4月13日にフジテレビ系「ノイタミナ」枠にてテレビアニメ「冴えない彼女の育てかた♭」の放送がスタートした。

2015年に放送された「冴えない彼女の育てかた」の続編となる今回の作品では、オープニングテーマを第1期に続き春奈るなが、エンディングテーマを妄想キャリブレーションが担当。春奈はさわやかなメロディが印象的な「ステラブリーズ」を、妄キャリは第1期のエンディングテーマを担当していた沢井美空と共同作詞した「桜色ダイアリー」をこのアニメのために提供した。

アニメの放送スタートを記念して、音楽ナタリーでは妄キャリ、春奈、沢井の3組が集う女子会をセッティング。テーマ曲についてや趣味のアニメの話、さらには自身の“冴えない”エピソードまで、和やかな雰囲気の中で語り尽くしてもらった。

取材・文 / 土屋恵介　撮影 / 荒金大介

ヒロインになりたい

──今回は、アニメ「冴えない彼女の育てかた♭」の楽曲に携わる3組の皆さんに集まっていただきました。まずはエンディングテーマとなった妄キャリの新曲「桜色ダイアリー」についてですが、この曲は妄キャリメンバーと沢井美空さんが作詞を担当しています。制作はどのように進めたんですか？

沢井美空　私は「冴えカノ」の1期のエンディングテーマ「カラフル。」を歌わせてもらったんですが、今回曲を作るときに、どういう歌詞にしたいかメンバーさんと打ち合わせをさせてもらったんです。そこではアニメの好きな場面のことや「こういう言葉を入れたいですね」っていうようなお話をしたんですよ。で、私はその話し合いの中で、アニメと妄キャリさんの共通点を探していたんです。

妄キャリ　そうだったんですか！

沢井　はい。そうして、2組に共通しているのって「ヒロインになりたい」ってところなのかな？と思ったんです。「冴えカノ」だったら、主人公の（加藤）恵ちゃんはもちろん、ほかの女の子もみんなそれぞれの思いがある。妄キャリの皆さんも「ヒロインになりたい、一番になりたい」って思いはたぶんあると思うから、そこを広げていけたらと思いました。女子的には「ヒロインになりたい」とか言うのって勇気が要るじゃないですか？

妄キャリ　はい。

沢井　そういう勇気を恵にくれるのが、アニメだと（安芸）倫也だったり、同人ゲームを作るサークルの仲間。妄キャリで言えば、メンバーだったりファンだったりするのかなって。そう感じて書いていったんです。あとはメンバーの皆さんから歌詞の案をいただいたので、そこから言葉を抜粋しながら作っていきました。

胡桃沢まひる　私たち、（水城）夢子以外は秋葉原出身のオタクなんですよ。なので歌詞はゲーム要素たっぷりの言葉とか、オタク感が多いように書いていったんです。

桜野羽咲　「冴えカノ」ファンの方はまだ妄キャリのことを知らないと思うので、せっかく妄キャリが作詞もやらせてもらえるなら私たちにしかできないことをしたくて。オタク寄りな、「皆さんと同志だぞ」ってところを出したんです（笑）。あと、キャラクターたちが成長していく姿に「自分たちも成長していきたい」って思いを重ねながらキーワード出しをしました。

星野にぁ　そんな私たちが出したキーワードを、沢井さんがめちゃめちゃかわいくまとめてくださって。

沢井　いやいやとんでもないです。やっぱりオタクの人は、好きな作品やアーティストとかに出会って前向きになれたり、それこそ「ヒロインになりたい」って強さを持てたりすると思うんです。逆にアニメを知らない人にも、自分にとって大切な存在との奇跡の出会いで毎日が変わるよって置き換えて聴いていただけるかなと思いながら歌詞を仕上げました。

一同　おおー！（拍手）

原色をパステルに

──こういったコラボレーションには、面白さもあったのでは？

沢井　私は新鮮でした。同世代の方たちと意見を出し合うっていうのが面白くて。

胡桃沢　私たちも新鮮でした。あと私、沢井さんが最初に同い年だと聞いて驚きました。すごくしっかりされてるし、もっとお姉さんかと思ってたんですよ。

──そうだったんですね。ちなみにこの曲、歌詞とメロディはどちらが先にあったんですか？

沢井　曲が先にあったんです。すごくいいメロディで強さを感じたんです。なので、言葉を乗せるときには、例えて言うなら“原色をパステルにする”っていうようなイメージがありました。私の中でアニメのイメージが淡い色だったので、そうできるようにお手伝いができればと思いました。

雨宮伊織　歌詞が乗ってデモの曲の雰囲気がガラッと変わったよね。すごかった。

星野　そうそう。最初のデモはちょっと強気な感じの女の子って感じだったけど、沢井さんのおかげで180°イメージが変わりました。ぴったりハマったなって。

桜野　前のシングル「激ヤバ∞ボッカーン!!」のカップリング「back stage」では私たちだけで歌詞を書かせてもらって、改めて作詞の大変さや難しさを知ったんですけど、沢井さんの言葉のチョイスとか、すごい素敵だな、女の子だなって。想像を越える歌詞でした。

胡桃沢　女の子のかわいい気持ちを、言葉にするのがホントにすごいなって。

沢井　いやいや、とんでもないです。

水城夢子　聴いてる側が女の子だとしてもすごくつかまれる歌詞で。

沢井　褒められてばかりですね……今日は来てよかったです（笑）。

必死に絞り出した「かわいい」

──これだけストレートに女の子っぽい曲を歌う妄キャリも新鮮ですね。

胡桃沢　そうなんです。すごくピュアなかわいらしい曲じゃないですか。今まで妄キャリにはこんな曲なかったんですよ。

桜野　この間まで「誰が来たってマジ容赦しねーぞ」とか歌ってたのにね（笑）。

沢井　私、ワンマンライブを観に行かせてもらったんですけど、皆さんの振り幅にびっくりしました（笑）。

妄キャリ　あはははは！（笑）

胡桃沢　私たち、振り幅のある曲をやることに意味があるなと思ってるんです。でも今回のレコーディングでは「これがエンディングテーマになるんだ、『冴えカノ』の絵と一緒に流れるんだ」と思って緊張しました。かわいい曲なので「かわいくなろう」と思って歌ったら、乙女になれたみたいで楽しかったです（笑）。

桜野　自分たちの「かわいい」を必死に絞り出した気分ですね。「かわいいの出ろ」って（笑）。

胡桃沢　歯磨き粉のチューブの最後みたいな（笑）。

水城　そう？ 私は自然と出せたなあ。

星野　ちょっと、自分だけ逃げる気？（笑）

──あはは（笑）。振り付けはどんなイメージになってるんですか？

胡桃沢　歌詞とリンクする振り付けが多くて、桜の振り付けがあったり、サビの「お願い お願い」ってところはみんなで「お願い」ポーズをしています。ストーリーに沿っているので、動きだけ見ても歌詞がわかるような振りになっています。

水城　アニメに出てきそうな動きとか、ゲームをやってるみたいな動きとかもあるんですよ。

──ちなみに春奈さんは「桜色ダイアリー」を聴いてどんな印象がありますか？

春奈るな　ホントに「冴えカノ」らしさがすごくプッシュされてますね。恵が一生懸命変わろうとするかわいらしさが歌詞からすごく感じられて、キュンキュンしました。

妄キャリ　うれしいです!!