ナタリー PowerPush - トランスフォーマー/ロストエイジ

GANTZ×オプティマスをお披露目! 奥浩哉が語るトランスフォーマーの魅力とは?

映画「トランスフォーマー/ロストエイジ」が、8月8日に公開される。驚愕のVFXで世界を魅了した人気シリーズの第4弾では、前作から3年後の世界を舞台に、新たな地球滅亡の危機に瀕した、人類とオートボットたちの死闘が綴られる。

新作の公開にあたり、「GANTZ」を代表作に持ち、SF映画好きとしても知られる奥浩哉のもとをインタビュー訪問。「トランスフォーマー」シリーズの思い出や、本作に向ける期待などを聞いた。

取材・文/ツクイヨシヒサ

GANTZ×オプティマスのイラストを描き下ろし!

──今回は奥先生に映画「トランスフォーマー」シリーズについて語っていただくわけですが、実は事前にお気に入りキャラクターをイラストで用意していただきました。

奥浩哉が描いたオプティマスプライム。

奥浩哉が描いたオプティマスプライム。

好きなのは、やっぱりオプティマスプライムですね。主人公ですし、シリーズの象徴的なキャラクターですから。イラストについては、「GANTZ」とコラボするイメージで、自分なりのアレンジを加えてみました。アゴや胸などにガンツスーツの要素を取り入れたほか、ディテールもデザインし直してあります。描きはじめたときは色を塗らないつもりでしたけど、途中で「このままではオプティマスに見えないな」と(笑)。カラーにしたら、なんとかオプティマスに見えてきました。自分としては、わりと楽しく描けたなと思います。

──奥先生はシリーズ前3作をすべてご覧になっているそうですが、第1作が公開されたときの感想を教えてください。

「トランスフォーマー/ロストエイジ」より、オプティマス。

最初に観たときは当然、CGがものすごくリアルだなと。トランスフォーマーたちが本当にいるかのような、存在感のある画面作りに驚きました。劇場でも観たんですけど、DVDが早く欲しくて、輸入盤を手に入れて。バンブルビーがカマロに変形するシーンとか、何回も観ましたね。とにかくトランスフォームの仕方が、上手くてカッコいいなっていう。画面の奥からビューンッと飛んできて、ガシャンガシャンと変形。そのままダッと地面に降り、ガーッと滑りながらポーズを決めて。ああ、この動きを作っている人はとてもセンスがいいんだなぁ……と。

──第2作・第3作と続く中で、トランスフォーマーたちの動きも、どんどんと緻密になっていきました。

もう最後のほうは、細かすぎて何が動いているのかわからないような状態でしたからね(笑)。2体のトランスフォーマーがもつれ合って戦うシーンとか。周りにいっぱい破片は散ってるし、同時にミサイルも撃ってるし。情報量が多くなったことで、画面にスゴみが出たな、という感じでした。

好きなシーンを繰り返し観ていると、脳内麻薬が出てくる

──シリーズの中で、特に印象深いシーンはありますか?

奥浩哉

第1作でオプティマスが初めてトレーラーからロボットへ変形したところや、第3作でサムたちが倒れそうなビルの中を滑り落ちていく場面も印象的ですけど、一番を挙げるとしたら第2作の序盤。中国・上海に潜んでいたディセプティコンをオプティマスが追うシーンですね。輸送機で運ばれてきたオプティマスが、落下傘で降下。着地と同時にトレーラーへと変形し、道路を走っていく。すると、でっかいタイヤを2つ持ったディセプティコンが近づいてくるんです。このときの構図が、ものすごくカッコいいと思いましたね! オプティマスが、手前の道を左から右へと走る。その車体をナメつつ、画面の奥から巨大なディセプティコンが、一般車両を踏み潰しながら迫ってくる、という。僕はマイケル・ベイ監督が「バッドボーイズ」の頃からずっと好きなんですけど、「トランスフォーマー」でも、彼の画面作りは素晴らしいなと思いました。

──奥先生は映画を観賞するとき、常にクリエイターとしての視点を意識されているんでしょうか。

いやー、そんなことないですよ。いち映画ファンとして、普通に観ています。まあ、作り手としての視点も、ちょっとは入っているかもしれないですけど。「CGがよくできているなー」とか、「ポリゴンがいくつ使ってあんのかなー」とか。でも、基本的な楽しみ方は皆さんと一緒だと思いますよ。DVDで同じ映像を繰り返し観たりするのも、単純に気持ちがいいからですし。何というか、脳内麻薬が出てくる感じがするんですよ。好きなシーンを「うわ、シビれるー!」「カッコいいー!」って何度も観てると。

金属生命体というアイデアが、まず何より面白い

──SF映画というジャンルで捉えたとき、「トランスフォーマー」が成功した理由は、どこにあると思いますか?

「トランスフォーマー/ロストエイジ」より。

「トランスフォーマー = 金属生命体」というアイデア自体が、まず何より面白いですよね。僕は学生時代に放映していたアニメで、「トランスフォーマー」という存在を初めて知ったんですけど、当時から「異星人が機械である」という発想はいいなと思っていました。アニメそのものはチラッと観た程度でしたけど。車やトラックがロボットにトランスフォームするという部分が、同じ時期に流行っていた「超時空要塞マクロス」でバルキリーがガウォーク形態に変形するのと似ているな、という程度のイメージで。その「トランスフォーマー」が、実写映画化されることによって、画面的な説得力も得たわけです。オプティマスたちは機械の身体を持つ異星人で、地球で暮らすために普段はトレーラーやクルマに擬態している……という作品の設定をようやくリアルな映像で表現できるようになった。例えば、第1作でバンブルビーが新型カマロに変身するシーンがありますよね。道路の向かい側を走るクルマをスキャンして、一瞬で同じ姿に変わるんですけど、描写としてわかりやすいし、とてもSFチックな表現だと思いました。

──「GANTZ」や「いぬやしき」など、奥先生の作品にも異星人がよく登場します。

奥浩哉「いぬやしき」カット (c)奥浩哉/講談社

ああ、確かに。やっぱり異星人という存在が好きなんでしょうね。「トランスフォーマー」でも、第1作で金属生命体たちが続々と地球に降り立ったときは、ワクワクしましたから。まだ何にも擬態していないロボットの群れが、民家の庭みたいなところを普通にガシャンガシャンと歩いていくんですよ。そのシーンを観ながら、「ああ、彼らは本当に金属生命体なんだな」と実感しました。自分の作品にもトランスフォーマーのような異星人を出せたらいいですけど……描くのが大変ですからね(笑)。しかも出した途端、読者から「これトランスフォーマーじゃん!」って言われちゃうでしょうし。

──「トランスフォーマー」の印象はそれほど強いということですね。ちなみに奥先生は、どんなときに新しい作品の設定をひらめきますか?

僕の場合は大抵、普通の生活を送っているときですね。核となるようなアイデアがひとつ、ポッと思い浮かぶんです。「トランスフォーマー」ならば、「変形する金属生命体」に当たる部分ですね。思い浮かんでしまえば、あとはそのアイデアを活かす設定がどんどんと生まれてくる。逆に思い浮かばなければ、何も進まないという感じですね。

トランスフォーマー/ロストエイジ / 8月8日(金)3D/2D/IMAX 3D 同時公開

トランスフォーマー/ロストエイジ

金属生命体が瞬時に“トランスフォーム”する斬新な発想と驚愕のVFXにより、全世界で歴史的大ヒットを記録し社会現象を巻き起こした「トランスフォーマー」。日本で誕生し30周年を迎える今夏、あのオプティマスプライムやバンブルビーが帰ってくる!そして、新たな脅威となり地球に襲来する新ディセプティコン。更に恐竜がトランスフォームする伝説の“ダイナボット”も登場! 人類の敵とみなされ、 全世界に指名手配されたトランスフォーマーたち。 新たな地球の危機が訪れる中、唯一の希望は瀕死のオプティマスを救った男とのたった一つの絆だった…。とてつもないスケールで描かれる今年最大の話題作が、遂にトランスフォームを開始する!!

監督:マイケル・ベイ
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
脚本:アーレン・クルーガー

奥浩哉(オクヒロヤ)

奥浩哉1967年9月16日福岡県福岡市生まれ。山本直樹のアシスタントを経て、1988年に久遠矢広(くおんやひろ)名義で投稿した「変」が第19回青年漫画大賞に準入選、週刊ヤングジャンプ(集英社)に掲載されデビューとなった。以降、同誌にて不定期連載を行い、1992年よりタイトルを「変 ~鈴木くんと佐藤くん~」と変え連載スタート。同性愛を題材とした同作は道徳観念を問う深い内容で反響を呼び、1996年にはTVドラマ化されるヒットを記録。マンガの背景にデジタル処理を用いた草分け的存在として知られ、2000年より同誌にて連載中の「GANTZ」はスリルある展開で好評を博し、アニメ、ゲーム、実写映画化などさまざまなメディアミックスがなされた。 2014年よりイブニング(講談社)にて「いぬやしき」の連載を開始する。