ナタリー PowerPush - knotlamp

試練を乗り越え完成した意欲作次へと向かう“懸け橋”に

アルバム「Dot of the Galaxy」のリリース後、メンバー脱退という大きな試練を乗り越えたknotlampが、およそ1年ぶりの新作「Bridges We've Dreamed」を完成させた。バンドのさらなる飛躍を感じさせるこのミニアルバムについて、フロントマンのKEIT(Vo, G)に話を訊いた。

取材・文 / 遠藤妙子

レコーディングは自分の実力と理想のせめぎ合い

knotlamp

──今夏の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2011」では最終日のWING TENTのトリに登場しましたね。どうでしたか?

すごく感動しました。これまで夏に3回出てるんですけどトリは初めてですし、大トリという大役を任されたってことが、まずうれしかった。その大役を責任持って受けて、期待に応えられるライブをしなきゃいけないという自分達自身との戦いもあったんですけど、しっかり応えたライブがやれたし。

──アンコールにやった「Libra」は、前回のインタビューで「一度ボツにした曲」とおっしゃってましたよね。この曲はknotlampらしい曲で、でもKEITさんは「もっと新しいことを目指そう」とボツにしようとした。そしたらメンバーが「すごくいい曲だからボツにするのはおかしい」って。そういう曲が、こうして育っていくのってうれしいですよね。

ええ。この曲、音楽をやってる人にも気に入ってくれる人が多くて。「気になる曲だ」って。うれしいですよね。

──前作から今作に至るまでの話を訊きたいんですが、まず前作は、納得のいくものにするため発売延期もして、難産で生まれた作品でしたよね。

はい。レコーディングは自分の実力と理想のせめぎ合いみたいな場で、前作では自分の実力は理想にはまだまだ遠いんだなってことがわかった。発売を延期して、あれだけ時間をかけたけどまだまだだって。それは作品が完成してからも思っていて。もちろん「次はもっといいものにしよう」っていう前向きな気持ちですけどね。

──じゃあ、前作のリリースツアーはどういう気持ちで臨んだんでしょう?

未完成とも言える作品だけど、もちろん人に届けられるクオリティにはなってますし、すごく好きな作品なので。お客さんたちも楽しみにしてくれてただろうし、ライブは僕らも素直に楽しむってことがすべてですから。だから、アルバムに対して思うことがあっても、それをツアーで引きずることはなく。不安も全然なくツアーに臨めました。

新しいところへ向かうための重要な“懸け橋”

──今作のための曲作りはいつ頃からスタートしたんですか?

ツアーが終わってからですね。ツアーが終わって次の作品を作るぞって決めて。それから作りました。

──今回作られた新曲は、ツアーを経たバンドのいい状態の中から自然に生まれた感じなんでしょうか。それとも「よし、作るぞ」って気持ちで臨んで作ったものなんでしょうか。

後者ですね。今のこの状態を、今、解き放とうって。だから新しいことをやろうって意識も強かったですね。それはいつもあるんですけど、今回は特に。

──例えば前作で満足しきれなかった部分を克服しようとか、そういう気持ちも?

knotlamp

うーん、それはどうだろう? 確かに前作で満足しきれなかった部分はあるんですけど、それはツアーをやって越えていったというか。やっぱり僕らはライブバンドなので、アルバムって、作品だけではなくツアーを終えて初めて完成するって感覚があるんですよ。ツアーを終えて、やっとひとつの作品になったかなと思うので。だから、新しい作品に向かうときはまた新たな気持ちになってることが多いです。もちろん蓄積されていくものはあるけど、前作を踏まえて作ろうって意識より、新しい気持ちで、ゼロになって作った感覚のほうが強いですね。細かいところでは前作の反省点もありますけど、僕らは常に新しいことをやろうと思ってるので、その新しい部分をもっと出せたら良し、という。そういう大きな視点でのことなんですよね。

──自ずと新しいものへと向かう意識が、今まで以上に強くなって。

そうですね。そこは意識して。よりオリジナリティを持って、より新しいところへ行きたい、そう思って臨みました。でもまだ行ききってはいないんですよ。もっと行けるはずだって思う。この作品はタイトルどおり、“懸け橋”のような作品になったと思うんです。次の、もっと新しいところへ向かうための重要な懸け橋。

ミニアルバム「Bridges We've Dreamed」

  • 2011年9月13日発売 / 1890円(税込) / LD&K Records / R3RCD-106 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. Blaze drops
  2. Holy moments
  3. Oblivion color
  4. New dawn
  5. Siren
  6. Beautiful days
knotlamp(のっとらんぷ)

2007年にLD&K Recordsより1stミニアルバム「Blind Side」をリリース。数多くのロックフェスやライブイベントに出演し、メロディアスな楽曲と強力なライブパフォーマンスで注目を集める。メロディックパンクシーンを牽引する存在としての期待が高まる中、2010年9月7日に2ndフルアルバム「Dot of the Galaxy」を発表。2011年8月の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2011」ではWING TENT最終日のトリを務めた。2011年9月13日にミニアルバム「Bridges We've Dreamed」をリリース。ジャンルの枠に収まらない音楽性を獲得している。