ぷらもでる。が武道館で見た景色 | きつね&水川かたまりが振り返る「有吉の壁 Break Artist Live」

昨年10月「有吉の壁」(日本テレビ系)のリアルイベント「有吉の壁 Break Artist Live'21 BUDOKAN」が東京・日本武道館で開催された。これは番組恒例企画「バズりの壁を越えろ!ブレイクアーティスト選手権」に登場したキャラクターたちが歌やダンスを繰り広げるライブ。今をときめく人気芸人たちが満席の武道館をおおいに沸かせた。

あの熱狂から1年。このたび「Break Artist Live'21」が番組発の映画「カベデミー賞 THE MOVIE」と共にBlu-rayおよびDVDとして同時発売された。お笑いナタリーでは、武道館ライブに出演した3人組ユニット・ぷらもでる。に扮するきつねと空気階段・水川かたまりにインタビューを実施。ユニット誕生の経緯、武道館での思い出、隠された苦労、そして来月10月に神奈川・ぴあアリーナMM公演で開催される2度目の「Break Artist Live」への意気込みを聞いた。

取材・文 / 塚越嵩大撮影(場面写真除く) / TOWA

「ぷらもでる。」とは

ぷらもでる。

ポチ(きつね大津)、アメリカ(空気階段・水川かたまり)、力石(きつね淡路)からなるダンス&ボーカルグループ。普段は夜間警備員、イベントの設営スタッフ、酒屋の店員として働いている3人がステージ上では煌びやかな衣装で歌い踊る。代表曲は「きみdoriキミ」「しょっきんすとっきん」「Runner」。ありのままの自分でいることの大切さを伝える歌詞やキラキラとしたエレクトロサウンドが特徴だ。

きつね&空気階段・水川かたまり
インタビュー

無意識に言っちゃった「いくよ武道館!」

──ぷらもでる。はそもそもどのように誕生したのでしょうか?

きつね大津 TikTokで筋肉ムキムキだけど顔がかわいい男性の動画が流れてきて、それをよく見ていたんです。「この人がアーティストデビューしたらどんな感じになるんだろう」という着想から「中田ヤスタカさん系のサウンドが合いそうやな」とか「コンセプトはジェンダーレスにしよう」とか考えて、「ブレイクアーティスト選手権」用のキャラクターに仕上げていきました。

ぷらもでる。

ぷらもでる。

──KOUGU維新では大津さんが率先してキャラクターの細かい設定を決めていましたが、ぷらもでる。もそのような感じですか?

大津 KOUGU維新に比べると性格などの設定は各々に任せています。

空気階段・水川かたまり 名前も自分で決めてほしいと言われたので、僕はパッと思いついた「アメリカ」にしました。一応、アメリカに住んでいたことがあるということにしています。

きつね淡路 力石はミュージカルが好きという設定です。

大津 ポチは「一番熱心にぷらもでる。をやろうとしている」という方向性で演じています。

──日本武道館で「『有吉の壁』Break Artist Live'21 BUDOKAN」が開催されて、ぷらもでる。として出演すると最初に聞いたときにはどう思いましたか?

大津 「有吉の壁」ってどこかの施設を貸し切りにして収録するということを日常的にやってるじゃないですか。そこに武道館がきてもおかしくはないというか、「マジで!?」という驚きよりは「この番組ならやりかねへんか」と納得する気持ちがありました。もちろん「すげえ!」みたいな感情もあったんですけど、「練習とかめちゃめちゃせなあかんな」「なんとか成立させなければいけない!」という危機感も同時に襲ってきました。

ポチ

ポチ

──手放しでは喜べないと。

大津 正直、「うれしいー!」ではないですね(笑)。

かたまり 僕の場合、「キングオブコント2021」で優勝した直後くらいに練習が始まったんですよ。ものすごく忙しい中で「なんでダンスの練習までしなくちゃいけないんだろう」って……(笑)。

──かたまりさんは、ぷらもでる。、KOUGU維新、親戚乃家の3キャラクターで出演しましたが、相当しんどかったのでは?

かたまり KOUGU維新はミュージカルを1回やってるので、ダンスを新たに覚えることはないんですよ。親戚乃家もラップグループなのでダンスはやらなくていい。でも、ぷらもでる。がとにかくダンスが難しくてしんどかったです。チケットがかなり売れているという話も聞いていたのでヘタなものは見せられないですし……。本当にストレスでした(笑)。

アメリカ

アメリカ

大津 なんか……ごめんな(笑)。かたまりくんが一番忙しかった時期、1日だけ確保できた休日のためにディズニーランドのチケットを買ってたらしいんですけど、それがぷらもでる。の写真撮影で潰れたんですよ。「今日ディズニーランド行く予定だったんですよ」と言われたときの申し訳なさときたら……。

かたまり あれは最悪でした!

──(笑)。淡路さんはダンスがお得意ですが、それでもぷらもでる。の振り付けは難しかったですか?

淡路 難しかったです。普段、「ブレイクアーティスト選手権」用にダンスを覚えるとき、自分の中で「これ以上うまくなったら浮く」というラインがあって、それ以上は練習しないんですよ。僕だけバチバチにキメても「そういう目立ち方すなよ」と思われそうなので。でも武道館ともなると、さすがに「ちゃんときれいに踊れるようにならなければ!」という危機感があって、かなり練習をがんばりました。

力石

力石

かたまり 淡路さんだけアーティストとして次のステージに行っている感じはありました。本番でいきなり「いくよ武道館!」とか言い出すので、ビックリしてダンスが飛びそうになりました。

淡路 そんなこと言ってた?

大津 言ってた! 俺も覚えてる。「きみdoriキミ」のAメロ前やろ?

淡路 無意識やな。

3人の心が1つになった

──今までさまざまなステージを経験してきたかと思いますが、武道館の舞台上から見る景色は別格でしたか?

淡路 そうですね。人生で一番黄色い声援を受けました。

日本武道館のステージに立つぷらもでる。

日本武道館のステージに立つぷらもでる。

大津 とにかく人が多いので「キャー!」を超えて「ドーン!」って感じなんですよ。

かたまり 袖から客席を覗いた時点で、想像を絶する景色すぎて脚が震えました。「視界の全部に人がいる!」みたいな。

──客席一面にペンライトの光が広がっていてきれいでしたね。

大津 ムカデの脚みたいでした。

淡路かたまり ……ん?

大津 ズラッと敷き詰められてる感じが。ほら、ムカデを裏から見ると脚がビッシリあるやんか。あれみたいになってたよな。

かたまり よくそんな嫌な例えが出てきますね。絶対に適切じゃないですよ。

日本武道館のステージに立つぷらもでる。

日本武道館のステージに立つぷらもでる。

大津 (笑)。でも確かに緊張しました。ダンスをミスるかもしれへんという不安もあって、本業のアーティストの人たちが感じているであろう緊張をちゃんと味わえた気がします。あとボケで言ってるとかじゃなくて、踊ってる最中、3人の心が1つになってる感覚がありました。ずっと「かたまりを巻き込んで申し訳ない」という気持ちが心のどこかにあったんですけど、あの瞬間に「今、ついに1つになってる!」という感慨深さがあって、今までの負の感情がすべて浄化されたというか。

──淡路さんとかたまりさんもそれを感じましたか?

淡路かたまり (苦笑い)

ぷらもでる。

ぷらもでる。

大津 えっ、感じたよな!? あのとき確かに1つになってたよな!?

淡路 感じた感じた(笑)。かたまりもいつもよりテンション高かったよな?

かたまり あ、本当ですか? じゃあ、感じてたかもしれないです(笑)。