音楽ナタリー Power Push - 中嶋ユキノ

浜田省吾が惚れ込んだキャリア13年の“新人” 満を持してメジャーへ

シンガーソングライターの中嶋ユキノが、メジャーデビューアルバム「N.Y.」をリリースした。

2003年に音楽活動を開始し、川嶋あい、水樹奈々、ももいろクローバーZのライブサポートや、華原朋美、久保田利伸、ポルノグラフィティの楽曲へのコーラス参加、さらには中森明菜やAAAへの歌詞提供など、幅広い活動を行ってきた中嶋。一方では、ソロアーティストとしてこれまでに配信シングルや2枚のCDをリリースしてきた実績を持つ。

そんな彼女は昨年、浜田省吾のアルバムにフィーチャリングボーカリストとして起用され、その後に開催されたツアーにもコーラスとして同行。これがきっかけで本作のプロデュースを浜田が手がけることになった。

音楽ナタリーでは、キャリア13年となる“新人”中嶋ユキノにインタビューを実施。メジャーデビューに至るまでの軌跡を振り返ってもらいつつ、浜田省吾との妥協なきやり取りの中で生まれたというアルバムについてじっくりと聞いた。

取材・文 / もりひでゆき

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ハモることが大好きだった

──資料を拝見すると、中嶋さんの音楽活動のキャリアはかなり長いですよね。

中嶋ユキノ

18歳のときに川嶋あいちゃんのコーラスでこの業界に入ったので、もう13年くらいになります。私はもともと、ハモることが大好きだったんですよ。小学生の頃から姉が歌っているところへ勝手にハモるみたいな遊びをよくしていたので。で、音大に通っているときに川嶋あいちゃんが渋谷公会堂でワンマンをすることになって、知り合いに「ハモれるんだったらコーラスやってみない?」って声をかけていただいたのがきっかけでキャリアが始まりましたね。それ以降、さまざまなアーティストの方のライブでバックコーラスをやらせていただいたり、レコーディングに参加したり、歌詞提供をさせていただいたりするようになりました。

──そもそもはシンガーソングライターを志していたんですよね?

はい。歌手になるのは小さい頃からの夢だったんですけど、実際に曲を作り始めたのは高校に入ってからですね。宇多田ヒカルさんがデビューされたときに衝撃を受けて、自分も曲を作ってみたいと思うようになって。最初に作ったのは「ナチュラル」という曲でした。コードを付けているわけでもなくメロと歌詞だけの曲で、今聴くと恥ずかしい内容なので今後も歌うことはないと思うんですけど(笑)。

──楽器は何かやっていたんですか?

小さい頃に3カ月だけエレクトーンを習っていたんですけど、それ以降は何も習ってないですね。音大に通っていたけど、家からめちゃくちゃ遠かったのであんまり行ってなかったですし(笑)。歌も楽器も曲作りも誰かに習ったものではなく、基本的には全部独学なんです。

──18歳からさまざまな現場でお仕事をしていく中で、音楽的なスキルを磨いていったところがありそうですね。

それが一番大きかったと思います。お仕事を始めるまではバンドをバックに歌ったことがなかったんですけど、コーラスとして参加したライブではすぐ隣でドラムがガンガン鳴っているような状況で歌わないといけないわけで。その中でどう声を出していくかっていうのはすごく勉強になりましたね。あとはコーラスをするためいろんな曲を覚えるうちにコードの理論もわかっていったし、なぜこの曲がたくさんの人に共感されるのかっていうことをものすごく考えるようにもなったんです。そういう部分は今の自分の曲作りにも生きているんじゃないかなって思います。

セルフプロデュースでやり切ってしまった

──コーラスのお仕事と並行して、2005年からはソロとしてワンマンライブも行っています。

オリジナル曲のレパートリーがけっこう溜まっていたのでワンマンライブをするようになったんですけど、当時は大人ぶって歌っている感じもあったし、バラードばかり歌ってきたせいで、それ以外の曲はしっかり歌えていない感じでしたね。初めてのライブの歌はもう聴くに堪えない感じだったと思います(笑)。

──歌に関してもそこからいろいろな変化を遂げてきた感じですか?

そうですね。25歳くらいのときに出会ったプロデューサーの方に、「なんでそんなにモゴモゴ歌ってるんだ。排水溝で歌ってるみたいだ」って言われたことがあって(笑)。それ以降、ちゃんと自分の声を前に出していくためにいろいろ試行錯誤していく中で、今の歌い方を見つけていった感じでしたね。あとは、ライブで弾き語りをするようになったのも大きかったと思います。当時はピアノがまだうまく弾けなかったのでコードを押さえるくらいでしたけど、自分の言葉を自分の声でしっかり伝えるということをそこですごく意識するようになったんです。

──2010年からは配信でのリリースを何度かされて、2012年には初CD作品の「Dear...」も発表されて。シンガーソングライターとしての活動が活発になっていきましたね。

そうですね。自分のCDを出したいとずっと思っていたので、それが実現したことは純粋にうれしかったです。ただ、「Dear...」はそれまでに配信していた曲を集めたアルバムだったので、じゃあ今度はセルフプロデュースで全曲弾き語りの一発録りアルバムを作ろうと思いまして。

──それが2013年リリースのミニアルバム「Starting Over」ですね。

はい。その制作はかなりやりがいがありましたねえ。スタジオを9時間借りて、その中で絶対に仕上げるっていう課題を設けていたので、レコーディングはとにかく集中して。で、制作費のことからCDケースの素材やブックレットの紙質のセレクト、プレスにかかる時間の確認、デザイナーさんとのやり取りに至るまで全部を自分でやったんです。

──楽曲以外の部分に関してもセルフプロデュースしたと。

そうですね。まあ、その時期は所属していた事務所から離れたタイミングでもあったので、自分でやらなきゃ誰がやる?っていう感じだったんですけど(笑)。そのCDは手売りで完売させることができたし、すごくいい経験になりましたね。ただ、そこでやり切ってしまった感じもあったので、次に何をしたらいいかが見えなくなってしまったんですよね。ちょっと迷い始めたというか。

ニューアルバム「N.Y.」2016年8月31日発売 / 3000円 / SME Records / SECL-1973
「哀余る」
収録曲
  1. September Dream
  2. 雨降りフラレ
  3. 斜め45度
  4. そばにいるから
  5. 大好きって言えば良かった
  6. 朝がくれば
  7. 助手席
  8. ALL FOR ONE
  9. 月灯り
  10. 夜はこれから(N.Y.Version)
  11. 時計の針
  12. Starting Over
  13. アイシテルの言葉
ライブ情報

中嶋ユキノ Live “November 2016 in N.Y.”
2016年11月2日(水)東京都 クラブeX
OPEN 18:30 / START 19:00

中嶋ユキノ(ナカジマユキノ)

1984年生まれ、東京都出身のシンガーソングライター。2003年に音楽活動を始め、川嶋あい、水樹奈々、ももいろクローバーZなどのライブや、華原朋美、ポルノグラフィティ、久保田利伸らのレコーディングにコーラスとして参加する。並行して中森明菜、上戸彩、AAAなどへ歌詞を提供するなど作家としても活躍。2011年に「桜ひとひら」を配信リリースし、以降コンスタントに楽曲を配信する。2012年には配信楽曲を集めたアルバム「Dear...」を、2013年にはセルフプロデュースによる弾き語りアルバム「Starting Over」をリリース。2015年に浜田省吾のアルバム「Journey of a Songwriter ~ 旅するソングライター」に収録されている「夜はこれから」にコーラスで参加した縁で、浜田のツアーにも参加。2016年8月に浜田省吾プロデュースによるメジャーデビューアルバム「N.Y.」を発表した。