コミックナタリー Power Push - アミュー「この音とまれ!」

燃やし続ける箏(こと)マンガへの情熱

ジャンプスクエア(集英社)にて連載中のアミュー「この音とまれ!」は、廃部寸前だった箏曲部(そうきょくぶ)を立て直し、全国大会出場を目指す高校生たちの熱い青春の日々を描く群像劇。本日7月4日に発売された単行本12巻で、電子版込みでついに100万部を突破した。

コミックナタリーでは12巻の発売に合わせ、アミューにインタビューを実施。りぼん(集英社)出身のアミューがジャンプスクエアで執筆するに至った経緯や、箏(こと)マンガで連載デビューしたかったという彼女が作品に向ける熱意、こだわりについて聞いた。

取材・文 / 川俣綾加 撮影 / 宮津友徳

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時瀬高校 箏曲部員紹介
「この音とまれ!」第21話より。

久遠愛
(くどおちか)

不良として上級生にすら恐れられているが、実は仲間思いな1年生。

「この音とまれ!」第17話より。

倉田武蔵
(くらたたけぞう)

頼りなさそうに見えるものの、真面目で面倒見のいい箏曲部の部長。

「この音とまれ!」第21話より。

鳳月さとわ
(ほうづきさとわ)

箏の家元・鳳月会の生まれだが、現在は破門されている。天才的な箏の才能を持つ。

「この音とまれ!」第39話より。

足立実康
(あだちさねやす)

愛の中学時代からの友人。通孝、光太とともに周囲から3バカと呼ばれている。

「この音とまれ!」第18話より。

堺通孝
(さかいみちたか)

愛の友人。彼の力になるため箏曲部に入部した。

「この音とまれ!」第20話より。

水原光太
(みずはらこうた)

実康、通孝と同じく愛の友人。リズムを合わせるのが苦手。

「この音とまれ!」第10話より。

来栖妃呂
(くるすひろ)

武蔵の同級生で箏の経験者。入部当初は部を掻き回そうとしていた。

時瀬高校 箏曲部これまでの歩み

廃部寸前の箏曲部に現れたのは……

先輩が全員卒業してしまい、廃部寸前の箏曲部。ただ1人の部員となった武蔵の前に、周囲でも名の通った不良・愛が現れる。

  • 先輩が卒業してしまった箏曲部は、不良たちのたまり場となっていた。
  • 箏曲部2人目の部員として愛が入部する。
  • 亡き祖父への思いを語る愛。

満足いく演奏ができなければ廃部!

愛の入部後、彼の友人3人や天才箏少女・さとわが入部し部として形になった箏曲部だったが、部をよく思わない教頭に「1カ月で全校生徒が満足いく演奏ができなければ廃部」と宣告される。

  • 天才箏少女・さとわが箏曲部に。
  • 愛の友人3人も箏曲部に加入する。
  • 箏曲部をよく思わない教頭は、部の存続を賭けたある提案をする。

新入部員も問題児?

部の存続を懸けた演奏で、見事全校生徒の心を掴んだ愛たち。彼らの活躍を見て新入部員・妃呂が入部する。彼女にはとある目的があるようで……。。

  • 全校生徒での演奏の前に、思いの丈を語る武蔵。
  • 全校生徒の前で堂々と演奏する箏曲部。
  • 新たに箏曲部に入部した妃呂。

そして初めての大会へ

襲いかかるいくつものトラブルや夏合宿を経て、箏曲部は絆を深めるとともにそれぞれが奏者として成長していく。そして現メンバーで初めての大会を迎える。

  • 弱気になった武蔵に、顧問の滝浪は厳しい言葉を投げかける。
  • 夏合宿中、光太は周囲と差が開きはじめたことに焦りを感じる。
  • 現メンバーで初めての大会に挑む箏曲部。

目指すは全国大会!

大会を終えた愛たちは次の目標を全国大会出場に定め、動き出す──。

  • 全国大会出場の厳しさを説く顧問の滝浪。
  • 全国への強い思いを語る愛。
  • 全国大会の予選がいよいよスタートする。

アミュー インタビュー

「これは絶対に売れないね」って編集さんに言われて

──アミューさんは、もともとはりぼんで執筆されていたんですよね。

アミュー

はい。デビュー作も「龍星群」という作品で、これもお箏をテーマにした読み切りでした。その後お箏以外のテーマでも読み切りをいくつか描きましたが、初連載はお箏のマンガでやりたいとずっと思っていて。連載用のネームを作りましたがコンペで落ちてしまい、当時のりぼんの担当編集さんに「箏を題材にするのはうちじゃ厳しい」と宣告されてしまったんです。「マーガレットなら可能性があるかも」と言われ、ネームを練り直してコンペに出したらそこでも落ちて。お箏のネームは一旦やめましょうとなり、別作品のネームをずっと描いていました。でも、それもずっとボツ続きでしたね。

──そこからジャンプスクエアに移るのにはどういった経緯が?

このままじゃダメだと、いろいろな編集部に持ち込んでいたんです。ジャンプスクエア編集部にも電話をかけて、「この音とまれ!」のプロトタイプとなるネームを持って行って。そのとき今の担当編集でもある林(士平)さんに見てもらったんですが、「これは絶対に売れないね、断言できる」と言われてしまい(笑)。

──ばっさり!

いろいろな編集部に持ち込んでいたので、もう何を言われても平常心でしたよ(笑)。お箏に固執過ぎていたというのもありますし、林さんの説明にも納得できたので。ほかの編集部だとネームを見てもらって終わりだったんですが、そのときは「この日までに違う作品のネームを持ってきて」と言っていただいて。そこからスクエア編集部とのやり取りがスタートしました。

──そこから「ミリオンスマイルズ」「5×100」と、2本の読み切りをSQ.19とスクエアで発表していますが、どちらもお箏を題材にしたマンガではないですよね。

「この音とまれ!」カラーカット

それまでお箏のネームを2年くらいこねくり回していて、自分の内側にあるテーマでしかマンガが描けなくなっていたので、まったく違うことをやろうという話になったんです。林さんからも「もっとほかのマンガとか映画にも触れて、1年くらいは勉強しよう」と言われて。りぼんを離れてから2年経っていたので、「ここからあと1年勉強かあ」って思ったりもしたんです。ほかの雑誌でイチからやるなら3年はかかるだろうと覚悟はしていましたが、本当にその通りになりましたね(笑)。

──「ちはやふる」などマイナーな題材で描く文化系のマンガも数多くヒットしていますが、連載準備中はそういった作品に勇気づけられることはありましたか?

それにはけっこう焦ってましたね。三味線ものなんかもあったりしますし、誰かが先にお箏のマンガを描いちゃうかもしれないって(笑)。ほかの方が描いた後に出すと真似っぽく思われちゃうんじゃないかって心配したり。

アミュー「この音とまれ!(12)」 / 2016年7月4日発売 / 集英社
この音とまれ!(12)
473円
Kindle版 / 400円

全国大会神奈川予選。参加する14の高校の内、全国へ進めるのは、たったの1校のみ。絶対に勝つと意気込む愛達だが、姫坂をはじめとする他校の生徒達もそれぞれの思いを胸に、大会に臨んでいるのだった。これまで積み重ねてきたものをぶつけ合う、熱い戦いの幕が開く!!

アミュー

2006年、桜アミュー名義で執筆した「龍星群」が、りぼんオリジナル(集英社)に掲載されデビュー。以降りぼん(集英社)および、同誌の増刊で読み切りを発表。2010年よりペンネームをアミューに改め、ジャンプスクエア(集英社)へと活動の場を移す。ジャンプSQ.19(集英社)で「ミリオンスマイルズ」、ジャンプスクエアで「5×100」を読み切りとして発表した後、2012年よりジャンプスクエアにて「この音とまれ!」を連載中。