東京03が出演する舞台「漫画みたいにいかない。」の第2弾が来年2019年2月に東京、3月に兵庫で上演される。売れないマンガ家の悲哀に満ちた日常を描くこのシリーズは連続ドラマとして2017年秋にHuluで配信開始され、地上波でも放送。これに続く舞台版の第1弾はチケットが即完する人気を見せた。
お笑いナタリーでは、キャストの東京03と山下健二郎(三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)、監督・脚本のオークラへのインタビューを実施。舞台版の第2弾に対する意気込みを聞いたほか、同シリーズが多くのファンを獲得した理由を探った。5人はドラマ版のオススメ回についても語っているので、舞台を観る前に予習したい人はそちらも要チェックだ。
取材・文 / 塚越嵩大 撮影(場面写真除く) / 辺見真也
この小さい空間にはまだまだ可能性がある
──舞台「漫画みたいにいかない。」第2弾の開催決定おめでとうございます。
東京03角田 ありがとうございます! 「またやれたらいいなあ」「ひょっとしてまたやれるんじゃねえかなあ」という思いはどこかにあったんですが、やっぱり決まったらめちゃめちゃうれしいし、「よかった、またできる!」ってホッとした部分もあります。
東京03豊本 僕も本当にうれしかったです。
山下健二郎 いろんな作品に携わらせていただいてますが、「漫画みたいにいかない。」は続編を一番望んでいた作品かもしれないです。ほかの現場にはない撮り方をしていたりするので勉強になるし、刺激も受けるし、単純にやっていて楽しい。
東京03飯塚 第3弾、第4弾とずっと続けばいいなあと思います。一生やっていたい(笑)。
オークラ もちろん僕もうれしいんですけど、監督・脚本の立場からすると「これからまた大変だぞ!」という気持ちもあります。基本的に1つの部屋を舞台にした作品なので、この小さい空間の中でどれだけの話を作っていかなきゃいけないんだっていう(笑)。でもみんなが慣れてきたことによって、さらに新しいものができるようになっていて、まだまだこの空間には可能性があるんだろうなとも感じています。
──舞台の第1弾はチケットが即完したそうですが、この作品がこれだけ人気を集めている理由はどこにあると思いますか?
飯塚 とにかくやっている自分たちがめちゃくちゃ楽しいんですよ。それが伝わってるんじゃないかな。面白い脚本ができるのを待って、それを覚えて、実際にやって……最高ですよね。大変なのはオークラ(笑)。
オークラ 大変だしプレッシャーはすごいですけど、前回の舞台はすごく面白かったと自負していて、あれをまたやるのかと思うと痺れますよね(笑)。2.5次元系の舞台とかが増えている今の時代だからこそ、「漫画みたいにいかない。」のような王道のストレートプレイが新しく魅力的に見えるのかもしれないです。
山下 僕の周りの評判もよくて、鈴木杏樹さんがこの作品の大ファンだと言ってくれたときはすごくうれしかったです。
飯塚 芸人からの評判もよかったです。
オークラ 正直に言っていいですか? 僕は一切何も言われないんですよね(笑)。
一同 あはははは!(笑)
豊本 あとは山下くんの存在がこの作品をかなり魅力的なものにしていますよね。僕らだけだと普段のコントの延長になっちゃうけど、ダンスやライブを極めた山下くんがゴリゴリのコメディをやるギャップの面白さが加わっている。
オークラ 山下くんが一番“ボケ顔”をしてる気が(笑)。
山下 ははは! おっしゃる通りです(笑)。
豊本 「こんなバカみたいな顔をやらされてるのに東京ドームを満杯にするんだよな」と思うと面白くて!
角田 山下くんはアドリブとかもガンガン入れてきますからね。これ見よがしに。調子に乗ってるんでしょうね!
飯塚 それはめちゃめちゃディスってるじゃん!
角田 山下くんのそういう部分が作品の魅力の1つなのは間違いない。まあ、それを僕らが周りからガッチリと(サポートして)固めているのがまたいいんでしょうけど。
飯塚 その発言、たぶん文字にすると感じ悪くなるよ!? っていうかあなた主役だよね? 何を周りからガッチリ固めようとしてんの? ドッシリと真ん中にいなさいよ!
角田 ああそうか。俺、主役なんだっけ(笑)。
何が起きても飯塚がいれば絶対笑いにできる
──舞台の第2弾の脚本はもう完成しているんですか?
オークラ これ言っちゃっていいのかな……何も思いついてないです。
一同 あはははは!(笑)
オークラ でも“世代間の軋轢から生じる問題”みたいなものをコメディの枠の中で描いていきたいとはなんとなく考えています。この1年間くらい、パワハラ問題のような大人の世代と若い世代が対立する構図の事件が多い気がしているので。役者さんが出てくれる作品なので、ただ単にバカやるだけじゃなく、芸人たちだけのときにはできないことをしたいなと思っています。
──なるほど。ちなみに前回の舞台は、飯塚さんが出ずっぱりなのが個人的に衝撃だったのですが……。
飯塚 そう! 1回もハケなかったんですよ!? すごくないですか!? 第2弾は絶対にハケたい(笑)。
オークラ 飯塚さんをハケさせなかったというよりは、ハケさせるような脚本を書けなかったというのが本当のところで。ぶっちゃけたことを言うと、何が起きても飯塚さんがそこにいれば絶対笑いにできるんですよ。だから保険的な存在でもあって、脚本作りはこの保険をいかに使わずにやれるかという挑戦でもあるんです。第1弾は全然保険をなくせないまま「もういいや、これで!」ってなりました(笑)。
飯塚 「もういいや」じゃねえよ!
オークラ 安心感が抜群なんですよね(笑)。困ったときに絶対いてほしい。飯塚さんが2時間出ずっぱりだったのって本当にすごいことで、みんなにももっと声を大にして言ってほしいです。役者さんでもあんなことはできないんじゃないですか? あれ以来、飯塚さんは無敵モードですから。
──第2弾で飯塚さんがハケるのかどうかも要注目ですね(笑)。今回は初めて関西でも上演されますが、何か楽しみにしていることはありますか?
山下 うまいもの食べたいですよね!
オークラ 実は神戸にプロデューサーと一緒に下見に行って、その夜に焼き鳥屋に入ったんです。そしたらそこが「人生でこんなにうまい焼き鳥は食ったことない」というくらいおいしい店で。その焼き鳥のことばっかり考えちゃって、脚本が全然進まない(笑)。
一同 あはははは!(笑)
オークラ ちなみに僕らはそのときスペイン料理か焼き鳥にするかってなって、焼き鳥を選びました。
山下 スペイン料理が残ってるじゃないですか! いいじゃないですか、行きましょうよ!
豊本 焼き鳥と双璧をなすスペイン料理(笑)。
山下 稽古も兼ねて前々日から現地に入りたいです。前日じゃないですよ? 前々日です!(笑)
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「山下健二郎ってすごいな!」という衝撃
- 舞台「漫画みたいにいかない。第2巻」
- 東京公演
-
日時:2019年2月19日(火)~2月22日(金)
会場:かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール - 兵庫公演
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日時:2019年3月8日(金)~3月9日(土)
会場:神戸国際会館こくさいホール -
料金:S席9400円 A席8200円(全席指定)
チケット:11月14日(水)までHulu会員限定の先行予約受付。2018年12月22日(土)10:00に一般発売。
「漫画みたいにいかない。」
まったく売れないマンガ家の悲哀に満ちた日常をシニカルな笑いと哀愁で描くシチュエーションコメディ。うだつの上がらない中年マンガ家・戸塚オサムを東京03角田が、その担当編集者・足立徹を東京03豊本が、オサムの幼なじみで定食屋の店主をしている鳥飼昭雄を東京03飯塚が演じている。また山下健二郎(三代目 J Soul Brothers)がオサムと一緒に暮らすアシスタント・荒巻弘彦役、山本舞香がオサムの1人娘・るみ役を務めた。監督・脚本をオークラ、イラスト・アニメーションをニイルセンが担当している。
舞台版の第1弾にはゲストとして島崎遥香、山崎樹範が出演。東京03とコミカルな掛け合いを繰り広げた。
- ドラマ「漫画みたいにいかない。」上巻
- 2018年2月9日発売 / バップ
- ドラマ「漫画みたいにいかない。」下巻
- 2018年3月16日発売 / バップ
- 舞台「漫画みたいにいかない。」
- 2018年8月13日発売 / バップ
-
[DVD]
4104円 / VPBF-14708
- 東京03(トウキョウゼロサン)
- 左 / 豊本明長(トヨモトアキナガ)
- 1975年6月6日生まれ。愛知県出身。
- 中央 / 飯塚悟志(イイヅカサトシ)
- 1973年5月27日生まれ。千葉県出身。
- 右 / 角田晃広(カクタアキヒロ)
- 1973年12月13日生まれ。東京都出身。
- 2003年に結成し、「キングオブコント2009」で優勝。今年2018年7月から10月まで「第20回東京03単独公演『不自然体』」を12都市で開催した。プロダクション人力舎所属。
- 山下健二郎(ヤマシタケンジロウ)
- 1985年5月24日生まれ。京都府出身。高校時代にダンスに目覚め、2007年に「EXILE LIVE TOUR 2007 EXILE EVOLUTION」にバックダンサーとして参加し、その後EXPG大阪校に通う。2010年4月に三代目 J Soul Brothersにパフォーマーとして加入する。三代目 J Soul Brothersとしての活動に加え、俳優、ラジオパーソナリティとしても活躍している。
- オークラ
- 放送作家。「ゴッドタン」「青春高校3年C組」「とんねるずのみなさんのおかげでした」のほか数多くの番組を担当。「漫画みたいにいかない。」でドラマ監督デビューを果たした。