バンドで専務を追い越すことが恩返し

──ミュージシャンとして、バラエティに出演されることに葛藤はありますか？

いろいろ考えた時期もあったんですけど、自分は芸人さんではないので、番組では自分の思ったことをそのまま言っています。変に芸人さんのような笑いをやるのは「素人が何を調子に乗ってんだよ！」って、自分が視聴者だったらたぶん思うでしょうし。ナチュラルにシンプルにいるべきだろうなと。もちろん笑いをとったら、ヨッシャー！ とは思いますけど（笑）。

──バンド活動と専務というポジションは両立していますか？

自分はそもそも二足のわらじを履こうという気持ちはなかったんですよ。いっぱしにあった「有名になりたい」という願望は、全部バンドで叶えようと。ただ、番組の認知度が高まってきたときに「専務ってバンドやってるんだ？」という声があって、それを聞いたときに「バンドより先に専務として有名になってきてるんだ、俺……」というのはありました。

──複雑な思いがあったと。

はい。とはいえ、番組を続ける中で「自分はブギウギ専務として先に知られても構わないな」という、よりシンプルな感覚になりましたね。「アイツ芸人なんでしょ？」と仮に思われたとしても、そのバンドが文句なくカッコよければ何も問題ない。あとは、どれだけバンドがブギウギ専務の知名度に追いついて、ともすれば追い越していけるか。そうなることが、番組に起用してくれたスタッフやファンの方に対する恩返しだなとも思います。

──専務の人気をバンドに還元できれば、ということですね。

そうですね。葛藤があった時期よりも、僕はなんでもやりますよ！ という気持ちが大きいです。もともと何かやってやろうと思ってましたけど、もっと高いところに意欲が上がりました。

あなたの知らない北海道がここにある

──道外にはまだブギウギ専務を知らない方もいらっしゃると思います。そんな人たちにこの作品の魅力を語るとすれば？

北海道の旅の中で、大の大人がずっと一緒にいるうちにギスギスしていったり、バカバカしく俳句を詠んだりしています。一見意味のないことにも真剣に向かい合っている。北海道のバラエティ番組という先入観なく、フラットに見ていただけたらと思いますね。絶対に面白いという自信はあるので。

──まずは一度見てほしいと。

そうですね。あとは、この「ブギウギ奥の細道」のためだけにバンドで書き下ろした曲が入っていますし、BGMも自分で作曲してギター弾いたりしてるんですよ。演者でアホなことやりながらBGMもやってる人はあまりいないと思うので、そこも聴いて楽しんでいただけたらと思いますね。

──最後に道内の方にもメッセージをお願いします。

僕は札幌出身なんですけど、ブギウギ専務を過去にご覧になった方、そうでない方ともに「北海道ってこんなに南と北で違うんだ！」ということをまずは伝えたいです。たくさんの発見がありました。

──道南から道北へかけて、気候的にはいかがでしたか？

寒かったですね！ とにかく北のほうの冬の寒さたるや！ 自分も北海道の冬をなんとなく知っていたはずなんですけども、こうも違うのかと。ルートは海沿いが基本なので、普通の寒さプラス海風があって、信じられないくらいの寒さでした。松尾芭蕉の衣装の上にアウターを羽織ると現代感が出ちゃうので、冬は7枚重ね着してました。

──この衣装の下にはそんな秘密が！

クルマではなく歩きだったので、すごくリアルに北海道を体感しましたね。山道を抜けてハッと見た海の景色が泣けるほど綺麗だった、みたいな光景も印象的です。部屋の中で寝っ転がりながらでいいので、ぜひ同行者の視点で見てください。あなたの知らない北海道がここにあります！