音楽ナタリー Power Push - 戸松遥
8年間の足あとをファンとつないだ“二面性”ベスト
“しっとり系”の戸松遥もあり得たのか?
──戸松さんの「sunshine」なパブリックイメージって、2ndシングル「motto☆派手にね!」のインパクトも少なからず影響してると思うんですよ。
そうですね。
──もし仮に、1stシングル「naissance」や3rdシングル「産巣日の時」のような「starlight」なイメージがキャリアの初期に定着していたら、パーソナリティ的にもしっとり系の人になっていた可能性も?
ええー! なってたんですかね?
──それこそ月に例えられるような。
どうでしょう。もう昔からおてんばで、しかも、やりすぎる子だったので。
──やりすぎる?
暴れすぎちゃうというか、テンションが上がると何やらかすかわからなくて。なので、デビュー当時からマネージャーさんにも「はしゃぎすぎないで」ってすごいブレーキをかけられ。でも結局、ガマンできずにやりすぎちゃうっていうのが自分なんだなって、だんだん気付き始め。
──(笑)。
たぶん、「starlight」サイドに行こうとしても、どこかで「sunshine」に引き戻されてたんじゃないかって気はします。とはいえ私も人間なので(笑)、「starlight」成分がまったくないわけでないですけど。
昔は自分の気持ちを素直に伝えるのが恥ずかしかった
──では「starlight」サイドにいる戸松さんを、言葉で説明できます?
うーん、まず「sunshine」は、普段人と話してるときや表に出てるときの、ありのままのテンションの自分なんですよ。一方で「starlight」は、1人で家にいるときや、お芝居してる最中に気持ちを揺さぶられたときの自分というか……。ふとしたきっかけで顔を出してくるような、自分のすごく深いところにある真髄みたいなものと向き合ってる感じなんです。なので、それを歌で表現するときは、すごくエネルギーを使いますね。集中しなきゃいけないというか、一度自分の中で気持ちを整理する必要があるので。
──そこにエネルギーを使うということは、その真髄みたいなものと向き合うことに抵抗があるから?
場合によってはありますね。もともと私は照れ屋で人見知りなんですよ。例えば誰かに褒められても素直に「ありがとう」と言えなくて、照れ隠しじゃないけど、すぐ面白いほうに走っちゃったりして(笑)。だから急に「真面目になってごらんよ」って言われると「ちょっと時間ください……」みたいな。
──年齢を重ねたり、キャリアを積んだりして、戸松さんの中で「sunshine」と「starlight」の配分が変化したりは?
ああ。やっぱりこの世界に入る前とか、入って間もない頃は、映画を観て泣いたり、自分の素直な気持ちを人に伝えたりするのが恥ずかしいってずっと思ってたんですよ。本当は映画で感動して泣きたいのに、隣に親がいるから「別に感動してないしー」みたいに強がっちゃったり。
──それはそれでかわいらしいですけどね。
そうやって自分の本心をさらけ出すことができずにいたんですけど、声優も含めて役者という仕事を始めて、いろんな感情をその役を通して吐き出すようになってから、自分自身に対してもだんだん素直になれるようになってきましたね。今だったら映画を観て泣きたかったらわんわん泣くし、心から「ありがとう」も言えるし。
──内面的に成長されたと。
ちょっとだけ(笑)。少なくとも、変に強がったり恥ずかしがったりすることはなくなってきました。
2016年の戸松遥の“夏”ソング
──さて、両アルバムには最後に新曲も1曲ずつ収録されています。まず「sunshine」収録の「BIG WAVE」は、これでもかというくらい夏を感じさせる曲ですね。
はい。ありがたいことに毎年夏に新曲をリリースさせていただいてるんですけど、「2016年の戸松遥の夏ソングはこれだ!」っていう感じで。
──「sunshine」に入っている「渚のSHOOTING STAR」(2010年8月)のようなサーフロック的なコーラスに始まり、スカのビートも織り交ぜつつ、ホーンセクションもひたすらアッパーで。
ホントに底抜けに明るいというか、ギラギラ感は失わず、ポジティブな勢いは過去の夏ソングよりパワーアップさせたい。そんな気持ちで歌わせていただきました。もちろんライブも想定したうえで曲を作っているので、みんなで一緒に盛り上がりたいですね。
──アルバムを通して聴くと、15曲目の「Q&A リサイタル!」で大団円を迎えたかと思いきや……。
まさにもう1つ大きな波がやってくるというか、「もういっちょいくぞ!」みたいな(笑)。ひと足早く夏を感じて、「早く夏が来ないかな」ってワクワクする気持ちになっていただけたらなと。私も四季の中で夏が一番好きなので、夏にこの曲を皆さんの前で歌うのが楽しみです。
次のページ » 戸松遥の過去、現在、未来をつなぐ歌
- ベストアルバム「戸松遥 BEST SELECTION -sunshine-」 / 2016年6月15日発売 / ミュージックレイン
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3500円 / SMCL-430~1
- 通常盤 [CD] 3000円 / SMCL-432
収録曲
- Issai Gassai
- ラブ♡ローラーコースター
- RUN
- 星のステージ
- 渚のSHOOTING STAR
- Counter Attack
- ♪Make Up Sweet Girl☆
- Oh My God♥
- Fan Fun Parade
- Girls,Be Ambitious.
- 明日色ひまわり
- 恋ヲウチヌケ
- motto☆派手にね!
- courage
- Q&A リサイタル!
- BIG WAVE
初回限定盤DVD収録内容
- 「BIG WAVE」Music Clip
- ベストアルバム「戸松遥 BEST SELECTION -starlight-」 / 2016年6月15日発売 / ミュージックレイン
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3500円 / SMCL-433~4
- 通常盤 [CD] 3000円 / SMCL-435
収録曲
- In Our Hands
- Tomorrow
- 産巣日の時
- STAGE
- やさしき日々
- セパレイト・ウェイズ
- マリラレルラ
- こいのうた
- Circle
- 七色みちしるべ
- naissance
- Baby Baby Love
- ドーナツ
- ヒカリギフト
- ユメセカイ
- bookmark
初回限定盤DVD収録内容
- 「bookmark」Music Clip
LAWSON presents 戸松遥 BEST LIVE TOUR 2016~SunQ&ホシセカイ~
- 2016年8月13日(土)
- 東京都 中野サンプラザホール
- 2016年8月14日(日)
- 東京都 中野サンプラザホール
- 2016年9月3日(土)
- 愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2016年9月4日(日)
- 愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2016年9月24日(土)
- 大阪府 オリックス劇場
- <追加公演>
2016年10月1日(土) - 神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
戸松遥(トマツハルカ)
1990年2月4日、愛知県生まれの声優アーティスト。2005年10月に行われた「第1回ミュージックレインスーパー声優オーディション」の合格をきっかけに声優としての活動をスタートし、2007年1月より放送のテレビアニメ「がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」でデビューを果たす。2008年9月にはシングル「naissance」でソロアーティストとしての活動を始め、2009年2月には同じミュージックレインに所属する寿美菜子、高垣彩陽、豊崎愛生とともに声優ユニット・スフィアを結成した。以降はソロとスフィアを並行して精力的に活動し、CDリリースとライブを重ねる。2016年6月には初のベストアルバム「戸松遥 BEST SELECTION -sunshine-」「戸松遥 BEST SELECTION -starlight-」を2枚同時にリリース。8~9月にはベストアルバムを携えてのライブツアー「LAWSON presents 戸松遥 BEST LIVE TOUR 2016~SunQ&ホシセカイ~」を行う。