音楽ナタリー Power Push - つばさFly

メンバー自身のクリエイティビティが炸裂する、異色グループの軌跡と未来

5月に1stフルアルバム「BLACK & WHITE」をリリースしたつばさFly。ロックを基軸としたアグレッシブなサウンドとパワフルなパフォーマンスに加え、各メンバーが作詞や振り付けなどで積極的にクリエイティビティを発揮するアーティスト性により、その存在は単なるアイドルグループの次元を超え、大きな注目を浴びている。

そんな彼女たちの魅力を改めて多くの人に知ってもらうため、今回音楽ナタリーでは座談会をセッティング。メンバーである鹿木香里と宮沢野乃香、所属事務所・フォスコの代表取締役でありプロデューサーを務める株本鉄、さらに現在のつばさFly楽曲の要とも言える作曲家・井口イチロウ(SCRAMBLES)の4人に、つばさFlyの過去~現在~未来を語り合ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 塚原孝顕

未来に希望しかないようなグイグイトーク

──つばさFlyは2012年11月に、藤井勇綺さんと相奈まいさんの2人で結成されました。当初は“大田区応援アイドル”という肩書でしたよね。

左から井口イチロウ、株本鉄、鹿木香里、宮沢野乃香。

株本鉄 そうですね。大田区にある平和島のボートレース場に若い人たちにも来てほしいということで、アイドルイベントができないかというお話をレース場側からいただいたんですよ。そこでつばさFlyを結成して、レース場内のスペースで毎月イベントをやってました。工藤静香さんのカバーなんかをやったりして。で、翌年の夏にオーディションをしてメンバーを追加し、そこから活動を本格化させた感じですね。

──香里さんと野乃香さんはそのタイミングで加入したわけですが、オーディションに参加した動機は?

宮沢野乃香 実は、この2人はオーディションを受けずに加入が決まったんですよ。つばさFlyの初期から楽曲提供してくださってるyUsUkeさんが鉄さんに紹介してくださって。

株本 「こんな子がいるんだけど、どう?」って写真を見せられて。香里は即決でしたね。ルックスもよかったし、音楽好きだっていう話だったので。

鹿木香里

鹿木香里 本人が何をするか知らないまま、写真だけで加入が決まったという(笑)。私はその当時違う事務所で女優業をやっていて。だからまったくアイドルをやる気はなかったんですよ。ぶっちゃけ、そもそも興味もなかったし。でも実際に社長に会ったら、未来に希望しかないようなグイグイトークで攻められて(笑)。

──押し切られてしまったと。

鹿木 そうですね。ただ、つばさFlyとしてはロックな曲をやっていきたいんだっていう話だったので、そこは面白そうだなとは思いました。私はロック好きなんで。逆に野乃香はアイドルが元々好きで、自分でもなりたかったんだよね?

宮沢 …………。

井口イチロウ なんか「そうでもない」って顔してるけど(笑)。

宮沢 私は中学くらいからアイドルがホントに好きで、中でもAKB48さんが大好きなんですよ。AKBさんを見るために上京したようなものだし。だから当然、自分がアイドルをやるっていうことには興味があったし、もしそれがダメでも裏方として関わりたいなと思ったんですよね。なので鉄さんを紹介してもらったんですけど。

メンバーと作り手の気持ちがちゃんと合致してる

株本 野乃香は実際に会ってみるとすごくかわいいし、しゃべりも長けてたんですよ。しかも、うちは昔からバンドを育ててきた事務所だからアイドルのことは右も左もわからない状況だったんで、アイドルに詳しい野乃香は戦力になると思ったんです。なのでメンバー兼プレイングマネージャーとして入ってもらうことにして。

宮沢 会って10分くらいで決まったからビックリしましたね。ただ、いざ加入してふたを開けてみれば、私が好きな……いわゆる普通のアイドルじゃないわけですよ、つばさFlyは。アイドルをやるって言ってるのに、結局全部バンドに結び付けるようなこと言ってるじゃん、みたいな(笑)。だから最初は鉄さんと意見が全く合わなくて、「やってけんのか、これ?」みたいな感じだったんですよね。

井口 これじゃまるでロックバンドじゃねえかよ、みたいな。

株本 そうだね(笑)。要は、レーベル的に言うとどうやっても純粋なアイドルはできないなっていう思いが根本にあるんですよ。だから、アーティストとしてどう育てられるかっていうのを目標にしていたところがあって。ただ活動を続けていく中で、野乃香から吸い上げたアイドルの知識をうまく取り入れながら、徐々にいいバランスで動けるようにはなっていったんですけど。バンドサウンドをアイドルとしてちゃんと消化できるようになっていったというか。

宮沢野乃香

宮沢 うん。私はもともとPASSPO☆さんも好きだったから、ロックなサウンドに関しては全然抵抗がなかったんですよ。だからたくさん話し合いをしながら、そのベースは大事にしつつ、アイドルとしての見せ方という部分で自分の知識の中からいろいろ取捨選択できるようになっていって。今ではメンバーと、社長を含めた作り手の気持ちがちゃんと合致してるので、まったくストレスはないですね。

鹿木 みんなでかわいく踊って歌うっていう、アイドルに対しての固定概念が最初は自分の中にあったんですよ。でも、つばさFlyとしてのオリジナル曲がどんどんできていく中で、ほかのアイドルとは違う、自分たちなりのスタイルを確立させていくことにやりがいを感じ始めたところはありましたね。特に2ndシングルの「Unforgettable Days」を出したあたりから、これなら自分たちの色を出せるなって明確に思えるようになりました。

宮沢 そうだね。「Unforgettable Days」の存在は自分たちにとってすごく大きいと思います。

ニューアルバム「BLACK & WHITE」 / 2015年5月2日発売 / MINNA DAISUKI RECORD
初回限定盤 [CD+DVD] / 3500円 / MDR-1012
通常盤 [CD] / 3000円 / MDR-1013
CD収録曲
  1. Sing a Song
  2. Unforgettable Days
  3. BreakThrough
  4. Song for you
  5. Life is Beautiful
  6. ナガレボシ
  7. 君の夢をのせて
  8. まだ好きなんです。
  9. START IN MY DREAM
  10. Loneliness
  11. so 愛してる
  12. BLACK & WHITE
初回限定盤DVD収録内容
  • 2015.2.22.新宿LOFTライブ映像
  • PM宮沢野乃香監修「秘密のDVD vol.18」~“BreakThrough”MUSIC VIDEOメイキング~

つばさFly presents“FLYING FESTIVAL”vol.2

つばさFly presents“FLYING FESTIVAL”vol.2
2015年6月24日(水)
東京都 TSUTAYA O-WEST / O-nest
<出演者>
つばさFly / LUI FRONTiC 赤羽 JAPAN / LoVendoЯ / SAWA / 偶想Drop / 2& / 柳瀬蓉 / Bitter & Sweet / はっちゃけ隊 from PASSPO☆ / Maison book girl / おやすみホログラム / がんばれ!Victory / Chelsy / プティパ / DJギズモ / ユルリラポ / Hauptharmonie / Su凸koD凹koi / リリーローズ / 月と太陽 / アンドクレイジー / 天川宇宙 / and more
つばさFly(ツバサフライ)

つばさFly

藤井勇綺、相奈まい、宮沢野乃香、鹿木香里、神谷彩乃の5人からなるアイドルグループ。2012年11月にBOAT RACE平和島のイベントステージで活動する“大田区応援アイドル”として結成され、2013年9月より現在の体制となる。2014年1月に初の全国流通シングル「START IN MY DREAM / DON'T WORRY BE ALRIGHT」を発売。同年3月には初のワンマンライブを、10月には初の主催イベント「FLYING FESTIVAL」を開催し大成功を収める。2015年5月には1stフルアルバム「BLACK & WHITE」をリリースした。