毎年新たな人気者が誕生するお笑い界。芸人たちはそろって「売れたい」と口にするが、メディアに露出できるのはほんの一握りだ。売れるために必要なのは実力か運か、そのどちらでもない別の要素か。今回、お笑いナタリーはバラエティ番組やお笑いライブに深く関わる人物に「売れる」ことについてのアンケートを実施。要注目のブレイク候補などを挙げてもらった。
このアンケートをもとに、自身のネタDVDをリリースしたばかりのランジャタイとマッハスピード豪速球、芸人界随一のお笑いウォッチャーである馬鹿よ貴方は・新道が「自分たちはどうすれば売れるのか」というテーマで戦略会議を実施。彼らが語る本音とは。
取材・文 / 塚越嵩大 撮影 / 須田卓馬
「売れる芸人とは?」アンケート
- 今はまだメディアであまり見ないものの、今後露出が増えそうだと思う芸人を3組挙げてください。また3組の「今後露出が増えそうな理由」をそれぞれ教えてください。
- 芸人がテレビで売れるために必要だと思うこと、それがどうして必要だと感じるのかを教えてください。
テレビ東京プロデューサー 佐久間宣行
「ゴッドタン」「NEO決戦バラエティ キングちゃん」など多数のバラエティ番組を演出。
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- 四千頭身
- ネタもルックスもいい。自分たちだけの新しいノリがある。
- ランジャタイ
- 爆発的に面白いときがあるんですよね。周りの芸人からもリスペクトされてる感じもあるので、いずれ出てくるんじゃないかなーと。
- まんじゅう大帝国
- ネットでネタを見ただけなんですけど、大好きなやつでした。いつか生で見たい。
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欠点ですかねえ。それがかわいらしければなおさら早いと思います。完璧な人はなかなかテレビだと生かされないんですよね。特に今の時代は。視聴者が自分より完全に上にいるのを許さない空気があるというか。でも、これもそのうち変わると思いますし、カリスマ性のある人が出てきてほしいと思ってます。
K-PRO代表 児島気奈
お笑いライブ・イベントの主催。月30~40本のライブを制作している。
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- ゆにばーす
- 実力はいつM-1決勝に行ってもおかしくないレベルです。ボケのはらさんのインパクトに、分析力に長けた川瀬さんのバランスは最高の組み合わせで、どんな状況にも対応できる適応力の高さはすごいです。反体制の姿勢も時代にマッチしていると思います!
- 三福エンターテイメント
- 正統派コンビを解散後、たった1カ月で「エンタメ兄さん」として戦線復帰してきた自己プロデュース能力と、その精神力の高さは説得力があります! この人を嫌いという人は聞いたことがないのも仕事をする上で大事なんじゃないかなと思います!
- モグライダー
- M-1でもなんでも見つかればすぐに売れると思います。ライブでは右に出る芸人はいないくらい、どのライブでも一番の爆笑をとっていて、MCを任せたら先輩だろうがアマチュアだろうが、ベストの絡みをしてくれます。大切なライブでは頼りにしています!
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芸人仲間の間で「流行る」存在になることではないでしょうか。ネタでもキャラクターでも一発ギャグでも、どれか1つの分野でいいので芸人の中で噂される人が売れている気がします! それには楽屋やリハーサルでいつもと違う行動をとることから始めてみて、「ん? 今日のあいつなんだか変だな?」と言われることが大事だと思います。
劇場支配人 坪倉大輔
ルミネtheよしもと、よしもと幕張イオンモール劇場を担当。
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- インディアンス
- 今年売れる芸人最右翼だと思います。キャラクター性、ギャグ含めた発想力、アドリブ力、実は意外と空気も読めると穴のない田渕は天才だと思います。また、先輩芸人や同世代芸人からもその実力は認められています。
- 霜降り明星
- 先輩芸人、特に大阪芸人から認められている点は大きい要素です。粗品の耳に残る声色は視聴者を印象付けるに充分なものをもっていると思います。
- ガンバレルーヤ
- 実は生で見たことがありませんのでわかりませんが「内村てらす」に出演していたのを見てそのキャラの濃さにハリセンボンの再来か?と目を見張ってしまいました。あのダイアンが自信をもって薦めていたこともポイントアップです。
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真面目で誠実(笑いに対して、世間に対して)。まずはこれが一番です。バカみたいなこと書きますが、僕は主体ではなく客観を重視しています。先輩芸人や身近なスタッフに面白さを認められている芸人が結局売れていくのだと思います。どの世界でも結局一緒だとは思うのですが同業者に愛される、同性に愛されることが、輝くための必須条件で、そのために必要な能力はまさに「真面目で誠実」であることだと考えます。
馬鹿よ貴方は 新道竜巳
「M-1グランプリ」「THE MANZAI」の決勝に進出。賞レースを1回戦から観に行くほどの熱心なお笑いマニア。
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- TOY
- ほかの芸人にはないネタのインパクトがあるのと、リズム芸の需要がある中、ミュージカルコントと1つ進化した形のリズム芸をしている女芸人であるということ。
- デルマパンゲ
- 「M-1グランプリ2016」全組の中で一番面白かったのは銀シャリでも和牛でもスーパーマラドーナでもなく、このコンビです。大衆にわかりやすい議題だと、ネタの鮮度が失われがちになりますが、デルマパンゲは「数字」というとんでもなく大衆にわかりやすい議題で、鮮度を抜群にできる技術がすごい!
- 山ノ内
- 画用紙に描かれる絵が独特で引き寄せられ、吸い込まれてしまうようなタッチであることと、ネタの裏切りの美しさ。NSC大阪校39期の大ライブの優勝者でもあり、養成所の時点でこの完成度は驚異と思われるレベルです。
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- 1. 身の丈に合った芸風
- 身の丈に合わないと、無理が出て見る側に嫌悪感が生まれ、応援心が失われるので、人気に繋がらず仕事が繁栄していかない。
- 2. 新しく見せる作業
- 新しい物、鮮度がある物に人はお金を落とす傾向にあるので、利益に繋がりやすく商品価値が出やすい。
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「売れるためには?」戦略会議
- ランジャタイ「ランジャタイのキャハハのハ!」
- 2017年4月19日発売 / ポニーキャニオン
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[DVD]
3024円 / PCBP-12367
- 収録内容
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宇宙大戦争 / 猫を飼いたい / カラオケ / バイトの面接 / 仲間が欲しい / 仮装大賞 / 寿司子 / 沼 / ザリちゃん
<特典映像>
馬車楽亭馬太郎「パカラ」 / パカラ地獄
- マッハスピード豪速球「マッハスピード豪速球」
- 2017年4月19日発売 / ポニーキャニオン
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[DVD]
3024円 / PCBP-12368
- 収録内容
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マナー / こんな夜は / 命の恩人 / 自転車撤去 / ゲームセンター / 効果以上 / 裁判 / 下の上 / 親子喧嘩
<特典映像>
検証「ガン太に対する坂巻の愛が足りないんじゃないか問題」
2018年5月9日更新