ナタリー PowerPush - レイザーラモンRG Like a Record round! round! round! in 富士急ハイランド
本気の洋楽イベントが富士急進出!RGのあるあるルーツを探る
“ハイポジ”で保存されたティーンの記憶
──あるあるの曲は同じ音楽のくくりでもそれぞれ少しずつ棲み分けが違っていますよね。比較的広範囲な邦楽、アメリカンロック、そしてニューロマ系、主に1980年代の音楽というか。
そうですね、はい。
──RGさんがそのあたりの音楽や80年代について話すのを聞いていると、知識として積み重ねたものではなく、当時の記憶を色濃く残したまましゃべっている感じがするんですよ。
あー、当たってます。記憶が当時のままで止まってるというか、ティーン以降の情報が自分の中のハードディスクに存在していない感じ。いまだに小学校5年生の夏の記憶とか、あの番組であの人が言ってたコメントがよかったとか、あの人が来日したときはこうで、お客さんが着ていた服はこうだったとか……ティーンの頃でデータは止まってるし、さっきはハードディスクなんて気の利いたことを言いましたけど、カセットですね(笑)。何回も頭の中で巻き戻すし。これ以上掘り返すとすり切れるぐらい、そこの記憶ばっかり使ってる感じです。
──わかります(笑)。でもカセット的な残り方じゃなく、それこそデジタルなハードディスクのように鮮明に記憶が残っている方なんじゃないかと思うんですよ。
ハイポジで録ってるんですよ(笑)。
──それ、もう世代的にわかんない人もいるかもですね(笑)。ちょっとそのあたりの原体験について教えていただけますか?
我が家は決して裕福な家庭ではないんですけど、本やカセット、あと魚と昆虫はわりと豊富にある環境だったんですよ。カセットは自分が生まれる前のものからあったんですが、カセットデッキの使い方を教えてもらって何度も聴いてたのは、銀河漂流バイファムの「HELLO,VIFAM」(1983年発売)です。そのカセットをかけてた風景は今でも鮮明に覚えてます。子供の頃からちょっとマイナー志向というか、アニメのテーマ曲でも英語の方が好きみたいなところがあって。「HELLO,VIFAM」は英語の内容の歌なんですけど、その世界観がはっきりと好きでしたね。
──周囲の影響はありますか?
ありますあります。近所に4つ上のお兄ちゃんと17こ上のお兄ちゃんがいて。僕だけ歳が離れてるから、2人とは文化が全然違うんですよ。僕1人だけ遅れてるから「それはなんだ、あれはなんだ」って食い付いて。近所のお兄ちゃんはダビングを教えてくれて、もう1人のお兄ちゃんはアルフィーとか松山千春さんとか。で、自分で初めてダビングしたカセットはアルフィーの「星空のディスタンス」(1984年発売)ってシングルでした。
──なぜその「星空のディスタンス」に惹かれたんでしょうか?
「NORU SORU」(エフエム東京系ラジオ番組)で即興で歌う坂崎さんにショックを受けて。そのラジオでギターを背負いながらお題をふられてすぐに歌っている姿がすごくショックで。翌日すぐシングルを買いました。
高校時代のネタを収めた幻のカセット
──RGさんのルーツには「80年代アーティスト」もあると思うんですけど、アーティストはどのあたりがルーツなんですか?
アーティストで誰、というのは実はあんまりなくて、結局は小林克也さんなんです。克也さんがDJされている曲を通じて、アーティストというものを見ていたというか。ワム!はもちろん好きでしたけど、ワム!ご本人に対する興味は、むしろ解散以降のジョージ・マイケルのソロ活動に触れてからのほうが大きくて。アーティストとして誰かをずっと追っかけて、というのは実はあまりないんですよ。中学の頃は実況アナウンサーになりたくて、新日本プロレスを見てると実況アナウンサーの中継がありますよね。それを見ながら「古館伊知郎さんはメイン試合でその前の試合は保坂正紀さんかー」とか(笑)、そういうのはデータとして頭に残ってるんですよ。
──やっぱりデータの蓄積され具合が異常ですよね(笑)。ちなみに当時は実況アナウンサー志望だったということですが、それだけ小さい頃からプロレスに興味があったのなら、自分もプロレスラーになりたいみたいな気持ちは芽生えなかったですか?
全っ然なかったです。多感な時期は実況アナウンサーか、プロレス雑誌のカメラマンになりたくて。あ、でも高校2年生のとき、「夏休みはネタを書きましょう、冬休みにはコントを作りましょう、そして卒業式でやりましょう」という1年がかりの宿題があって。夏の宿題でみんなが書いたネタからいくつかが選ばれて、今度はそれをコントにするんです。その宿題がめんどくさくて、友達に丸投げしたんですね(笑)。その人がクレジットカードのCMを使ってキャッチコピーとSMを混ぜたネタを作ってくれて。それがまたピコピコした面白いネタだったんですよ。それに僕が適当なセリフを乗せて提出したら、それが見事受かってもうて(笑)。
──あははははは(笑)。
「みんな素晴らしいけど、出渕くんはすごいネタを作ってくれた」って先生にベタ褒めされて。下ネタなのに(笑)。CMパクっただけって正直に言ったし、選考会では結局選ばれなかったんですけど、その先生はすっごく推してくださってるから「卒業式の前日イベントみたいなのでやりなさい」って。頼むから勘弁してくださいって言ったんですけど、仲良かった友達は前のめりで興奮してるし(笑)。じゃあ仮面を付けてもいいですかって言って、SMの仮面で「とにかくシモです」って気持ちを表現したくて(笑)。結局やったんですけど、先生は熱がこもりすぎて、そのネタをカセットにしてくださったんですよ。ほかの奴らが真面目にやってる中、僕らのがボーナストラック扱いで(笑)。
──つまり印象に残ってるってことですよね。
去年あるあるで京都公演をやったときに、当時の同級生がわざわざDVDに焼いて持ってきてくれたんですよ。それは自分の中で封印こそしてないものの、完全に忘れてたことだったから、改めて見て腰が砕けました。……当時そんなに引いてたくせに、やっぱり下ネタやし、見てみたら意外とよくて(笑)。そうやって誰かが引っぱってくださるという環境には、昔からホント恵まれてましたね。
──RGさんは芸人としても「俺が俺が」みたいなタイプじゃないし、何かこう用意された環境の中で最大限に輝くような印象があるんですけど、今の話を聞くと昔からそうだったのかなと。
「あるあるに船」とか「棚からあるある」とか「あるあるに抱っこ」とか、そういうテーマで生きてますから。でもあるある拒まずと言えるほど腹はくくれてないから、イヤなことにはあるあるって言いますし。ただ、僕にあるあるのお題をくださる方……出会いには本当に恵まれてると思います。そこに運を使いすぎてるんじゃないかってぐらい。
あるある的なサウンドアプローチ……KATSUYAだ!
──RGさんを“アーティスト”としてお笑いナタリーで取り上げたのは、ナタリー3年目の2012年3月で、東京初のバスツアーについてでした。この記事ですね(参照:お笑いナタリー - [レイザーラモン] 3年B組RG先生!RGのミステリーバスツアー東京レポート)。
あー、2012年の「RGがバスガイドだがガイドせずひたすらあるあるを歌うミステリーバスツアー」ですよね。懐かしいなあ。
──個人的に“アーティストRG”の活動を待ち望んでいたので、前回の1stDVDは2年越しのうれしいニュースでした(参照:レイザーラモンRGが緊急記者会見、ソロDVD発売決定)。「GREATEST HITS<グレイテスト・ヒッツ>」はまさにバスツアーの流れを感じさせる、モロにあるあるなサウンドになりましたね。しかもこのDJを担当したのが克也さんという。
はい、そうなんです。DJだけでなく、ナレーションやボケまですべて克也さん。DVDを通して改めて自分はあるあるが好きで、あるある言うことが好きなんだなと再確認できたんです。それで、あるある的なサウンドアプローチができる人……と考えたときに、一番の理想が「KATSUYAだ!」と思ったんですね。これは小林克也さんじゃなくて、ケーエーティーエスユーワイエーの“KATSUYA”なんです。克也さんのテレビでの活動、1980年代からやられている「ベストヒットUSA」が、僕は大好きで。もちろん「SmaSTATION!!」も好きですよ。でも80年代の“KATSUYA”の音楽が、10代の自分にはいつもフィットしてたんです。それで、どうしても克也さんにDJをお願いしたいんです……というのをマネージャー以外にも、レコード会社の人にも克也さんにお話してもらったんですよ。CDを出す予定も決まっていないのですが、DVDでいいですか?とお願いしたら、快く引き受けてくださって。
──克也さんとRGさんという、華やかな芸能界で活躍されている2人が組んで作ったサウンドとは思えないですよね。ツッコミを極限まで抑えた、ある意味キャッチーさをまったく度外視したようなあるあるで(笑)。お茶の間で流れて老若男女がワーッと楽しめるあるあるではないですよね。でも今はこれがやりたかったと。
スタジオに伺ったときはうれしかったですよ。克也さんに会って「僕はこういうあるあるが好きなんです」ってお話させていただいて、実際に10曲ほど好きなあるあるをリストアップしたものをお渡ししたんですけど、DJを聴いてみたら僕が望んでいることを完璧に拾い上げてくださってることがすぐにわかって。本当にお忙しい方なのに、リストアップしたあるあるを全部聴いてくださって……このあるあるのこの部分とこの部分、みたいなことじゃなく、全体のあるあるを合わせるというか、温度や湿度などのエッセンスを10曲から抽出してくださったような。しかも台本を読むだけのお願いだったのに「よくレディオヘッドが使う……」と言って例えてくださったんです。それが「唐揚あるある」で。
──RGさんが初めての音楽活動で、ここまでガチなものをぶつけてきて、しかもDJが克也さんという、身震いするような状況ですよ。
いやあ、こんなに気分のいいインタビューはないです(笑)。もっとお話しましょう。
Like a Record round! round! round! in 富士急ハイランド
開催日時:2013年8月28日(水)16:00~(予定)
場所:山梨県 富士急ハイランド園内 マッドマウス前特設ステージ
料金:無料
※入園には別途富士急ハイランド入園料が必要
出演:藤井隆 / レイザーラモンRG / 椿鬼奴
※イベント当日は午後から藤井隆、レイザーラモンRG、椿鬼奴が園内にサプライズで出没予定。
※本イベントは、雨天決行 (荒天の場合は中止) です。
雨天の場合でもイベントは実施致しますが、スケジュールが大幅に変更となる場合もございますのであらかじめご了承ください。イベントの中断・中止・延期に伴う、富士急ハイランド入園料の払い戻しや会場までの旅費等(キャンセル料含)の補償は一切致しませんので、ご了承ください。
Like a Record round! round! round! in 富士急ハイランド プレミアムバスツアー開催
富士急ハイランド営業概要
営業時間
8月10日~8月15日:7:00~22:00
8月16日~8月31日:8:30~21:00
※9月以降、時期により開園・閉園時間が異なるので、オフィシャルサイトで要確認。
休園日
8、9月は無休
※10月以降についてはオフィシャルサイトで要確認。
料金
入園料:大人・中高生 1300円 / 子供 700円
フリーパス:大人 5000円 / 中高生 4500円 / 子供 3700円
交通
▼車
・新宿から中央自動車道で約80分、河口湖ICに隣接
・東京から東名高速道路・御殿場IC、東富士五湖道路経由で約90分
▼バス
・新宿から中央高速バスで約100分、富士急ハイランド下車
・東京駅から東名高速バスで約150分、富士急ハイランド下車
(バスは要予約)
▼電車
・JR中央本線大月駅で富士急行線に乗り換え富士急ハイランド駅下車、大月駅から約50分
レイザーラモンRG(れいざーらもんあーるじー)
1974年6月8日生まれ、愛媛県出身。1997年にHGとレイザーラモンを結成。2001年に2人そろって吉本新喜劇に入団し、2005年末に退団。2013年3月には名曲に乗せてあるあるを歌い続ける初ソロDVD「GREATEST HITS」が発売され注目を集めたほか、同年8月には書籍「レイザーラモンRGの洋楽あるある」も発売。さらに11月には早くもソロDVD第2弾「レイザーラモンRG『Live in Japan』」のリリースが控えている。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。