音楽ナタリー Power Push - ∞Z

独創性を貫く“フュージョンポップパワートリオ” 紅一点・ERIKAが思いを語る

ERIKA(Vo, G)、Kenji Sato(B, Cho)、Shingo Katagiri(Dr, Cho)からなる東北在住3人組バンド、∞Z(ゼロゼロゼット)が3rdミニアルバム「musicγ」(ミュージックガンマ)をリリースした。∞Zはフュージョンやジャズの要素をJ-POPに昇華させた“フュージョンポップパワートリオバンド”として2011年5月に始動し、福島、宮城、東京を中心にライブ活動を行っている。

音楽ナタリーでは、自信作になったという新作を多くの人に聴いてもらいたいと意気込む∞Zのメンバーを代表して、ERIKA(Vo, G)への単独インタビューを実施。バンド結成のいきさつや「musicγ」に込められた思いを語ってもらった。

取材・文 / 田中和宏 撮影(メイン・撮り下ろし写真) / 入江達也

 
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東北で∞Zが生まれるまで

──まず∞Z(ゼロゼロゼット)というバンド名はけっこうパンチが効いてると思ったのですが、どういった意味が込められているんですか。

無限の可能性を追求し続けるバンドになりたい、そしていつか終わりが来るまで新しいことに挑戦していきたいという気持ちが込められています。知名度の低いバンドが新しいことをやるなんてすぐに受け入れられないだろうけど、これからの日本の音楽業界で新たなシーンを開拓していきたいと思って活動しています。

──2011年5月から活動し始めたそうですが、そもそも3人の出会いのきっかけは?

∞Z

私は大学時代、東京での就職が決まっていたんですが、音楽を本気でやるなら今しかないなあなんて日々悶々としていたタイミングでドラムのShingo(Katagiri)の以前やっていたバンドが解散しまして。そのあと、私が福島市内のLive Space C-moonで弾き語りライブをやったときに興味を持ってくれたみたいで、2010年の春くらいにShingoさんに「一緒にバンドやってみないか?」って誘われました。そこから最初はサポートベーシストを迎えてライブをしてました。で、2011年の5月にベースのKenji(Sato)をライブハウス界隈のつながりで紹介してもらって今の編成になりました。

──バンドの本格始動は東日本大震災の2カ月後というタイミングですね。

福島と宮城に住んでる3人なので、いろいろ大変な状況ではありました。でも震災を経験した3人が音楽をやり続けることで、時間がかかるとしても東北の人たちに元気を与えられたらいいなって思っています。

──東北を盛り上げようという思いから各地でボランティアとしてライブ活動もなさっていたようですが、「すべては東北のため」みたいな考え方ではなくて、あくまで東北出身の自分たちが発信する音楽を全国に広めたいっていうスタンスなんですね。

そうですね。誤解を恐れずに言うと「東北のために」とか「福島のために」って言葉に対して、なんか安っぽさというか、「結局口だけじゃないの?」みたいな偽善っぽさを感じることがあって。私たちがやりたいのはあくまで音楽で、その活動を通して地元を盛り上げたいし、各地の人にも影響を与えられるようになりたいです。ゆくゆくは「∞Zのライブを観に東北へ行こう」って県外の人がたくさん東北に来てくれるようになったらそれが支援につながるって思ってます。

地元音楽シーンで生まれる競争意識

──活動をしていく中で大変だと思うことはありますか?

いろいろありますよ。“田舎あるある”なのかもしれないですけど、そもそもライブハウスの数が少ないっていう。Shingoさんは10年前くらいから地元でもっと音楽を根付かせたいと思っていた人で、例えば女の子1人でも気軽にライブハウスまで足を運べるような環境を作りたいとか話しているんです。小さな街だから、遊ぶところが本当に少ないけど、週末はライブハウスに遊びにいく!っていうのが、地方に住む若者に根付いていったらいいなと。

──ライブハウスが少ないと頻繁に競演する相手が多くなると思いますけど、身内ノリのワイワイした雰囲気になりますか? それとも競争意識が生まれてると思います?

私たちは「ほかのバンドにはない音楽を作ってやる!」って気持ちでやっています。身内ノリみたいなのは正直苦手で……(笑)。いいミュージシャンは地方にもいます。そういう人たちから刺激も受けるし、逆に自分たちもいい影響を与えたい。互いに高め合えるのはいいことだと思いますね。そもそもは音楽が好きな人が集まる場所がライブハウスだから身内ノリでワイワイすることもありますけど。だけど私たちの場合は競争心が原動力になってます。

──ではERIKAさんからメンバー紹介をしてもらおうと思うのですが、まずShingoさんはどんな方ですか?

Shingo Katagiri(Dr, Cho)

パンチが効いてて明るい人です。でも思慮深いところがあって、考えすぎだなって思うくらい常にいろいろ思考を巡らせて何か行動を起こそうとしているアクティブな人です。あと常にユニークな発想をするアイデアマンで、音楽に対しても、何をするにしても熱い。ドラマーとしてはいい意味で我が強くてアーティスティックなところがいいなって。私はドラムを聴けばShingoが叩いた曲だ!ってすぐわかるし、歌っているようなドラムプレイが魅力だと思います。

──メンバー全員Twitterをやってますが、Shingoさんのツイートは独特というか……。

なかなか難解なツイートがありますよね(笑)。ドラムに関する動画を毎日Twitterに投稿しています。もう何百日もずっとアップし続けていて、「継続は力なり」と言いますが、音楽のために自分の演奏技術を向上させようという姿勢には尊敬の念を覚えますね。動画に添えている文章はルーディメンツの使いどころを身近な体験に置き換えてるんですね。ドラマーだったらなんのこと言っているかわかるっていうマニアックな感じですけど(参照:シンゴ カタギリShin ∞Z(@drshin413) | Twitter)。

──拝見しましたが、難解な表現だと感じたツイートがいくつかありました(笑)。

我が道を行くタイプなので、ときに「これどういう意味?」って感じるツイートもあるかもしれませんが、ドラム講師でもあるのでドラマーの方は感情を演奏に乗せるっていう方法の参考になるはず……ぜひそのツイートから何かを感じ取っていただけたらと思います(笑)。

──Kenjiさんはどんな方ですか?

Kenji Sato(B, Cho)

けんちゃんは本当に音楽好きなんだなあと思います。探究心がすごいから学者っぽいし。ベースとか音楽に対する向上心がすごいんです。見た目は爽やかな好青年で、ベースラインもテクニックも素晴らしいから、“けんちゃんリスペクト”って人は音楽仲間でも多いです。本人は気付いてないみたいだけど(笑)。

──なるほど。

でも相当な変わり者で偏ってますね! 音楽がなかったら、ただのアウトローな人ですよ(笑)。好きなベーシストやアーティストがいたらそれについてひたすら研究するのが好きだし、楽譜を作る行為自体が好きみたいで、いろんなアーティストの楽曲を耳コピしては譜面に起こしてますね。

──ではERIKAさん、自己紹介をお願いします。

ERIKA(Vo, G)

3歳くらいのときからよく歌ってたよって親に言われてました。でも音楽をやりたいって思ったきっかけは小学生のころで、宇多田ヒカルさんがデビューしたときに衝撃を受けて、自分も曲を作ってみたいなって思ったんです。ピアノを習っていたので弾けたんですが、全然曲の作り方がわからなくて。詞は書き続けていたんで、「この詞がうまく歌に乗せられたらいいのになあ」なんて高校2、3年くらいのときに悶々としてました。当時知ったOasisのノエル・ギャラガー、椎名林檎さん、アヴリル・ラヴィーンとかがギターを弾いて歌ったり、曲作りをしたりしていることに影響されて、大学に進学したタイミングでアコースティックギターを購入して作詞作曲と弾き語りをやり始めました。エレキギターはこのバンドを始めてから初めて使うようになって、そもそも作曲とか弾き語りをするための道具としてギターと接していたので最初は戸惑いました。バンドでギタリストは私しかいないし、キーパーソンは自分なので。でもエレキギターを始めてから「ギターってこんなに楽しいんだ!」って感じるようになりました。エリック・クラプトン、ジョン・メイヤーの音楽との出会いも大きくて、「ライブでアドリブしたい!」と思うようにまでなって。今はラリー・カールトンみたいなメロディアスなプレイができるギタリストになりたいです。

──ギターとの出会いは大きかったと。

そうですね。ギターを弾くようになってからどんどん曲が作れるようになりました。ギターうまくなってくるとできる曲ももちろん変わってくるし、楽しい。

──それでライブもやるようになった?

いや、そのときはまだほとんど家の中で弾いてることが多くて、たまに地元のイベントに出るくらい。純粋に自分の思っていることを音楽で表現するっていうことが好きだったんです。そしてだんだん自分が作った曲をほかの人に聴いてもらいたいなって思うようになって弾き語りでライブを少しずつやり出して。ライブを定期的にやるようになったのは今のバンドが初めてなんです。

∞Z ライブスケジュール
2015年12月5日(土)
宮城県 仙台市地下鉄東西線 宮城野通駅
2015年12月6日(日)
福島県 Live Space C-moon(※ワンマンライブ)
2015年12月11日(金)
福島県 岩瀬書店富久山店プラスゲオ(※ERIKA弾き語り)
2015年12月12日(土)
福島県 飯坂温泉 楽屋(※ERIKA弾き語り)
2015年12月18日(金)
福島県 Live Space C-moon
2015年12月19日(土)
東京都 タワーレコード八王子店(※インストアライブ)
2015年12月20日(日)
宮城県 タワーレコード仙台パルコ店(※インストアライブ)
2015年12月25日(金)
福島県 clubSONICiwaki(※ERIKA弾き語り)
2015年12月26日(土)
山形県 新星堂エスパル山形店(※インストアライブ)
2016年1月3日(日)
福島県 新星堂エスパル郡山店(※インストアライブ / ERIKA弾き語り)
2016年1月8日(金)
埼玉県 新星堂アリオ深谷店(※インストアライブ)
2016年1月9日(土)
東京都 gee-ge(※ERIKA弾き語り)
2016年1月10日(日)
静岡県 タワーレコード静岡店(※インストアライブ / ERIKA弾き語り)
2016年1月15日(金)
福岡県 clubSONICiwaki
2016年1月16日(土)
新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
2016年1月24日(日)
福島県 郡山CLUB #9
2016年2月7日(日)
秋田県 Club SWINDLE
2016年2月11日(木・祝)
静岡県 タワーレコード静岡店(※インストアライブ)
2016年2月11日(木・祝)
静岡県 KJホール
2016年2月13(土)・14日(日)
沖縄県 那覇市内の複数会場(※「Sakurazaka ASYLUM 2016」 / 出演日程・会場未定)
2016年2月20(土)
渋谷LOOP ANNEX
∞Z(ゼロゼロゼット)
∞Z

福島県福島市在住のERIKA(Vo, G)、Shingo Katagiri(Dr, Cho)と、宮城県仙台市在住のKenji Sato(B, Cho)からなる3人組バンド。2011年5月より福島、宮城、東京を中心に活動している。キャッチーなJ-POPサウンドを基軸にしつつ、フュージョン、ジャズ、ブルースの要素や、テクニカルな演奏を織り交ぜた楽曲が特徴。これまでに2012年12月に1stミニアルバム「musicα」、2014年6月に2ndミニアルバム「musicβ: remember&reborn」を発表している。東北各地でのライブイベントに多数出演しているほか、東日本大震災の被災者を応援するために仮設住宅や、幼稚園、小学校などでボランティアの一環としてライブを実施。さらに音楽で東北を盛り上げるべく「東北ライブハウス大作戦」「LOVE FOR NIPPON」にも参加している。2015年には世界の約150都市で活動しているアマチュアバンドのライブコンテスト「エマージェンザ」で勝ち進み、7月に東京・TSUTAYA O-EASTで日本での決勝大会では3位という好成績を残した。12月に3rdミニアルバム「musicγ」を発表し、福島・Live Space C-moonでリリース記念ワンマンライブを開催。この単独公演を皮切りにインストアイベントやERIKAの弾き語りライブを含む全国ツアーをスタートさせる。