幻の作品が登場、ザブ、鬼ヶ島、スパのネタを芸人遺産認定

昨日10月11日、東京・下北沢「劇」小劇場にて、東京03・角田MC、鬼ヶ島、ザブングル、スパローズ出演の「芸人遺産～そのネタの思い出、お聴かせ下さい～」が開催された。

同ライブでは、出演者がそれぞれの思い入れのある大好きな「ウケないネタ」をエピソードとともに披露。そのネタを“芸人遺産”として後世に残すべきかどうか判定する。まずは司会の角田が1人で登場し、ムーディなステージでクラシカルな音楽にのせて情感たっぷりに趣旨説明。その雰囲気を引きずったまま登場したザブングルは角田と握手を交わし、日曜朝の文化人トーク番組のような雰囲気に、松尾は思わず「ずっとこの感じでやっていくんですか？」と不安を口にした。今年で15年目のザブングルの芸人人生グラフによると、「新しい波8」で好調なスタートを切り、加藤の人命救助でピークを迎えると、「はねるのトびら」メンバーに選ばれなかったことを機にどん底へ。「岡村さんになれると思った」という加藤はとうとう三軒茶屋で三畳の暮らしを余儀なくされた。

その後、人気ギャグの「カッチカチ」「悔しいです」を生み出すも最初はまったくウケず。しかし2007年「M-1グランプリ」決勝進出で勢いを盛り返し、「それほど売れもせず、いなくなりもせず今に至る」とのことだった。加藤の人命救助やボロアパートの話では会場が大爆笑。「悔しいです」を生み出した経緯では、元ネタの「スクールウォーズ」を全力で再現し喝采を浴びた。登録に申請したネタは、「加藤がとにかくわめく」という現在のネタスタイルの元となった最初のコント「痴漢電車」。当時は「相当スベッた」ということだが、2人の歴史を存分に味わってきた観客は彼らの背景も踏まえてネタを楽しんだ様子で、大いに沸いていた。登録は見事受理され、このネタは芸人遺産に決定。2人は角田と何度も固い握手を交わし続けた。

続いて登場したのは鬼ヶ島。それぞれの解散を経て3人でトリオとして出発しただけに、プラスドライバーを解散してアルファルファに加入し、トリオ・東京03の一員となった角田は「初舞台すごい緊張」と彼らの気持ちを慮った。いとうせいこうに絶賛されるも、和田の加入でやや勢いが落ちたというアイアム野田とおおかわら。不幸は続き、イベント「鬼パーティ」で怒られてからは鳴かず飛ばずの状態となってしまう。しかし、昨年2011年の「キングオブコント」で3人の勢いは絶好調に。その後、再度どん底のバイト生活に戻るも、今年2012年のKOCで野田が「キングオブコメント」を残したことから、現在は2011年を凌ぐテンションだという。角田は鬼ヶ島と同じ事務所なだけに、彼らの浮き沈みも間近で見てきた仲。しかし一緒に旅行に行った話があがると、「角田女伝説」「チーズケーキ事件」など、角田の知られざる驚愕の一面が明らかになってしまった。鬼ヶ島が披露したのは「○○な話」をきっかけに封印した漫才。野田を解放した自由な漫才に会場は封印を納得しつつも爆笑、見事芸人遺産に認定された。

最後に登場したのは「デビュー3カ月で高視聴率番組レギュラー」「森田、モッキー名義で番組アイドル企画」と、明るく爽やかな滑り出しを見せたスパローズ。しかし、「芸の動きというより大和の金の動き」というグラフに沿って、それ以降は「借金で絶好調」「20歳になって借りられるところが増えてさらに有頂天」「首が回らなくなり暗黒の8年間」「その後再び同じ過ちの5年間」「ソロライブ後の奇跡のご祝儀」という大和の歴史をたどった。ネタの話は一切出てこないものの、普段あまり聞くことのない金融の話や限界を迎えた人間の話に観客は爆笑。角田も驚きの連続で、観客の気持ちを代弁するかのようにまっとうな人間としてのツッコミを繰り返していた。破壊力抜群のエピソードの後に披露したのは、「僕らの中では大好きだけどやれなくなった」というネタ。「爆笑オンエアバトル」でオンエアされたことがあるにもかかわらず今後できないその不運なネタも破壊力抜群で、「こんなにウケたことない」とスパローズも驚くほどウケていた。エンディングでは3組が揃って登場。角田は「自信を持ってこれからも精進してください」と芸人遺産認定者たちにエールを送り、最後は帽子を取って深く一礼し去って行った。次回開催は未定。決定次第スラッシュパイルオフィシャルサイトにて発表されるので、今回見逃した人はぜひチェックしてみよう。

※記事初出時、本文に誤記がありました。訂正してお詫びいたします。