お笑いナタリー PowerPush - 日本の奇祭を訪ねて ~お笑いナタリー編~

山里関節祭り(千葉県)

2014年8月21日、東京・渋谷公会堂で、ある奇祭が復活した。その名も「山里関節祭り」。4月11日に日本テレビで放送された「もっとたりないふたり」で、初めてこの祭りを知った人も多いのではないだろうか。

「下から関節山里です 立ち技やらない山里です」

盆踊り特有の“ドドンがドン”というリズムに乗せて、軽やかな踊りをみせたオードリー若林。彼が南海キャンディーズ・山里の本質を見抜いたことによって、この祭りは誕生した。

お笑いナタリーでは、「山里関節祭り」を風化させてはならないと、山里が生まれ育った千葉で取材を敢行。復活の舞台となったイベント「たりふた SUMMER JAM '14 ~山里関節祭り~」の模様とともに、お笑い界に重要な1ページとして奇祭「山里関節祭り」の歴史を刻みたい。

取材・文 / 粟村香織 検見川撮影 / 河村正和

山里関節祭りとは

山里関節祭りとは、お笑い芸人 山里亮太の知られざる芸風がその起源。

己の容姿の奇怪さや不遇な境遇を周りの人間にわざといじらせその返しの絶妙なワードセンスで笑いを取るのが彼の芸風。

それはまるで格闘技において自ら床に寝転び敵を油断させたところを腕や首を取り、しめ上げるという関節技のテクニックのようでした。

しかしある日、そのことにいち早く気づいた男が一人。彼は山里の前でそのことを揶揄しながら歌って踊りました。

それが後に音頭となり祭りにまで発展したのが「山里関節祭り」なのです。

誕生の経緯

若林が自分の兵法を見抜いていたことに気付いた瞬間。

「たりないふたり」から2年ぶりの復活となった「もっとたりない」初回。久々にセンターマイクの前に並んだ2人は、2年前から自分たちがどれほど成長したかについて話し合った。「収録後の帰り際、スタッフさんとうまくコミュニケーションをとれるかどうか」というテーマで、「僕、実はそういう技いっぱい考えてて、うまくできるんですよ」と、若林より優位に立とうとした山里。しかしこのあと、若林にまんまと一本取られることになる。

若林 「俺、聞いたことあるんだ。スタッフさんが制作会議でそういう話してるって。『山ちゃん、受け身うまいけど攻撃しない』って」

山里 「それ、お前、(台本と)違うじゃん……」

若林 「知ってますか、みなさん、ねえ。イジってると思ってるでしょ、山里さんを。でもね、イジらせてるんです」

山里 「やめて、違う! みなさんお笑いの天才、イジってくれて」

若林 「彼はね、自分をイジらせることによってマウント取らすんですよ。下から関節決めて勝つっていう、これが彼の必勝パターン。こうやってね」

♪下から関節山里です 立ち技やらない山里です♪

「山里関節祭り」誕生の瞬間。

自分の兵法を大衆の面前で赤裸々に暴かれた山里。嬉々として踊る若林。こうして「山里関節祭り」は誕生した。

DVD 「たりふた SUMMER JAM '14 ~山里関節祭り~」/ 2014年12月24日発売 / 6048円 / バップ / VPBF-14349
収録内容

2014年8月21日に東京・渋谷公会堂で行われたライブ「たりふた SUMMER JAM '14 ~山里関節祭り~」の夜公演を収録。「山里関節祭り」の一部始終はもちろん、南海キャンディーズ山里とオードリー若林による“たりないふたり”の真骨頂といえる漫才、彼らのたりなさが浮き彫りになる企画「テレビがたりない」などが楽しめる。

特典映像

たりふた裁判 / おひとりさま2014夏 / たりふた舞台裏

封入特典

ブックレット / 山里関節祭りステッカー