下品なもので品位を漂わせる人たち
永野 座談会のテーマはナタリーさんが用意してくれたものなんですけど、我々3人には品がある、と。それってポリシーとして意識したりしてますか?
くっきー へえー。よう気づいたなあ。品が溢れ出て溢れ出て。
永野 自分で言います!? でも、確かに言われてみると生々しい下ネタはあんまり言わないなって気づいて。さっき「肛門系男子」とかは言いましたけど(笑)。「本心を言わないよね」ってからかわれたりもするんですけど、癖なのか、リアルなことを言うのは避けてる気がします。けっこう今って、役者さんも芸人さんもオープンじゃないですか。素を明らかにしてく風潮というか。そういうのが昔から個人的には苦手で、「この人何考えてるんだろう」って思うような人が好きだったからか、自分もそう見えるようにしているのかもしれないです。
くっきー わかる、わかる。家の取材ダメでしょ? 家族系とか。
永野 ダメです。本当にそういうのひけらかしたくない。
くっきー メルヘンの存在でいたいですよね。
永野 そうそう!
くっきー 僕はセックス系のエピソードは言ったりするんですよ。それはモテへんかったから、自慢したくなってついつい言っちゃう。
永野 なんで言っちゃうんですか!
斎藤 あはははは(笑)。
くっきー でもメルヘンでありたい。セックスをするピーターパンなんです。
永野 あはははは!(笑) 生活感見せたくないですよね。
くっきー 今のご時世、みんな芸人の芸より芸人の裏を見ようとしますから。
永野 「実はいい人なんでしょ?」とか、それを聞いて安心したいんでしょうね。
斎藤 まさに「MASKMEN」でやったことがそうだなと思いました。僕らって、見えている面で人様に判断してもらう仕事だとは思うんですけど、みんなが見たいのは中のグチュグチュした部分っていう時代。それをうまいことかわしていらっしゃる品位みたいなものがお二人にはあります。ときとして下品なもので品位を漂わせる人たちっていう。
永野 うわあ。全部わかってくれてる。大変なんです、この生き方。
「まだ君は5%も能力を発揮できていない」
テーマ5「満足」
永野 みなさん現状に満足してますか?
くっきー 満足ではないですね。
永野 どうなれば満足ですか?
くっきー 極端に言えば、金がありゃあいいです。
永野 なんか部分部分ですごい尖った人だなあ。「客に撒き餌だ」とか(笑)。ナタリーさん、そこ抜粋してもらえます? それで恐ろしい顔の写真使ってください。
くっきー やめてやめて!(笑) だって「僕が好きなお笑いはこれですよ」ってもうだいぶ見せられたと思うんですよ。あとは新しいものを生み出すっていうよりも、余韻な感じ。バーって走ってて、今は余韻で止まり待ち。
永野 慣性の法則で(笑)。
くっきー そうそう。で、摩擦で止まったときに金がドサッとあったらラッキー。
永野 斎藤さんはどうですか?
斎藤 「MASKMEN」もそうですけど、なかなか一筋縄ではいかないことをやらせていただいているので、その満足感はあります。でも先日整体師の人に「まだ君は5%も能力を発揮できていない」と言われて。
永野 整体師が? それ信じて大丈夫ですか?
斎藤 (笑)。僕は達成したものに対して「これができたんだ」って満足してしまうタイプなんですけど、「まだ5%しか発揮できていない」という言葉を信用してみたら、また面白い方向に行けるのかなという期待はあります。限りなく100%に近づけるという作業を30代はやっていきたいなと思いますね。
永野 それは新しく好きなことを探そうってことなんですか? それとも今「これだ!」って思うものを広げていく?
斎藤 どちらもですね。来年また「R-1」に出ようかなとか。今度は自分でネタを考えて、メディアも入れずに。
くっきー ただただ出るってこと?(笑)
永野 なんで?
斎藤 趣味っていうとまた曇天三男坊が怒る(「MASKMEN」第1話でお笑いに挑戦したいという斎藤に曇天三男坊が猛反対した)と思いますけど(笑)。1回経験させてもらったので、エントリーの仕方も雰囲気もわかったので。
宴もたけなわプリンスホテル
永野 完全に「MASKMEN」の挑戦で斎藤さんの幅が広がってますね。
斎藤 そうですね。これがなかったら今はないっていう出会いでしたし、濃厚な期間でした。
永野 普通やらないですからね、役者さん。ポジションが崩れるかもしれないですから。
くっきー 今まで積み上げてきたものが更地になる可能性ありますもん。
永野 スベったりもするわけじゃないですか。
くっきー ほぼずっとスベってましたよ、僕のネタで(笑)。
斎藤 最後の最後は路上で永野さんのネタをやって、スベって終わりました。
くっきー 最終的にもスベったんですか?
斎藤 スベりましたね。最後はマスクなしだったので人が殺到してしまうことを想定してスタッフさんたちがガードしてくれていたんですけど、ほぼ誰も来なかったです。スタッフさんたちがかわいそうだからそのままお客としている、みたいな状況で。
永野 急に機転利かせてギャラリーのふりして? うわーみっともない!
斎藤 ウンコ漏らしたみたいな終わり方して(笑)。
くっきー でも漏らせるのがすごいですよ。役者さんは漏らさんでええもん。
永野 素敵ですよね。いやー、なんか今日はいい話できましたよね!
斎藤 締めようとしてます?(笑) でも本当に、お二人のお笑い界での存在の仕方みたいなものの確認作業ができましたね。ちょっとだけ触れ合う瞬間も見えて。虫同士の触角が。
くっきー 確かに虫ですね。
永野 すごい匂い発して威嚇して。
くっきー 飛べもせんのに羽根ブワー広げて。
斎藤 あはははは(笑)。
永野 あ、カメラマンさん、これ写真撮ってください! ……そういうわけで。
斎藤 「そういうわけで」(笑)。
くっきー 進行下手やなあ!
永野 宴もたけなわプリンスホテルってことで。ありがとうございました!
- 「MASKMEN」DVD BOX
- 2018年7月4日発売 / バップ
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[DVD]
12312円 / VPBX-15727
- 収録内容
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4枚組(本編ディスク3枚+特典ディスク1枚)
- 本編 全11話
- 特典映像
斎藤工の挑戦の裏側、お笑い芸人を目指す人必見の講義の様子など、たっぷりと収録!- 斎藤工の勇姿を収めた未公開映像集
- オープニングタイトルバック
- 斎藤工が挑む!NSC講義完全版
- サンキュータツオが説く大喜利必勝法
- X JAPAN「Toshl」の「マスカレイド」レコーディング映像
- 斎藤工の「マスカレイド」レコーディング映像
- 爆笑番宣スポット集
- MASKMEN VS 人印
©「MASKMEN」製作委員会
- くっきー / 左
- 1976年3月12日生まれ、滋賀県出身。相方ロッシーと1994年4月に野性爆弾を結成。自分の顔を真っ白に塗りキャンバスに見立て、著名人の似顔絵を描く「激似顔マネ」が話題。川谷絵音がプロデュースするロックバンド・ジェニーハイのベースを担当するほか、公開中の映画「劇場版ドルメンX」では音楽プロデューサーを務めるなど、活動は多岐にわたる。展示イベント「超くっきーランドneoneo」が全国展開中。
- 斎藤工(サイトウタクミ) / 中央
- 1981年8月22日生まれ、東京都出身。2001年に俳優デビュー。以降、多数の映画やテレビドラマに出演。2015年「エランドール賞」新人賞を受賞。齊藤工名義では、映画館のない地域に映画作品を届ける移動映画館プロジェクト「cinēma bird」を2014年に開始。また長編監督デビューを果たした映画「blank13」は2月の公開から異例のロングランを果たし、7月6日(金)までの上映が決定している。
- 斎藤工オフィシャルサイト Takumi Saitoh official web site
- 映画「blank13」オフィシャルサイト
- 映画『blank13』齊藤 工と仲間たち (@blank13official) | Twitter
- 斎藤工の記事まとめ
- 永野(ナガノ) / 右
- 1974年9月2日生まれ、宮崎県出身。2013年、出演したネタ番組で司会を務めていた斎藤工と出会う。2016年にリリースしたDVD「Ω」を手がけた映像ディレクターの清水康彦、友情出演した斎藤、金子ノブアキと共に「チーム万力」を結成し、短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)2018」にショートフィルムを出品。7月14日(土)から16日(月・祝)の3日間、ももいろクローバーZの高城れにとのツーマンライブ「エキセントリックコミックショー 永野と高城。2」を東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで開催する。