ナタリー PowerPush - ゴーストノート
ロングツアーを経て生まれた珠玉の新作「きもちはつたわる」
ゴーストノートが新作ミニアルバム「きもちはつたわる」をリリース。彼らの新作音源が発表されるのは、2010年9月リリースのシングル「ボクキミビリーバー」以来、実に1年半ぶりとなる。この間彼らはアルバムと同じタイトルの全国ツアー「きもちはつたわるツアー2011」を、全国各地で約150本にわたって開催。バンドの原点であるライブ活動に重点を置き、さまざまな人々との触れ合いを通じてゴーストノートの存在意義を再確認してきた。
今回ナタリーでは、新作リリースを控えたメンバー3人にインタビューを敢行。ロングツアーで彼らが得たもの、それらの経験を反映した待望の新作について、たっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 高橋美穂
今は続けていくことが楽しい
──まず、ニューミニアルバム「きもちはつたわる」のお話の前に、昨年「きもちはつたわるツアー2011」で約150本ものライブを行った経緯から伺えますか?
大平伸正(Vo, G) インディーズの頃は、アルバムをリリースしてはツアーを回るっていうことを繰り返していたんですけど、メジャーデビューをしてからの3年間は、制作のほうが多くて。それで、去年の初めに「これからどうしようか」って考えていたときに、もう1回原点に戻ってライブを多くやろうと決めたんです。そうやって「きもちはつたわる」ツアーが始まったんです。いろんな場所に行っていろんな出会いに恵まれた、自分たちにとって大きい1年でしたね。
──デビューしてからの3年間は、バンド的にはもっとライブをしたくてうずうずしているところはあったんですか?
佐藤慎治(B, Cho) 正直俺は、ライブがしたかったです。3人ともそうだよね?
中村勇介(Dr, Cho) はい。
大平 したかったけど、今はトライをする時期だって決めていたところもあったんです。でも、それが知らないところでフラストレーションになっていたりして、それも踏まえて2011年はああいう形を選んだんですよね。
──メジャーデビューしたときから2011年までで、バンドの目標が変化したところもあったんでしょうか?
佐藤 メジャーデビューもしたし、仕事で応援してくれる人も増えて、それは責任感にもつながって、売れることも目標になっていたんですけど。今、根本に立ち戻って強く思うのは、ゴーストノートを一生続けたいっていうことなんです。メジャーにいることで、安心して挑戦ができたことは良かったと思うんですけどね。売れようと思ったことも悪いことじゃないし。ただ、今はそれ以上に、続けていくことが楽しいと思っているんです。
大平 考え方がシンプルになったんですよね。去年ツアーを回ったことで、音楽と自分たちの距離が近くなったから。今までは「こうすればこうなるのかな?」みたいに、たらればで話を進めていたんですけど、今は、もっといい曲を書きたいし、もっといいライブをしたいし。自分たちにとって音楽イコール人生だから、人生を楽しむのと同じで、音楽をどんだけ楽しんでやれるかを考えていて。それが、今の充実につながっていると思うんです。
みんなもっとライブすればいいのに
──ちなみに、長いツアーは体力的に精神的に過酷ではなかったですか?
大平 全然そんなことなかったんですよ。
中村 楽しい、楽しいの毎日でした(笑)。
佐藤 むしろ毎日ライブでも全然問題ないです! いろんなバンドに「俺らには絶対に無理」とか言われるんですけど、俺らはネジが外れてるのか「何でみんなそう思うんだろう?」っていうくらい(笑)。みんなもっとライブすればいいのに、って。
──3人とも乱れない意見ですね(笑)。
大平 はははは!(笑)そうですね。
佐藤 3人とも酒が好きなのもありますけどね。移動してライブして打ち上げして酒を飲んだときの安心感は半端ないんで。じゃんけんに負けて運転になった時の辛さも半端ないですけど(笑)。それ以外に嫌なことはなくて。お酒を飲む前に「おつかれ!」って言うとき、すごく幸せでした。
大平 いろんなところに行ったんですけど、「その日のライブが終わったときに、死んでもいいって思える1日を積み重ねよう」と思ってやっていたので、たくさんライブやったなっていう感覚よりは、やってたら1年が経っただけっていう感覚のほうが強いんですよね。だから苦じゃなかったし。自分は音楽に救われていると思うんですよ。そんな音楽を聴いてくれてる人が目の前にいてくれて、それだけで幸せだし、そういうのが支えになっていたんだと思います。
LIVE INFORMATION
ゴーストノート ワンマンツアー2012
- 2012年11月3日(土・祝)大阪府 十三Fandango
- 2012年11月4日(日)和歌山県 和歌山CLUB GATE
- 2012年11月10日(土)高知県 高松DIME
- 2012年11月11日(日)広島県 広島ナミキジャンクション
- 2012年11月18日(日)岩手県 盛岡Club Change
- 2012年11月24日(土)愛知県 名古屋HUCK FINN
- 2012年11月25日(日)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2012年12月2日(日)山口県 周南rise
- 2012年12月8日(土)宮城県 仙台RIPPLE
- 2012年12月9日(日)新潟県 新潟GOLDEN PIGS RED
- 2012年12月15日(土)東京都 Shibuya O-Crest
- 2012年12月22日(土)岡山県 岡山PEPPER LAND
ゴーストノート
2003年、岡山県で結成されたロックバンド。2004年より現メンバーの大平伸正(Vo, G)、佐藤慎治(B, Cho)、中村勇介(Dr, Cho)の3人体制となる。2006年12月にインディーズでリリースしたアルバム「初対面」が話題を集め、ライブでの動員人数も上昇。2006年11月にリリースした2ndアルバム「すばらしき世界」の収録曲「スタート」は日本工学院のテレビCMソングに起用され、彼らの知名度を全国区に押し上げた。2006年から2007年にかけては年間100本以上のライブを敢行し、ライブバンドとしても大きく成長する。2008年5月、SME Recordsよりシングル「スタート」でメジャーデビュー。2010年には地元・岡山のJリーグチーム、ファジアーノ岡山のイメージソング「夢」を書き下ろした。2011年はバンド活動の原点回帰を目指して、約150本におよぶロングツアー「きもちはつたわるツアー2011」を開催。2012年4月、約1年半ぶりの新作音源となるミニアルバム「きもちはつたわる」をリリースする。