音楽ナタリー Power Push - NOVELS

チームで生み出す、新たな「BOOK」

2014年2月のアルバム「PROTOCOL」発表後、メンバー2人が脱退したNOVELS。彼らは1年以上の空白期間を経て、2015年にレンタル限定アルバム「RENTAL BOOK」とミニアルバム「KICK BOOK」、そして2016年1月13日に新作「DANCE BOOK」と続々作品を発表している。紆余曲折を経てバンドはどのような変化を遂げたのか? 今回音楽ナタリーでは竹内真央(Vo, G)と楠本正明(G)に新作「DANCE BOOK」の詳細やメンバー脱退直後の状況、サポートメンバーとの活動などについて聞いた。

取材・文 / 高橋拓也 撮影 / 佐藤類

リズム隊のいない再出発

──まず2014年から活動を振り返ってもらいたいと思うのですが、アルバム「PROTOCOL」発売後にリズム隊のメンバー2人が脱退しました。それから2015年のレンタル限定アルバム「RENTAL BOOK」の発表まで1年以上期間が空いていたのですが、バンドはどのような状況でしたか?

NOVELS

竹内真央(Vo, G) ライブはやってなかったね。

楠本正明 (G)  2人が抜けた直後は曲作りメインで活動してました。

竹内 体制を立て直す時間が必要だったので。リズム隊がいないところからライブができる状態までなんとか持っていこうとしてました。

──サポートメンバーはどのようにして見つけたんでしょう?

竹内 地元の知り合いや先輩にサポートに入ってほしいとお願いしました。サポートではあるけど、ある程度固定できるメンバーになったのでそこからライブの用意を進めていって。

楠本 2014年中にライブも再開したから、準備期間はけっこう短かったよね?

竹内 そうそう。それから今の体制になって最初のライブが韓国公演だったんです。そして日本に帰ってきて次はワンマン……ってけっこう過酷なことになっていて(笑)。

──2015年10月にも韓国でライブを行いましたね。

竹内 あっちでの反応が意外とよくてびっくりしたんですよ。1回目の遠征直前に主題歌を担当したアニメ「TIGER & BUNNY」の映画版が韓国でも公開されたんです。それがいいタイミングで重なったのもあったんでしょうね。ただ、2015年のライブは前回の遠征からだいぶ期間が空いたこともあって、正直かなり不安で。でも前回来てくれた人もいたし、お客さんも増えててありがたかったです。

昔の自分が見たら「おい大丈夫か!?」って思いかねない

──「PROTOCOL」までは1990年代のオルタナティブロックを基調としたサウンドデザインでしたが、「RENTAL BOOK」「KICK BOOK」からは打ち込みも積極的に用いていて、大きな変化を感じました。これは意識的に変えようとしたのですか?

竹内真央(Vo, G)

竹内 「KICK BOOK」のときは新しいこともやりたいとは思いつつ、これまでの活動を振り返ってみたいという気持ちもあったんです。それでインディーズ時代に出したアルバム「My Blood Is Your Blood」を聴き直してみたり。なのでまったく新しいものを作るという感覚ではなかったですね。

──そのような中でも「KICK BOOK」に収録された「死神ダンス」や「バタフライエフェクト」といった楽曲では、「DANCE BOOK」につながるようなEDM風のサウンドやラップ調の歌い方が盛り込まれてますね。

竹内 ラップ調の歌い方はシングル「鏡の国の二人」でも試みていて、それをもうちょっと広げてみたのが「バタフライエフェクト」。でも真新しいことをやっている、っていう感覚は「バタフライエフェクト」のときはなかったんです。そこでボーカルをもっとラップ寄りにしてみたのが「DANCE BOOK」の「Mad Hatter」で。あれは自分でもかなり新しいことをしたなって意識するぐらい、これまでのNOVELSの作風と異なる音に仕上げました。昔の自分が聴いたら「おい大丈夫か!?」って思いかねないほど、ラップの要素を盛り込んだんです。

──これまでのNOVELの楽曲を聴いたあとだと、かなり意外なアプローチで。このような楽曲はお好きだったんでしょうか。

竹内 以前からヒップホップの要素が含まれたロックもよく聴いてました。僕はGorillazが大好きで、ああいう気怠い感じのラップをやってみたかったんです。そういった雰囲気はNOVELSにも合いましたね。「Mad Hatter」制作時はBeastie Boysとか、ニュースクール寄りのヒップホップではDe La Soulを参考にしていて。逆にギャングスタものは全然合わなかった(笑)。

ニューアルバム「DANCE BOOK」 / 2016年1月13日発売 / 1944円 / muf ftone / MFTN-0002
ニューアルバム「DANCE BOOK」
収録曲
  1. Goodbye Heartbreaker
  2. Alchemist
  3. ヴァルプルギスの夜
  4. I wanna
  5. Mad Hatter
  6. We are the world's end new order
  7. Remember U
  8. Player Player
NOVELS「DANCE BOOK」Release ONE-MAN TOUR 2016
  • 2016年2月20日(土)大阪府 CLAPPER
  • 2016年3月4日(金)東京都 TSUTAYA O-Crest
  • 2016年3月19日(土)愛知県 池下CLUB UPSET

<出演者>
NOVELS
※各会場ゲストの出演あり。

NOVELS(ノベルズ)
NOVELS

竹内真央(Vo, G)、楠本正明(G)が中心となって活動を行うロックバンド。2007年10月に結成され、インディーズでシングル「鏡の国の二人e.p.」「Wiz e.p.」、アルバム「From the bad lands for Mrs. Witherspoon」「My blood is Your blood.」をリリース。歌詞の深遠な世界観と確かな演奏力で徐々に人気を博す。2011年8月にテレビアニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマ曲「ミッシングリンク」にてトイズファクトリー / muff toneよりメジャーデビュー。同年10月にアルバム「cardioid」、2012年9月に映画「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」のオープニングテーマとして書き下ろした「アースダイバー」をシングルとしてリリースした。2014年2月にはメジャー2作目のアルバム「PROTOCOL」を発表するが、山田裕起(B)、吉田翔人(Dr)の2名が脱退。その後サポートメンバーを迎える形で活動を継続し、2015年5月にレンタル限定アルバム「RENTAL BOOK」、6月にミニアルバム「KICK BOOK」を発売。2016年1月13日には「BOOK」シリーズ3作目となるミニアルバム「DANCE BOOK」を発表した。