ナタリー PowerPush - NESS×三柴理

異色の同時リリース記念座談会

ビートサーファーズが運営する2レーベルから、NESSの2ndアルバム「NESS 2」と、ピアニスト三柴理による筋肉少女帯のピアノカバーアルバム「Pianism of King-Show」の2枚が同時にリリースされた。音楽的には大きく異なる2作品だが、ナタリーではNESSの4人と三柴に同時取材を敢行。気心知れた5人によるゆるやかな雑談の中に、音楽に対する真摯な姿勢が垣間見える貴重な座談会となった。

取材・文 / 臼杵成晃、成松哲 撮影 / 佐藤類

 
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「三柴参上」

──それにしてもすごい顔ぶれですよね(笑)。バンドブーム、インディーズブームの時代に中高生だった僕のような世代にとっては夢のような。戸田さん、河塚さんはほかの3人より下の世代ですが、普段から交流はあるんですか?

左から三柴理、三浦俊一(G / NESS)、内田雄一郎(B / NESS)、戸田宏武(Syn / NESS)、河塚篤史(Dr / NESS)

三浦俊一(G / NESS) 戸田と内田は普段からつながってるよね。ドラクエ経由で。

──なるほど(笑)。レコーディングデータのやりとりもネット経由なんですよね。

三浦 ネット経由。でも急ぎで戸田と内田を捕まえたいときはやはりドラクエ経由で(笑)。ログインすればほぼいるので。

三柴理 へえー。ぜんぜんわかんない世界だな。

三浦 まあ普段から集まるような感じじゃないですよ。レコーディングとかライブとか、よそのライブを一緒に観に行ったりするぐらい。

──三柴さんと内田さんなんて、それこそ10代からの付き合いですよね。僕らにとってはレジェンド揃い踏みなんですけど(笑)、10代からの友人関係が続いていて、さっき雑談していた様子を見るとただの友達同士みたいで。僕らはアーティストとしての活躍を伝説として目撃してきたわけですけど、本人たちにとっては、当時のはぐれ者同士で集まっていた感覚と変わらないままなのかなと。

内田雄一郎(B / NESS) とは言ってもずっと一緒だったわけでもなく、たまに会ったら遊んでっていう感じでしたからね。最近また密接になってみると「あ、ぜんぜん変わってねえや」とは思いますけどね。

三柴 頻繁に会ってない頃もね、近所の飲み屋に内田の車が停まってると「三柴参上」って書いた紙をワイパーに挟んだり。

内田 「あ、いた」って。それで電話をかけるでもなく。

──お互い確認するだけ(笑)。今こうして一緒にいると、ときおりタイムスリップしたような不思議な感覚に陥るんじゃないかなって。

三浦 でもね、そのタイムスリップ的な不思議な感覚って5分と持たないんですよ。一緒にいなかった時間が瞬時に埋まる。仲が悪い人だと大変ですよ。やっぱり5分も経たないうちにまたモメだすから(笑)。

何枚か作らないと信用されない

──いろんな時代を経て、こうして2枚のアルバムが同時発売されるというめぐり合わせもあるんだなあと。それぞれ毛色の違う作品ですので1作ずつ話をお聞きしたいのですが、まずはNESSから。NESSはメンバー個々の活動もあるので、正直に言うと2ndアルバムが出るということに少し驚いたんですよ(笑)。

三浦俊一(G / NESS)

三浦 ええ、ええ(笑)。でもそれは最初に決めたんですよ。「何枚か作らないとお客さんに信用されないよね」っていう話をして。確か戸田が言ったんじゃないかな。

戸田宏武(Syn / NESS) お、僕がそんな立派なことを。……言いました、言いました。

──覚えてないですね(笑)。

河塚篤史(Dr / NESS) それもそうだよなって。傍目には単発のプロジェクト的に見えるだろうし、「1枚アルバムを作ってみました」で終わらずに何枚か作ろうって話をしたことは覚えてます。

──なんというか、そこまで建設的な考えを持ったバンドだとは思っていなかったというのが失礼ながら正直なところで(笑)。

内田 「俺たちNESS、これからやっていきますんでヨロシク」って人たちじゃないってことですね?

河塚 確かに。それに何枚か作ると決めたとは言っても、1枚目を作ったときに次のステップまで考えたりということはまったくなかったですからね。

三浦 わかりやすいリーダー的な存在がいたらまた違ってたのかなとは思いますね。スケジュール管理とかは一応僕がやるんですけど(笑)、音楽的なリーダーではないから。

──前回のインタビューでは、戸田さんが「NESSの象徴」だとおっしゃってましたよね。あくまでバンド自体をアイデンティファイするフロントマンや司令塔ではなく。

三浦 それは変わってないですね、象徴戸田制。かと言って戸田が「おい三浦、こんなの作っとけよ」って言い出したら変わってくるかもしれないけど、歳の差的にそれはおそらくないですから(笑)。

ニューアルバム「Pianism of King-Show」/ 2013年5月22日発売 / 2520円 / CITRON RECORDINGS / DDCH-2336
通常盤[DVD] / 5250円 / UPBP-1002
収録曲
  1. 孤島の鬼(作曲:内田雄一郎)
  2. 福耳の子供(作曲:内田雄一郎)
  3. オレンジ・エビス(作曲:鈴木直人)
  4. ペテン師、新月の夜に死す!(作曲:三柴江戸蔵、内田雄一郎)
  5. 夜歩く(作曲:三柴江戸蔵)
  6. Guru(作曲:大槻ケンヂ)
NESS(ねす)
NESS

三浦俊一(G / ケラ&ザ・シンセサイザーズ)と戸田宏武(Syn / FLOPPY)が2011年4月に行ったセッションを母体に、内田雄一郎(B / 筋肉少女帯)と河塚篤史(Dr)を加えた4人編成で結成。同年6月よりライブ活動をスタートさせ、11月には1stアルバム「NESS」を発表した。2013年5月22日におよそ1年半ぶりとなる2ndアルバム「NESS 2」をリリース。

三柴理(みしばさとし)
三柴理

1965年東京生まれ。4歳からピアノを、9歳から作曲を学び、安川豊子、柏木由紀各氏に師事する。国立音楽大学在学中の1983年にインディーズバンド・新東京正義乃士を結成。その後1988年に筋肉少女帯のピアニスト、三柴江戸蔵としてメジャーデビューを果たした。筋肉少女帯脱退後はソロ活動と並行してさまざまなアーティストのサウンドプロデュースを行い、くるり、Acid Black Cherry、そして復活した筋肉少女帯のレコーディングやライブに参加。また大槻ケンヂらと結成したバンド・特撮のピアニストとしても活躍している。佐々木TABO貴(ex. 有頂天)、Claraとのユニット・THE金鶴では多くの映像音楽を手がけ、2009年には結成25周年を記念したアルバム「THE金鶴」をリリース。三柴理名義のソロアルバムとしては「Pianism」「Pianism II」、カバーアルバムとしては、QUEENの名曲をピアノソロにアレンジした「FREDDIE MERCURY TRIBUTE ~LOVE OF MY LIFE」などがある。