メジャーデビューして有給が取りやすくなった

──僕は音楽を作る作家として、23歳のときにデビューして。そのときにちょうど僕が手がけた作品が幸いにもヒットしたんです。売れる前までは毎朝自動販売機の下の金を探るみたいな、すごい貧乏生活で。

マイケル　へー！

──ホントにお金なくて、集めたお金でSガストっていう小っちゃいガストに行って納豆定食食う、みたいな。

一同　（笑）。

──僕は今年32歳になるんですけど、10年ぐらい経ってちょっと感慨深い思い出としてそれが残っていて。皆さんも大きなイベントやテレビに出るなど活躍の場が広がっている時期だと思うので、私生活で変わった部分があると思うんですよ。自分の価値観や小さなことでもいいんですけど、そういうものってありますか？

マイケル　僕と鈴鹿はもともと会社員をやってたんですけど、辞めたんですよ。

鈴鹿　僕は高校卒業から今年の4月まで、印刷会社で9年間働いていて。メジャーデビューしたタイミングで「めざましテレビ」で取り上げてもらったときに、それをたまたまけっこうな人数の同僚が観てはって、次の日出社したら「バンドやってんだ？」みたいな。ヒゲ生やしたらダメな会社やったから、ずっとマスクしてたんですけどね。

──それでもバレるんですね。

鈴鹿　「マスクの下どうなってんの？」って言われて。

一同　（笑）。

鈴鹿　でももう「めざましテレビ」で取り上げてもらったから、誰も怒れへんくて。逆に会社の人から「来週土曜日ライブやけど、金曜日この工程やったらしんどない？」って言ってくれたり、気を使って有給を取らせてくれたり……有給がめっちゃ取れるようになって「あ、メジャーデビューしたんやな」って思いましたね。

マイケル　伝わりづらい変化や（笑）。

鈴鹿　でも気を使わせるのもよくないし、迷惑がかかる状態になってきたので思い切って辞めました。

初任給で買ったギター、返してほしい

──米田さんはどうですか？

米田　僕が圧倒的に変わったと思うのは自分の機材ですね。今までは鈴鹿が初任給で買ったギターを借りて、メインでずっと使ってたんです。

──鈴鹿さんの現実的な話、いっぱい出てくる（笑）。

米田　（笑）。僕がバンドに入ってちょっとしてからなので、7年ぐらい借りてましたね。

鈴鹿　いや、7年半や！ 米田、入って半年ぐらいで自分のギター壊したんですよ。

──壊したんですか？（笑）

米田　ライブのパフォーマンスでとかじゃなく、床に置いたときに間違えて踏んじゃって。一番しょうもない壊し方をしたんです。それで次のライブまでに修理する時間がなかったので、鈴鹿のギターを借りたんですよね。そしたら「あれ？ こっちのほうがめっちゃいいやん」と。もともと持ってたギターがGIBSON SGで、ピックアップがハムバッカーやったんです。

──アンガス・ヤング（AC/DCのギタリスト）の？

米田　そうです。鈴鹿が持ってたのはテレキャスターで、そっちのピックアップはシングルコイルなんで全然音が違って。

──「こっちのほうが自分に合うな」みたいな？

米田　「こっちや、こっちや！」と思って。そっからずっと借りてます（笑）。

鈴鹿　何回も返してほしいタイミングはありましたけどね。

──さっきからひしひしと、返してほしかったんだろうなっていうのを感じます（笑）。

鈴鹿　でも赤いテレキャスってけっこう目立つんで、“米田と言えば赤いテレキャス”ぐらいになってしまって。

──あー、もうキャラクターとして定着しちゃったんですね。

鈴鹿　そうです。でも、親から「人に物を貸すときはあげるつもりで貸しや」って言われてたので。

マイケル　独特ですけどね！ その教育も（笑）。

──恩義を売るときは見返りを求めないということですね。

鈴鹿　ええ（笑）。

米田　インディーズ時代のライブではそのギターを持って、足下なんかもホントにエフェクターが2、3個くらいで、もちろんアンプもライブハウスの借り物だったんです。でも今はアンプも買えたし、エフェクターボードも大きくなったし、マイクも自分の物を買って、どんどん装備を増やしていく感じというか。

──強くなっていく感じですね。

米田　はい。メジャーデビューして、ライブでいい環境を作るために躊躇することがなくなりました。