「当たり前」のレベルを上げろ
──養成所の教えの中で現在も役立ってることを教えてください。
後藤 授業中に都築とサインを考えていて、今でもそのサインを使ってます。
丸山 授業中にすることじゃないでしょ!
石橋 「チャレスタ」という上位10組くらいが受けられる特別授業は役に立ってます。バラエティ番組での立ち回り方を学べるんです。
丸山 MC役を決めて実際にトークしてみたり。私は下ネタを話して怒られたんですけど(笑)。
都築 「チャレスタ」はいい経験でした。あとダンスの授業はちゃんとやっておくべきだったなと後悔しています。ダンス、演技、発声あたりは軽視しがちだけど、今だったらものすごく必要だなと思います。
石橋 都築はまったく踊れないんです。
後藤 踊りなんていらないだろと思ってたな。実際は踊ること結構ありました。
丸山 あと「『当たり前』のレベルを上げろ」という言葉はすごく響きましたし、今でも思い出します。常に120%くらいの力を出さなくちゃいけないなという姿勢になれました。
都築 1つひとつが教えになって、1つひとつが成長に繋がってます。
後藤 あとは挨拶ですね。大事です。
丸山 ボソボソ言ってたら「え?」って言われます。礼儀作法も何もわからない状態で養成所に入ったので、それも教えてもらったのはかなり大きいです。
──笑いの趣向は養成所に入って変わりましたか?
後藤 絶対に変わっているとは思うんですけど、別に強制されるわけではないです。個々の人間性を尊重して、のびのびやらせてくれました。
丸山 確かに人間性を尊重してくれるのはすごくありがたかったです。まずは自分を知ることから始めようということで年表を書くんです。「あなたのことを骨の髄まで教えてください」って。
──相方は探しやすかったですか?
都築 かなり探しやすいです。相方探しイベントはもちろん、大喜利をやるイベントとかもあって、誰かと出会ったり仲良くなるきっかけの場がたくさん用意されていました。事実、僕らもWCSだから出会えたトリオだと思ってます。
後藤 同い年だし、やってきたスポーツとバイトも同じだし、「歩んできた道のりが一緒じゃん」って思いました。
都築 好きなネタも完コピしていて。やっぱりお笑いの趣味が一緒なのはだいぶ親近感を抱きます。
電車で号泣、後藤と丸山の大ゲンカ
──次に、四千頭身さんと丸山さんがそれぞれどのようにメディアに露出していったのかを振り返っていただければと思います。丸山さんはスクール在籍時に事務所内の賞レース「ワタナベお笑いNo.1決定戦」に“ジャイアントキリング枠”として出場されました。
後藤 それなー! あれはエグかったなあ。
都築 スクール生が対象の予選で、お客さん投票では僕らが1位だったんです。そしたらその倍くらいの審査員評が丸山礼に入って。
後藤 確かに当時から面白かったです。決勝で通用していたのもすごい。僕らだったらすごい空気になってたんじゃないかと思います。翌年も僕らは準決勝敗退で、さらに悔しさが募っていったんですけど、3回目で初めて決勝に出て準優勝できたんです。2年間分の悔しさがあるからこの結果になったんだろうなと思います。
都築 次の年は予選で落ちるんだけどね(笑)。
一同 あははははは!(笑)
──丸山さんはスクール時代に「ワタナベお笑いNo.1決定戦」の決勝にいけたことがかなりいい経験になったのでは?
丸山 「ワタナベお笑いNo.1決定戦」がきっかけで、在学中に「PON!」のレギュラーが決まったんです。事務所への正式な所属が決定するのと同時期くらいかな。
後藤 あれはすごかった。「PON!」レギュラーはお笑いナタリーの記事で知ったからね。
丸山 この人たち(四千頭身)の目は痛かったです(笑)。1回、後藤くんと電車の中でケンカして2人で号泣しましたから。
──それはどういったきっかけで?
丸山 事務所の方との食事会があって、そのときに私の仕事のことがずっと話題の中心だったんです。それが相当悔しかったみたいで、後藤くんに「お前、絶対負けないからな……」って感じで睨まれて。めっちゃ仲がよかっただけにビックリして泣いちゃったんです。そしたら後藤くんも「なんで泣いてるの! うわーん!」って泣き始めた(笑)。
都築 僕もその場にいて、めちゃめちゃ笑いました。「なんでテメーも泣いてんだよ!」と思って。終点の中目黒で降りても、まだ後藤が「ごめんて!」って泣いてました。
後藤 もらい泣きしちゃって……。
都築 ねえんだよ、そのタイプのもらい泣き!
丸山 最後はこっちが「ごめんねー!」ってハグしました。
都築 逆転してんじゃん!(笑)
「声を張れ」と言わない養成所ってすごい
──四千頭身さんもすぐにブレイクしたイメージがありますが、悔しい思いをしてる時代もあったんですね。
後藤 スクールを卒業してから、僕ら以外の露出がすごかったんです。「おもしろ荘」に出た人もいれば、「世界の果てまでイッテQ!」に出た人もいて。卒業してからこんなにすぐテレビの仕事がバンバン決まるのってWCSくらいじゃないですか? でも僕らだけ何もなかったんですよね……。
都築 ライブでは勝てるのにテレビに繋がらないから「テレビってどうやったら出られるの?」ってずっと思ってました。そんな中、年に1回ある大型ライブ「WEL FES(ワタナベお笑いネタ祭り)」に予選で勝って出られることになったんです。そしたら、それを観に来てくれていた関係者の方が「新しい波24」のオーディションに呼んでくれて。
石橋 それで受かって「新しい波24」が初めてのテレビ出演でした。
丸山 私はそのオーディションに落ちちゃったんですけど、四千頭身が受かってすごくうれしかったです。周りがどんどんテレビに露出していく中で煮えたぎってる何かがあったと思うので、放送でハネてるのを見て「よかったー!」って思いました。それまでの四千頭身は同期のテレビ出演が決まると「また!?」ってため息ついてるような感じだったから(笑)。
──WCS出身の芸人さんたちがすぐにメディアに露出できるのはなぜだと思いますか?
後藤 キャラが仕上がってるからだと思います。養成所の時点で「キャラを見せろ」「キャラじゃないボケはするな」ってめちゃめちゃ言われてました。個性を殺さない方針というか。僕がほかの養成所に行っていたら大声を出しまくってるかもしれないんですが、WCSでは「声が小さい」って怒られない。「声を張れ」と言わない養成所ってすごくないですか。
丸山 この人は、声の大きさとは関係ない部分の才能をちゃんと認められてました。
後藤 一言でいうと過保護(笑)。皆さん1人ひとりを大事にしてくれるんです。「声を出せないんだったら……」って代わりにマイクの上手な使い方を教えてくれました。本当にめちゃくちゃいい養成所ですよ。
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