コミックナタリー PowerPush - えすとえむ×オノ・ナツメ
飲んだ喋った描いた4時間半 粋な女友達が酩酊お絵描き対談!
えすとえむ「Golondrina-ゴロンドリーナ」3巻とオノ・ナツメ「ふたがしら」3巻が発売された。 ともに月刊IKKI(小学館)にて連載中で、両者は10年来の友人、しかもともにお酒好きとのこと。コミックナタリーでは同時刊行を祝い、レストランでの対談をセッティングした。
冒頭の動画では、マグナムサイズのシャンパンを含む5本のボトルがつぎつぎ空けられていく様子と、酩酊してからのコラボイラストの打ち合わせ風景を紹介。ついでテキストにて、何かと縁の深いふたりの関係性についてレポートする。
取材・文/淵上龍一 撮影/唐木元
アルコール度数が5%以下は水と同じだから(えすと)
──おふたりとも相当のお酒好きと聞き、マグナムボトルのシャンパンを用意しました。今日は飲み放題です。まずは乾杯しましょう。
えすとえむ ナツメさんとお酒が飲めるぞっていうことで勇んで来ました! かんぱーい!
オノ・ナツメ かんぱーい! えむちゃんと一緒にお酒飲むのは久しぶりで嬉しいなー。IKKI-FESとかパーティでは会ってたけど、プライベートで飲むのは1年ぶりくらいだもんね?
えすと IKKI-FESはビールしかなかったしね。私、アルコール度数が5%以下はお酒としてカウントしないから(笑)。
オノ 私は量を飲むというより長くダラダラと楽しむほうなので、「相当のお酒好き」といっても、酒豪みたいのを期待されるとツラいのだけど。
──きょうはビデオカメラも回してるので、酒量についてはあとでVTRで確認しましょう。ときに、おふたりはいつ頃からの知り合いなんですか?
えすと 私が大学3年のときに、紹介してもらって……。
オノ えむちゃんの通ってた大学の先生の奥さんが私の友達で、関西コミティアの時に紹介してもらって、それで一緒にご飯行こうってなったんだよね。
私、今年でデビュー10周年ですね。いま気がついた(オノ)
えすと ウチに来て、原稿を手伝ってもらったことあったよね。
オノ クリスマスにみんなで一緒にご飯を食べたんです。そしたらえむちゃんのコミケの原稿が間に合わないっていう話になって、それじゃあみんなで泊まりに行って、手伝おうかってノリになって。
えすと 「やろうやろう」って盛り上がって、8畳の部屋に6人くらい詰め込んだ。同人誌の原稿を、当時もうすでにプロで活躍してたナツメさんと、自分の先生に手伝わせて。すいませんだよ、ほんと。
オノ 人の原稿を触ったことがなかったから、いやー、酷いことをしましたよ。消しゴムをかけていたのだけど、あれ墨汁?
えすと うん、墨汁。
オノ 私すぐ乾くインクしか使ったことなかったから、墨が手に付いてるのに気がつかず、他の原稿にぺたぺたぺたぺた……。忙しいときに仕事を増やしまくってしまって。
えすと いやいや、助けられました。だいたい、クリスマスにコミケの原稿が終わってないっていう状況がどうかしてるんだよ。あの頃はよく徹夜で原稿して、朝方にハイテンションになってカップ麺で乾杯、とかやったよね。いかにもマンガ描きの青春って感じ(笑)。
オノ 「not simple」描いてたころだなあ。あれ?「LA QUINTA CAMERA」が2003年発表だから、ということは私、今年でデビュー10周年ですね。いま気がつきました。
えすと わあー、おめでとうございます! もっかい乾杯しましょう!
闘牛士であり続けること。その困難な道。
見習い闘牛士としてデビューを果たしたチカ。しかし、その初戦は惨憺たる結果に。教えられた通りのことをこなしていながら、なぜ精彩を欠いた闘牛士しか出来ないのか……。そんな中、フラメンコを踊る老女の姿に一筋の光を見出したチカは……?
男達の中で一人輝く粋な女・チカ、その苦闘をたっぷりと描いた第3巻!
大坂の夜坂一味に合流した弁蔵と宗次。しかし、まずはその力量を試されることに。不案内な大坂の町をさまよい、なんとかその腕を見せようとするふたりだったが、そこにはとんでもない罠が……?
粋な男ふたり組、その魅力がたっぷり詰まった第3巻!
えすとえむ
2006年、東京漫画社から発売されたBL作品「ショーが跳ねたら逢いましょう」でデビュー。スタイリッシュな画風と情緒豊かな内容で人気を博す。フィー ル・ヤング(祥伝社)にて連載された「うどんの女」が「このマンガすごい!2012」のオンナ編第3位にランクイン。2011年からは月刊IKKI(小学 館)にて闘牛をテーマにした「Golondrina ゴロンドリーナ」を、2012年からはジャンプ改(集英社)にて若き靴職人を描く「IPPO」を連載。BL誌、女性誌のみならず、青年誌にまで活躍の幅を広げている。
オノ・ナツメ
2003年、COMIC SEED!(ぺんぎん書房)にて「LA QUINTA CAMERA」でデビュー。ヨーロッパの雰囲気を上手に切り出した、小粋でアンニュイな人間模様を描き人気を博す。2009年に代表作「リストランテ・パ ラディーゾ」がテレビアニメ化、続いて2010年に「さらい屋五葉」がTVアニメ化される。2011年5月、月刊IKKI(小学館)にて「ふたがしら」を連載開始。そのほかの著書に「つらつらわらじ」「GENTE(ジェンテ)」「逃げる男」「COPPERS」などがある。