今からでも追える「Re:Born」特集|K-POP“中小ドル”に光を当てるサバ番をやる意義とは?制作スタッフに聞く (2/2)

「Re:Born」メイン構成作家 クォン・ジャンディ氏 インタビュー
「Re:Born」メイン構成作家 クォン・ジャンディ氏

「Re:Born」メイン構成作家 クォン・ジャンディ氏

──「Re:Born」という企画を初めて聞いたときの印象、そして、オファーを快諾した理由を教えてください。

韓国のサバイバル番組において、作家の役割は、出演者とともに時間を過ごし、ときには対話を重ねながら、彼らが持つ才能や魅力を最大限に引き出す要素を見つけ出すことです。そのために、私たちは多くの楽曲やパフォーマンスの参考資料を探し、最高の結果を生み出すために努力します。番組のAからZに至るまでの隅々に作家が関与し、まるで出演者と一緒にサバイバルに挑むかのように全エネルギーを注ぎます。ともに泣き、笑い、喜び、ときには挫折し、こうした感情を共有するのです。サバイバル番組は、身体的にも精神的にも非常にハードであるため、決して“気軽にできる”ものではなく、難度が高いプログラムです。最初にオファーを受けたときは「サバイバル」ということもあり悩みましたが、企画内容を詳しく確認し、「Re:Born」に挑戦することを決意しました。なぜなら、この番組が私たちの日常生活とも非常に似ていると感じたからです。私たちも、日々生きる中でさまざまな挑戦を経験し、成功や失敗を繰り返します。誰かに助けてもらいたいと切実に願うこともあれば、誰かが応援してくれるだけで再び立ち上がる力を得ることもあります。誰しも失敗や挫折を経験しますが、救いの手が差し伸べられれば、何度でも立ち上がることができる。その勇気を、この番組を通して共有したかった。「Re:Born」に参加するチームは、アイドルとして危機感を感じているチームでもありますが、それと同時に私たち自身の姿とも重なってるのです。

──「Re:Born」にはデビューしたばかりのグループから長いキャリアを持つグループまで多様な参加者が集まっています。異なるキャリアやバックグラウンドを持つメンバーたちと一緒にステージを作っていく際に、特に意識していることは?

コロナ禍にデビューし、ポテンシャルを示す機会が少なかったグループ、契約期間があまり残されていないグループなど、「Re:Born」の参加者たちは、それぞれ異なるバックグラウンドを持っています。しかし、そんな彼らに共通しているのは「切実さ」です。だからこそ、1位を目指すだけでなく、できるだけ多くのチームが多くの人々から愛されることを目標としています。サバイバル番組というと、通常は1位だけが記憶され、ほかのチームはイメージだけが消費されがちです。しかし、私たちはすべてのチームの魅力を最大限に引き出し、できるだけ多くのグループが多くの人々に知ってもらうことを目標に日々努力して番組を作っています。2ndステージで、12のグループから一気に5グループまでに絞られたことに対して疑問を持つ方もいらっしゃいますが、私たちは、「12チームの中で1位だけが記憶される」ことよりも、「できるだけ多くのチームが愛される」ことが理想です。

──参加者たちと時間を過ごす中で、ご自身の心境や、参加者に対する印象に変化があればお聞かせください。

当初は「誰が1位になるのだろう?」という気持ちで見ていましたが、今では「みんなが1位になってほしい」と思うほど、どのグループも素晴らしく、魅力にあふれています。すっかり彼らの虜になってしまいました。AIMERSは、最初は少し高慢に見えましたが、実際は情熱にあふれていて、DXMONは最初は恥ずかしそうに笑っていたものの、今ではおしゃべり好きな一面を見せてくれます。DKBとE'LASTは、パフォーマンス以外にも多くの才能を持っていて、とても面白いチームです。EASTSHINEは、まるで生まれたてのひよこのような初々しさがあり、彼らの未来がとても楽しみです。「Re:Born」に参加したチームは、切実な思いや素晴らしいパフォーマンス力だけでなく、多彩な魅力を持ち合わせていることをお伝えしたいです。

──2nd stageで課題曲となった5つのJ-POP楽曲について、それぞれの印象や選曲の意図を教えて下さい。

SPYAIR「サムライハート」はアニメ主題歌として韓国でも有名な曲ですが、バンドサウンドが与えるパワフルさがカッコいいと思いましたし、この曲をグループのパフォーマンスに昇華したらどうなるのか、大いに期待していました。YOASOBI「アイドル」も有名なアニメ主題歌ですが、韓国でもTikTokなどでダンスチャレンジがブームになるほど、キャッチーなポイントダンスが特徴です。女性ではなく、男性がこのかわいい曲を上手に歌いこなせれば、より大きな話題を集めたり、新たなファンを引き込めたりするのではないかと思いました。「Masterplan」を歌うBE:FIRSTは韓国のアイドルファンの間でも名の知れた存在です。オーディションを通じて作られたグループである彼らの曲をカバーすることにも意義を感じました。「Masterplan」は一見シンプルに見えますが、パフォーマンスの難易度が非常に高い楽曲。ハードである分、自分たちのパフォーマンスとして昇華できれば素敵なステージになるという期待感がありました。音田雅則「fake face dance music」の印象は「非常に中毒性が強い曲」。清涼感とセクシーさの両方が感じ取れる曲ですよね。密かに「この曲はぜひEASTSHINEに選んでほしい」と思っていたら、実際に彼らがこの曲を選んだのでとても驚きました。そしてI Don't Like Mondays.「Sin City」はこの番組を通じて初めて知った曲なのですが、聴いていて心地よく、ずっと耳に残る楽曲なので、カバーステージもたくさん再生されるのではないかと思います。テンポも速すぎず遅くもないので、ファンの方々も一番リラックスして見られるのではないでしょうか。ちなみに、個人的には「Sin City」が一番私好みの曲でした!

──参加グループの面々とコミュニケーションをしていく中で、特に印象に残っている言葉やエピソードはありますか?

韓国でデビューした日本人であるDKBのYUKU、DXMONのSEITAの話が印象に残っています。K-POPアイドルを夢見て単身で韓国に渡り、言葉の壁を崩すまでに多くの努力と難しさは言葉で説明しなくてもわかると思います。2人とも、韓国での活動に馴染めるように助けてくれたメンバーたちに感謝の気持ちを表していること、そして、日本デビューをすることができたなら、今度は彼ら自身が、メンバーが日本活動に馴染めるように助けてあげたいと話していること、そして、「Re:Born」で優勝して日本デビューをすることができたら家族全員をライブに招待してパフォーマンスする姿を見せたいという夢を持っている点が共通していました。DKBは、2ndステージで1位を獲得したため、ベネフィットとして彼らの映像が日本の街頭ビジョンに映し出されることになります。YUKUの家族が、これを非常に楽しみにしているという話を聞き、私自身もまたワクワクしてしまいました。「Re:Born」の参加者の中では最年少の15歳であるPHOENIX(EASTSHINE)は、タイから単身渡韓し、毎晩、母親とのテレビ電話で1日を締めくくるそうです。夢を叶えるべく挑戦することを選んだ彼の勇気、そしてその夢を応援するために息子を異国へ送り出したご家族の思いを考えると、胸が締め付けられる思いです。

YUKU(DKB)

YUKU(DKB)

SEITA(DXMON)

SEITA(DXMON)

──最後に、視聴者や「Re:Born」に興味を持っている人に向けて、この場を借りて伝えたいメッセージがあればお願いします。

番組に参加しているグループたちは、泥の中にある真珠のように、発掘さえされれば、素晴らしい価値と可能性を示すことができるチームです。「Re:Born」を視聴している多くのファンの方々も、番組を通じてその可能性を感じ取り、応援していただけるとうれしいです。私は自分の人生を変えることはできませんが、誰かの人生を変えることができるなら、これも価値のある人生だと思います。皆さんの応援と激励が「Re:Born」に参加しているグループをさらに輝かせます。そして彼らは、皆さんの愛を原動力に、全身全霊でステージに挑んでいます。彼らの挑戦を、どうか最後まで見届けてください。