くりぃむしちゅー有田の脳を覗く、深くて濃い即興トーク Amazon Music独占ポッドキャスト新番組「有田脳」|“自分語り”をしてこなかった有田の変化「面白いかどうかは俺が決めることじゃない」

ショッピングモールでは全部の店を回りたい

──「有田脳」は、有田さんがさまざまなカルチャーに造詣が深いことが生かされた番組でもあると思います。有田さんは日々どのようにカルチャーをインプットしているのでしょうか?

有田 “インプット”みたいにカッコいいことしてるつもりはないですけど(笑)。おしゃべりが好きなので、若い子とも年上の人とも接する機会が多くて、そこから入ってくる「今こういうのがいいよ」「あれ、めっちゃ面白かったよ」みたいな情報を拾っていく感覚です。カルチャーだけじゃなくて、美容室、洋服、子育てする上で便利なスポットとか。あと時間を忘れて掘り下げちゃうんです。例えば、昨日の夜は1990年代のアンダーグラウンドだったジャパニーズヒップホップを聴いてて、気付いたら6~7時間経ってたんですよ(笑)。仕事が終わって、一杯飲んで、子供が寝て、そのあとに自分の好きなものを掘り下げてる時間がすごく好きかもしれないです。

コトブキ 有田さんは1回ハマるとグーンと深く掘り下げるんです。

──若手芸人のことを掘り下げることもあるんですか?

有田 恥ずかしいからあまり言いたくないんですが、「M-1グランプリ」の1回戦のトップ通過ネタとか3回戦の動画とかは何日かかけて全部見てます。始めちゃうと止まらないんです。僕、ヘンダーソンが結構好きで、この前、番組の収録で「初めまして。ヘンダーソンと申します」って挨拶されたときに、たまたま前日に動画を観ていて。「おお、昨日観たよ」と返したら、向こうも「え?」っていう感じになってました。俺からすれば大スター(笑)。

──掘り下げ方がすごいですね。

有田 自分の性格の変えたいところでもあるんですけど。例えば日本最大級のショッピングモールができたとするじゃないですか。そこに行ったら、全部の店舗を見たいんです。子供のときからそうで、渋谷にTシャツだけ買いに行ったとしても全部の店を見たい。「もっといいのがあるんじゃねえか」と思っちゃいます。

コトブキ ラスベガスに連れていってもらったときに、そこにあった20軒くらいの洋服屋に全部入って、それぞれの店内も全部回るんです。しかも次の日、まったく同じルートでもう1回巡ったんですよ。考えられます? 半日潰れるんですよ? しかも結局1点も買わなかった(笑)。

有田 何かを探してるわけじゃないんでしょうね。情報を仕入れたいというのかな。自分でもしんどいから変えたいんですよ(笑)。

コトブキツカサ

コトブキ やっぱり誰よりも好奇心が強いんだと思います。そうじゃなきゃ僕みたいな後輩のYouTubeなんて観ないじゃないですか。洋楽、K-POP、エヴァ、サッカーゲーム、ゴルフとかいろんなものにハマってる中で後輩のYouTube観ます?

有田 ははははは! 確かに! 俺、何やってんだろうな(笑)。

コトブキ YouTubeは週1でやってるんですけど、「週2でやれ」と言われました。

有田 たまに休むのが腹立つんです。ここに待ってる奴がいるんだぞ!(笑)

コトブキ あれ200人くらいしか見てないんですよ!

──有田さんから見たコトブキさんはどういう存在ですか?

有田 僕と同じでとにかくおしゃべり好き。今日は僕の番組の取材だからまだ抑えてますけど、放っておいたら3時間でも4時間でもしゃべり続けてますから。でも、その内容が人とは違う斜めの角度。25年くらい前に出会ったときからそうでした。ザキヤマは一緒にいるとずっと乗せてくれるのですごく心地いいんですけど、それとはまた別のタイプ。会ってしゃべれば「なるほど」とか「そういう考えもあるのか」と思わせてくれるので、仲良くなったんです。あと「よくわかりません」を言わない。うちの相方もそうで、何を聞いても「たぶんこうなんじゃないかな」って1つの見解がちゃんとある。だから話してて飽きない。映画を観に行ったときも「面白かったね」というボヤッとした会話で終わることはなくて、ちゃんと議論ができる。それが楽しいんです。

「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」とは全然違う

──最後に改めて、この番組ならではの特徴を教えてください。

コトブキ 有田さんの本音が聞けるし、話の濃さは一番だと思います。

有田 「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」みたいな内容を期待されるとガッカリするかもしれません。あれは自分のこと何もしゃべってない。というか、何も語ってない(笑)。そういう意味では全然違う番組です。

コトブキ 「ANN」はくだらなさ、「有田脳」は深さが魅力。

有田 「ANN」のリスナーはすごく番組を愛してくれていて、どこにでも現れて、リスナーにだけ伝わるネタを放り込んでくれるんです。プロレスのことを語る配信に「ロッキーの撮影じゃないのよ」ってコメントが書き込まれていたり。そういう人たちが「有田脳」を聴くと新たな発見があるかもしれません。

コトブキ それは絶対にありますね。これだけ有田さんと長くいて、ラジオも全部聴いてた僕も初めて知る話がいっぱいありました。有田さんから見た芸人の話も、お笑い好きの人は楽しめると思います。僕は勉強になりました。

有田 ファンの人たちが中心で聴くラジオと違って、ポッドキャストの魅力はファンじゃない人もなんとなくポンと押して聴き始められることだと思うんです。それでちょっとした共通点が見つかったり、「この人ってこういう考え方してるんだ」という発見があったりして、次の回も聴くようになったら、あとは沼(笑)。楽しみでしょうがなくなるじゃないですか。「めちゃくちゃためになる」「すごい裏情報が聞ける」だけではない、気付いたらハマってたってこともあると思うんです。

コトブキ 「音楽の趣味が合うんだ!」「この考え方一緒!」とかがあるかもしれないですよね。

有田 そう。逆に「この意見、ムカつくなあ」ってところからハマることもあるかもしれない。僕もコトブキのポッドキャストを最初はイラつきながら聴いてましたから。「お前、何を偉そうに芸能界のこと語ってんだよ!」とかツッコんでたらハマってました(笑)。それが心地いい。なので、僕にそこまで興味がない人も1回はポンと再生してほしいです。

左からコトブキツカサ、有田哲平。
有田哲平(アリタテッペイ)
1971年2月3日生まれ、熊本県出身。同じ高校で出会った上田晋也と1991年12月にコンビ・海砂利水魚を結成。「ボキャブラ天国」(フジテレビ系)をはじめとするバラエティ番組に出演して人気となる。2001年10月、「新・ウンナンの気分は上々。」(TBS系)の企画で現在のくりぃむしちゅーに改名。2004年10月には改名後初の冠番組「くりぃむナントカ」(テレビ朝日系)、2005年7月には「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)がスタートした。現在は「しゃべくり007 」(日本テレビ系)、「賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~」(TBS系)、「全力!脱力タイムズ」(フジテレビ系)、「くりぃむクイズ ミラクル9」(テレビ朝日系)などに出演中。
コトブキツカサ
1973年11月16日生まれ、静岡県出身。お笑いコンビ・ピテカンバブーとして活動したあと、2000年頃よりピン芸人に。現在は「映画パーソナリティ」の肩書きでテレビ、ラジオ、雑誌などで活躍中。年間映画鑑賞数は約500本。