うーん、でも最近はたまにしか遊びに行けないんですよ。なにせ理姫ちゃんが忙しくて。

理姫　何言ってるのよ！ 千聖ちゃんのほうが全然忙しいじゃん！

岡井　こっちはいっぱい誘っているんですけどね。理姫ちゃんってメールのレスポンスが超遅いんです。

理姫　だって、連絡が来るのがけっこうなすごい時間帯なんですよ？ 「もうお風呂も入ったし、そろそろ寝ようかな……」くらいのタイミングで「今、何してるの？」とか急に送られてきて（笑）。そういう意味じゃ千聖ちゃんは本当にパワフルだし、「いつ寝てるの？」って思いますけど。

──そもそも2人はどうやって知り合ったんですか？ ℃-uteに楽曲提供したのが直接のきっかけ？

理姫　いや、その前に「アフロの変」（フジテレビ系）という番組が主催するイベントで共演したんです（参照：お台場夢大陸にアカシック、カリスマ、℃-ute、水カン、ハイパヨ、ベッド・イン）。あの番組、ミュージシャンがいっぱい出ていましたからね。番組に出演したアーティストが夏に集まり、みんなでライブするということになって。

岡井　で、ライブのあとに打ち上げがあったんですよ。

理姫　こっちは「あっ、岡井ちゃんがいる！」ってビックリして。

岡井　だけど私、意外に人見知りなんです。その場は知らないミュージシャンの方ばかりだったから、端っこのほうで身内のスタッフさんと固まっていて。そうしたら、いきなり理姫ちゃんから声かけられたんですね。「めっちゃ好きです！」みたいな感じで（笑）。

理姫　お酒の席だったから、「乾杯ー！」とか言っていろいろ席を移動するじゃないですか。私は水曜日のカンパネラのコムアイと一緒に回っていて、せっかくだから女子同士で盛り上がりたいと思っていたんです。なのに千聖ちゃんはプロデューサーさんやスタッフさんに囲まれて、ちょっと割り込みづらい雰囲気を出していた（笑）。でも、勇気を出して声をかけました。

──ということは、もともと理姫さんは℃-uteが好きだったわけですね。

理姫　何を言っているんですか！ 私の年代の女子は、ほぼ全員が「ハロプロに入りたい」と考えていましたから。大袈裟じゃなくて、絶対に1度は真剣に考えたはずですよ。だって一番テレビを観る年齢の頃に、あの後藤真希さんがモーニング娘。に入ったわけですし。そこからモーニング娘。だけじゃなく、ハロー！プロジェクト全体のことも知るようになって。もちろん℃-uteもずっと追っかけていましたし。モロの直撃世代だから、℃-uteに対しても「すごいなあ」っていう憧れの感情しかないですよ。

岡井　私は人見知りだけど、自分から積極的に行けないだけで、話しかけられると大丈夫なんです。そのときもコムアイちゃんとワーッて感じで近付いてくれて、その場で連絡先を交換したんですよね。確かあの日は「一緒にマカオに遊びに行こう！」っていう話で盛り上がったと思う。「じゃあ連絡先も教えて！」みたいな感じになって。

──℃-uteと水曜日のカンパネラとアカシックか……ファン垂涎の、ものすごくゴージャスな組み合わせじゃないですか。

岡井　とは言っても、その頃は私も全然テレビに出ていなかった時期だし……。

理姫　そんなことはないでしょ（笑）。

岡井　というか、「アフロの変」ってマニアックなところがある番組だったんです。コムアイちゃんは今じゃ超売れっ子になっちゃって、全然連絡が取れないんですけど（笑）。

理姫　おいそれとは誘えないよね。

岡井　ホントだよ！ なにしろ、いつもお忙しそうだから……まあでもあれから何年も経ったけど、いまだにこうやって3人共がんばっているし、そこはすごく刺激を受けますね。3人の中だとコムアイちゃんはお酒を飲まないんですけど、理姫ちゃんはけっこう飲むって聞いていたんですよ。私もお酒は大好きだし、それでよく一緒に出かけるようになったんです。

それは言わないでよー！

──どっちが、より飲むんですか？

理姫　それはもう……（無言で岡井のことを指さす）。朝6時とか7時までってこともありますしね。

岡井　基本的に明るいお酒なんですけど、やっぱり理姫ちゃんはアーティストだし、すごく繊細なところがあるんです。アカシックの歌詞を見ればわかるじゃないですか。そういう部分が、お酒を飲んでいると出てくることがあって……喜怒哀楽が激しいんですよね。

理姫　言わないでよー（笑）。この前なんて、最後のほうはずっと泣いていたもんね。

岡井　でも、理姫ちゃんの場合は迷惑な感じが一切しない！ 1つのことを話していて、すっごく喜んだかと思うと、急に悩み始めたりして……いろんな感情を持ち合わせていて素敵だなって思うし。それに自分のことじゃなくて、人のことで怒ったりもするんです。すごく優しい人なんだなって感じますね。

理姫　そう言ってくれるとうれしい。千聖ちゃんは飲むとどうなるだろうな。ずーっとしゃべり倒しているときもあるし……それはテレビのまんまか（笑）。でも、こう見えていろいろ考えているんですよ。お酒が入ることで、そういう真面目な話をじっくり聞けるのは新鮮ですね。この前も「自分がタレントとしてこれからもやっていくにあたって……」みたいな話を熱く語っていて、偉いなって感動しましたもん。「おバカ系タレント」とか言っても、本当のバカだったら芸能界でやっていけるわけないじゃないですか。そのことは知っていたつもりですけど、改めて千聖ちゃんの口から聞いて生命力の強さを感じました。

岡井　それこそ言わないでよ（笑）。むっちゃ恥ずかしいわ！