どっちかわいい?どっちもKawaii♡
──高嶺のなでしこから涼海すうさんと籾山ひめりさんを迎えたコラボ曲「バチャリアラブ」はどうでしょう?
この曲はとにかく「バーチャルとリアルどっちが好き?」「どっちかわいい?」とずっと主張している曲で。
──まるでKawaii版MCバトルといいますか、ゲストを迎えているのにお互いが「どっちかわいい?」と言い合うのはとてもユニークだと思いました。
(笑)。そのうえで「どっちもKawaii♡」となる曲なので、ライブではみんなにも「どっちもKawaii♡!!」って言ってほしいです。2人ともとてもかわいい声で、私はどちらかというと強い歌が特徴的なので、最初は「私の声に合うかな?」と心配だったんですけど、いい形になってよかったです。私が最初にレコーディングして、その音源を2人にお渡しする形だったので、まずは自分が全力の“かわいい”を出して2人の参考になるようなものにしたいとがんばりました。実は私にとって初めてのフィーチャリング曲だったので、アイドルの人たちと一緒に曲を作るのって楽しいなと思いました。
──意外にも初のフィーチャリング曲なんですね。
そうなんです。(同事務所のAZKiと組んでメジャーデビューした)SorAZはあくまでユニットでフィーチャリングではなかったので。どういう雰囲気になるんだろうと思いつつ、3人の声がぶつからないようにできたらいいなと思っていました。
──3人それぞれのよさが出たらいいな、と。
はい。あと、この曲の「もっと推してほしいの♡」という歌詞も好きです。「もっと私たちのこと推してよ!」という気持ちって、普段は言いづらいじゃないですか(笑)。歌だからこそ全力で言えるよさってあると思いますし、ライブで盛り上がりそうな曲です。
──次の「アマテラテラス」はとても複雑なコードを使っている曲ですね。
「アマテラテラス」は雰囲気がふわっとしていて、かわいい曲でもありますけど、メロディだけを聴くとすごく不思議な曲で。最初は難しすぎて歌えるかなと不安だったんですけど、実際にレコーディングしてみたら、どの曲よりも気持ちよく歌えました。鼻歌で歌いたくなるというか、ドライブで聴きたくなるような曲だなと思いました。あと、この曲もそうですけど、今回のアルバムには8周年を意識したいろんな“8”を隠しているんです。「アマテラテラス」には「8分前」という歌詞が出てきますし、「∞超スーパー無限インフィニティ∞」もタイトルの「∞」を縦にしたら“8”になる。「アマテラテラス」のレコーディングでは、いつも通り普通に歌っていたら「そんなに力を入れないで歌ってほしい」とスタッフさんに言われて、新しく“優しい歌い方”も学べました。
これまでの私とこれからの私の境目になるような作品
──「Dancing Reed」についてはどうでしょう?
この曲はテレビドラマ「グラぱらっ!」の主題歌です。いつもの自分だったら歌わないような歌詞も入っているので、新しい挑戦になりました。あと、アルバムの中でもキーが低めに設定されていて、これ以上高くするとドラマの曲としてのイメージが変わってしまうかもしれないので、あえて高音を抑えて歌った曲でもあります。
──ハイトーンが得意なそらさんが、高音を使わないようにこだわった曲なんですね。
一度「上げてほしい」とスタッフさんに言ってはみたんですけど、そこはやっぱりドラマの世界観が大事なので。大人っぽさとか、ドラマのイメージを大事にしつつ、そのうえで自分らしさみたいなものを出すにはどうすればいいか、ということに挑戦しました。
──7周年に際してリリースされた「ラッキーセブンホイッスル」も収録されていますね。
8周年記念のアルバムですけど、7周年の曲が入ってきています(笑)。最初は違和感があって、「どの順番で入れたらいいんだろう?」と思ったんですけど、実際に収録してみると、前のアルバムからの3年間の中で、今より少し前の私も入っていることになるというか。この曲があることで、この3年の中でのいろんな私を見てもらえるような作品になったような気がします。
──冒頭でも少しお話しいただいた、初のアニメタイアップ曲「おかえりなさい」についても話を聞かせてください。
「おかえりなさい」は“今まで”の要素よりも“これから”の要素がすごく強い曲だと思います。今回のアルバムは、これまでの私とこれからの私の境目になるような作品になるのかな、と思っていて。そういう意味でも、この曲はアニメのタイアップ曲としてそれまでとは歌い方を変えていて、新しいチャレンジに踏み出した最初の曲でした。そんなイメージがあるので、8周年の「新しいことをしたい」というテーマにも合うと思いました。
──初回限定盤には過去曲のリミックスが8曲収録されたDISC 2が付属します。原曲から大胆に変わっている曲が多くてとても面白いですね。
最初にリミックスの話を聞いたときは「アップテンポの曲が選ばれるんだろうな」と思っていたんですけど、実は選曲がそうでもなかったりしてすごく面白かったです。このリミックスを入れようという方向性は、7周年のライブ以降続いている「ダンスミュージックに力を入れていこう」という自分のモードにも合っていると思うので、クラブとかで流れたときにはぜひみんなで踊ってほしいです。
──アルバムタイトル「Pulse」の由来も教えてください。
「Pulse」という言葉には「脈」や「鼓動」という意味があって、アップテンポで躍動感のある曲を多く収録した今回のアルバムにぴったりだと思って選びました。しかも、蜂が8の字になって蜜を探す行動のことを「pulse」と呼ぶらしくて、ここでも“8”にちなんでいるんですよ! これまでのアルバムは全体を通して統一感が強い作品が多かったと思うんですけど、今作はそれぞれの楽曲に方向性が違う面白さがあって。でも通して聴いたときにはちゃんと統一感を感じられる作品になっている。10周年が見えてきたタイミングで、アイドルとしてのかわいさだけじゃない、いろんな私を見せることにチャレンジできたと思っています。
──確かにそろそろ活動10周年が見えてきているんですね。
「あと2年経ったら活動期間が2桁になるんだ……!」と思うと感慨深いです。もともとはこんなに長く活動を続けるとは思っていなかったですし、一方で、「8年って意外と短いんだな」とも感じたりして、不思議な気持ちです。ずっと地続きで何かに挑戦してきたからなのか、「いつの間にか8周年を迎えられた」という感覚で。それはやっぱり、そらともさんたちと一緒にいろんなことをするのが楽しかったからなんだと思います。もちろん、時には続けることの難しさを感じることもあるんですけど、私の場合は「大変」とか「難しい」より、「やっぱり楽しいな」という気持ちが先行していて。その気持ちだけで進んできたのかなと思いますね。楽しいことをしているときって、すぐに時間が過ぎるから、私にとってはそんな8年間だったのかな。
──以前のインタビューで、制作チームやスタッフの皆さんがそらさんの意見を取り入れてくれるという話をお聞きしたのですが、そらさん自身、自分の色を出していけるようになった楽しさを感じていますか?
プレッシャー半分、うれしい気持ち半分という感じです(笑)。というのも、自分の色を出すということは、失敗したら自分の責任でもあるということなので。でも自分の色を出せること自体はとてもうれしいですし、だからこそ自分のカラーに合った中で、やりたいことを言葉にしていきたいと思っています。
──10月にはライブ公演「ときのそら 8th Anniversary Party『Starry Bl∞min'』」が開催されます。このライブではどんなことを楽しみにしていますか?
2日間の公演で、ダンスをする曲もたくさん用意しています。みんなにも汗ダラダラになって一緒に踊ってもらいたいので、準備をがんばっています! ぜひ踊りに来てください!
公演情報
ときのそら 8th Anniversary Party「Starry Bl∞min'」
- 2025年10月1日(水)神奈川県 CLUB CITTA'
- 2025年10月2日(木)神奈川県 CLUB CITTA'
プロフィール
ときのそら
5月15日生まれのVtuber。2017年9月よりYouTubeチャンネルでのライブ配信や動画投稿を中心に、親友兼裏方担当の友人A(えーちゃん)や、くまのぬいぐるみ・あん肝と活動している。2019年3月にビクターエンタテインメントよりアルバム「Dreaming!」でメジャーデビュー。活動5周年を迎えた2022年9月に4thアルバム「Sign」をリリースした。2025年9月に「Pulse」を発表。10月に活動8周年を記念したワンマンライブを開催する。