DVD化決定、スパローズ単独ライブ「ビジネスクズ」大盛況

昨日5月15日、東京・中目黒ウッディシアターにて行われたスパローズ第2回単独ライブ「ビジネスクズ」が4公演がすべて終了した。

これは芸歴19年のスパローズにとって人生2回目の単独ライブ。昨年2012年に「THE MANZAI」での活躍を受け、渋々初単独ライブを行った。その疲労から「もう二度とやりたくない」という本人たちの気持ちとは裏腹に、クズを全面的に活かしたネタに会場は大盛り上がり。第2回の開催が待たれていた。そして、2年連続「THE MANZAI」認定漫才師となり、「クズで稼げる」という希望の光を見出した2人は今回のライブを決意。昨年即完売してしまい後悔したグッズの売り上げを取り返すためにも3DAYS 4公演というチャレンジに出た。

開演前の注意アナウンスでは、「ケータイが鳴ると、スパローズの2人からしつこくイジられる可能性がある」「緊急事態ではスパローズが真っ先に逃げる可能性がある」ことを事前に前置き。そしてこの日はDVD収録があるということで、今後の売れ行きのためにも「しっかり笑うように」とのお達しが出た。

一発目の漫才から2人のクズぶりは絶好調。なんと漫才中に現金を取り出し客とある交渉をするという彼ららしいやりとりに観客は待ってましたの爆笑となった。さらに続くコント「保育園」でも現金が舞う騒動が勃発。かわいらしい動物アップリケのエプロンをつけた2人のお遊戯姿との見事なギャップが生まれた。「うるるん」では、切羽詰まった元人気子役の俳優（大和）が、再起をかけてテレビロケである部族の村に滞在。その必死ぶりにディレクター（森田）もドン引きするが、彼にはある隠し事があった。「勇者」では、試食販売のアルバイト（大和）が、突然現れた男（森田）から突然「世界を救ってくれ」と依頼される。バイトと世界、果たして彼はどちらを選ぶのか、そしてその理由とは。2人の幼馴染の親友が登場する「結婚式」。親友（大和）が御祝儀が払えないことを気にして結婚式に現れず落ち込む新郎（森田）だったが、その親友は金を手にやってくる。最後にはどんでん返しもあり、見えない披露宴客たちと2人の絶妙なやりとりが見られた。

ムダが大嫌いな2人が未完成なネタをそのまま披露する「ボツネタ集」はボツの理由付き。森田の出番がないスギちゃんのパクりネタ、芸歴1年目のネタ帳から拝借したネタのほか、ネタよりグッズを優先した2人の満面の笑みが見られる通販コントも紛れていた。

続いての漫才では2人が乱れたスーツで登場。何事かと思いきや、“ゆとり世代が生んだクズ”でおなじみの三野マネージャーが2人にとんでもない告白をしたせいで2人は大慌て。前回の初単独で最大の衝撃を生んだ“スパローズボックス”が再び終演後に登場することが急遽発表された。コント「円周率」では円周率暗記のギネス記録に挑戦中の男（大和）に突然の電話が。ギネスを諦めない男の執念を描いた。

最後のコント「弟子」では、試験当日の朝にマンガを読む息子（森田）を、父（大和）が激励。しかし読んでいるマンガが「ワンピース」と知るや否や激昂する。“クズのエリート”の息子として生まれたが故のプレッシャーに押しつぶされる息子。息子の苦悩に気づかす過度の期待をかけてしまう父親。互いに素直になれない不器用な親子は、この壁を乗り越えることができるのか。本気でぶつかりあう2人に会場は爆笑の嵐。新たな形の感動ホームドラマがここに誕生した。

ネタの合間には前回好評だった「スパローズの周囲のゆかいなクズたち」をVTRで紹介。働かないクズ、バイトをすぐクビになるクズなどの中には、福岡吉本時代の同期ヒロシがエロ系のクズとして登場する場面も。通常周囲には落ちていない貴重エピソードの連続で今回も大盛り上がりだった。

エンディングVTRは、「終わらない歌を歌おう 全てのクズ共のために」というTHE BLUE HEARTSの名フレーズにのせてクールな映像が。エンドロールには、この日奇しくも結婚を発表したくじらがオープニングVTRのビリヤード指導として明記されていた。最後に森田は「人生最後の単独ライブ、本当にありがとうございました」と挨拶。大和も疲れ切った様子で「もう、ほんと……割に合わん」と言葉を残し、最後まで観客を笑わせた。

今回もクズ一辺倒で、新たなクズの可能性を見せつけたスパローズ。19年の間に自然と身に付いた感覚で織りなす秀逸な漫才と、クズが絡むと演技ではなくなる境地に入る迫真のコントが、今年の賞レースにどのような結果をもたらすのか期待したい。

発売されたグッズは、マグカップ、缶バッチなどの限定グッズが即完。昨年のDVDもすべて売り切れていた。今回の単独ライブはBSフジより今後DVD発売の予定。詳細は後日発表されるので、見逃した人は発売を楽しみに待とう。