ナタリー PowerPush - VANIRU

神出鬼没の独創的ユニットがベールを脱ぐ

LEONEIL(レオニール / Vo)、YUTO(ユート / G)によるユニット、VANIRU(ヴァニル)が1stシングル「Cosmic Night」をリリースする。今年5月、まずはヨーロッパにてライブ活動を開始させた彼らは、ニューウェイブ、ポストパンクからの影響を感じさせる楽曲と官能的なパフォーマンスで現地の音楽ファンを魅了。先に海外で注目を集めた彼らが、このシングル発売をもっていよいよ日本での活動を本格化させる。

今回ナタリーではLEONEILとYUTOにインタビューを実施。まだまだ謎が多い2人に、音楽的ルーツやVANIRU結成、海外でのライブの反響、そして独特な音楽性について話を聞いた。

取材・文 / 西廣智一

「ああ、探してたのはここだな」

──まずはお2人のルーツについて伺いたいと思います。LEONEILさんはいつ頃から意識的に音楽を聴くようになりましたか?

LEONEIL(Vo)

LEONEIL(Vo) いつから意識してというのは覚えてないんですけど、幼いときから家でいろんな音楽が流れてたのは覚えています。あとはデヴィッド・ボウイのDVDとかですね。

──じゃあデヴィッド・ボウイが、最初に好きになったアーティスト?

LEONEIL そうなるんでしょうか。デヴィッド・ボウイは人間かどうかわからない生き物を観てるような、そんな感じでした。

──それは音楽よりも先にビジュアルや存在感に惹かれたということでしょうか?

LEONEIL そうですね。ビジュアルがやっぱり最初に目に入って。

──では音楽的に惹かれたアーティストって、その後誰かいましたか?

LEONEIL あんまり……なんだろう。あんまり誰がとか意識して聴いてないから、わからないですが。でもクラシックはよく聴いてましたね。

──なるほど。YUTOさんはどうですか?

YUTO(G) 「最初に買ったCDはなんですか?」とよく聞かれるんですけど、今までは「あんまり覚えてないですね」って言ったんですが、最近思い出したのが……たぶんなんですけど、「エリザベート」っていうミュージカルのサウンドトラックだったと思うんです。

──そういう、ちょっとクラシカルな音楽が好きだったんですか?

YUTO 僕はけっこうミーハーなんで、ジャンル問わずなんでも聴いてたんです。そんな中、「あ、音楽ってすごくいいな」って意識が変わったのは彼(LEONEIL)と出会ってからです。もしかしたら、それまで本物の音楽に出会ってなかったのかもしれないです。彼と出会って何か変革を迎えたんだと思います。

──それまで音楽活動はしていたんですか?

YUTO 遊び程度ではちょっとやってましたけど、本格的な音楽活動はVANIRUが初めてですね。

──LEONEILさんと出会ったことで、本気になった?

YUTO そうですね。

──LEONEILさんはどうしてボーカリストとして活動するようになったんですか?

LEONEIL 知人にバンドで歌ってみないかと誘われたのが最初でした。といっても、ライブで数回歌っただけですけれど。初めてステージで歌ったときに、気持ちよかったんです。なんか「ああ、探してたのはここだな」って実感できて。そのあとにKENTさん(LILLIES AND REMAINS)に出会って、一緒に曲作りを始めました。

「こんなにミステリアスな人、世の中にいるんだなあ」

──その後2人は出会うわけですが、最初に対面したときのことは覚えてますか?

YUTO(G)

YUTO 2011年だったかな、たまたまレストランで相席になって。そこに偶然共通の知人がいて、紹介してもらったんです。で、「こんにちは」って挨拶して。

──えっ?

YUTO 本当にそういうきっかけでしたね。

──そこで音楽の話はせず?

YUTO いや、してました。でも具体的な話とかは覚えてないんですよ、正直。でも会ったときの空気感は鮮明に覚えているんですけど。

──そこからどういう経緯で、2人で一緒に音楽を作っていこうということになったんですか?

LEONEIL まあ自然にって言ったらおかしいですけど、こういう感じがいいよねとか、そんな話をしてたらいつの間にか一緒にやるようになって。

YUTO そうですね。あんまりその経緯はハッキリとは覚えてなくて(笑)。ただ彼が行く先々に、僕がギターを持って現れたみたいですね。フフフ(笑)。

──「現れたみたいですね」って(笑)。

YUTO 本当にそんな感じで。

LEONEIL よく1人でスタジオに入ろうとすると、いるんですよ。先に(笑)。

YUTO 「おはようございます」みたいな。

──YUTOさんはLEONEILさんに興味があった?

YUTO 興味津々ですよ。彼のデモを聴いたんですけど、初めての感覚を味わったというか。初めて聴く曲なんだけど、どこかすごく懐かしいような雰囲気もあって、それが衝撃的だったんですよ。しかも、その曲を聴かせてくれた彼がこういう雰囲気だから(笑)。「こんなにミステリアスな人、世の中にいるんだなあ」と。

──LEONEILさんのデモを聴いて衝撃を受けて、自分も一緒にやってみたいと思ったと?

YUTO はい。で、自分だったらもっとよくできるっていう思いもあったし。今まで出会ったことのないものに出会って、いろいろと衝動が生まれたんだと思います。

──その結果、どんどんLEONEILさんのいるところに出没したと(笑)。

YUTO 結果としては(笑)。

──LEONEILさんはそのYUTOさんを見てどう思ってました?

LEONEIL ピュアだなと感じました。わりと人といると言葉の裏とかけっこう感じちゃうほうなんですが、彼にはそういうのがないというか、すごくストレートな人だなって思って見てました。

──その時点でLEONEILさんはどういう音楽を作っていたんですか?

LEONEIL わりともう今の原型はできてましたね。

VANIRU(ゔぁにる)
VANIRU

LEONEIL(Vo)、YUTO(G)からなる音楽ユニット。2013年5月からドイツ、オランダ、イギリスなどの音楽フェスに出演し、まずは海外で注目を集める。70~80年代のニューウェイブ、ポストパンクからの影響を感じさせる耽美なサウンドと、LEONEILによるドラマチックかつ哲学的な歌詞が特徴。9月にはマレーシアで行われた「J-Rock no Tamashii」にゲスト出演し、刺激的なライブパフォーマンスで現地のロックファンを魅了した。12月4日に日本での1stシングル「Cosmic Night」をリリース。翌5日にはライブイベント「Tokyo Cosmic Night vol.01」を実施する。